「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【ChatGPTの利用と規制】南米では判決文作成にも、過度な感情移入で生じる危うさも

 

 対話型AI「ChatGPT」の月間利用者が1億人を超えているそうです。

 様々な分野で利用され、南米コロンビアでは、裁判所判事が、「ChatGPT」で判決文作成に使用したとの報道もありました。

判決にAI利用で波紋 「チャットGPT」に疑問の声も―コロンビア:時事ドットコム

 この判事は、時間節約のために利用したことを認めているといいます。

 波紋も広がっているようです。「ChatGPTは正しくない返答をすることもよくあり、真実と虚構を見分けられない」と信頼性に疑問を呈し、警鐘を鳴らす専門家もいます。

 

 

執筆

 米アマゾンでは「ChatGPT」が著者の電子書籍が200種類以上販売されているそうです。ChatGPTの利用を明示していない書籍も多数あるといわれ、AIによって書かれた書籍の数を完全に把握することはほぼ不可能になっているそうです。

アマゾン上にChatGPTが著者の電子書籍200種類超確認 : 読売新聞

 記事は、従来の作家が仕事を失う可能性や、誤情報を含む書籍が量産される恐れもあると指摘します。一方、「ChatGPT」で筋書きを作成した児童書や詩集なども既に発刊されているそうです。

 人工知能が人間の脳に取って代わるようにイメージすると、未知なものを畏れるような感覚に陥るのかもしれません。

 日本でも、コンテンツプラットフォーム「note」が、「ChatGPT」の技術を活用した記事作成サポートAIを発表しています。

noteの株価急騰、背景に「ChatGPT効果」。記事作成AIの新サービスに注目集まる | Business Insider Japan

 記事によれば、note社の株価は上昇し、これから日本市場でも「ChatGPT」の存在感が増す予兆かもしれないといいます。

 

 

ChatGPTと感情

 そのnote社のCXO深津氏が「ChatGPT」を使っておもしろい実験を行い、その結果と考察を公表しています。

 原理上は感情を持たない「ChatGPT」に疑似的に感情を持たせるようにすると、実際にうごくといいます。

ChatGPTに感情回路を埋め込んだら、やべぇ感じになった|深津 貴之 (fladdict)|note

 実権を終えた深津氏は「過度の感情移入をしないようご注意ください」と述べ、「原理上を知りつつも、かなり感情移入してしまいました」といいます。さらに「人間に似た活動をするものに、人間は人格を見出してしまいますね」ともいい、その危うさを記事の指摘しています。いいたいことは良くわかります。

「将来のAIは人権に近いものを獲得し、敬意をもって扱われるべき」と考えます。が、現状はただの文字の羅列シミュレーターです。

(引用:「ChatGPTに感情回路を埋め込んだら、やべぇ感じになった」深津 貴之)

規制

 米国の議員たちも「ChatGPT」による国家安全保障や教育への影響について関心を寄せ、規制されないままのAIに警戒感を持つ議員もいるといいます。

 また規制当局は監視を強めているそうです。

チャットGPT人気急上昇、米議員も影響に関心 | ロイター

 記事によれば、民主党議員たちは、「ChatGPT」を生み出したオープンAIのアルトマンCEOと面談し、実社会で差別につながるようなバイアスを含まないようにする必要性を説いたそうです。

 

 

それでも利用進む「ChatGPT」

マーケティング担当者は新たな宣伝コピーを量産し、ソフトウエアエンジニアはバグを修正している」、「ChatGPT」がそんな使われ方をし、マーケティング関係の専門家の37%が仕事でAIを利用し、また技術者の35%も利用、コンサルタントの30%も使っていることが最新の調査で分かったそうです。

ChatGPTなどAI、専門職の30%が活用-マーケティング関係者が熱心 - Bloomberg

「ジェネレーティブAI(生成AI)」と呼ばれる機械学習手法を用いるチャットGPTは、人間のような回答を瞬時に行うが、インターネットや書籍、ウィキペディアで一般に提供される情報を基に学習しているため、答えが常に正確とは限らない。(出所:ブルームバーグ

 記事によれば、メールの下書きやアイデアの発案、コードの作成および修正、リサーチや会議メモの要約に活用するケースが多いそうです。

 その便利さを上手く扱って利用するのはよいのかもしれませんが、想像、創造する楽しみをAIに奪われるのはどうかと感じます。

 

 

論語に学ぶ

学は及ばざるが如くせよ。猶(なお)之を失わんことを恐れよ。(「泰伯第八」17)

「学問をするとき、自分はまだ十分でないという気持ちをいつも持て。しかも、得たものは失わないと心掛けよ」と意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 この場合の「学」とは「まねび」、学習であって、真理の追求という意味での学問研究ではないといいます。

 本当の意味での研究とは、一応の仮説はもつにしても、結果を予測せず、あるいは予測することができぬままに、研究することでなければならないと、桑原武夫はいいます。

 これをじれったいとし、AIの助けを借りてしまうと、想像することや発見の楽しみが失せてしまうような気がしてしまいます。

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 人間の脳もまた、AIと同じように機械学習を繰り返し、蓄積した知識や経験から予測や判断、行動を制御します。AIへの過度の依存は自身の脳を鍛える機会が減ずるようなことになるのではないかと思ってしまいます。どうなのでしょうか。

 

 

「参考文書」

noteはチャットAIとどう共生するのか?|深津 貴之 (fladdict)|note