中国で習主席の異例の3期目がスタートしたそうです。お友達内閣と呼ばないのかもしれませんが、自身と関係の深い人物で指導部メンバー固めたといいます。一強・独裁色が濃くなり、権力の集中が一層、進んだということでしょうか。
中国 習近平国家主席をトップとする3期目の最高指導部が発足 | NHK | 中国
「中国式現代化によって、中華民族の偉大な復興を全面的に推進する。われわれは常に意気揚々とした精神状態で社会主義現代化国家を築かなければならない」と、習主席は記者発表で述べ、「中国式現代化」欧米とは異なる独自の発展モデルを推し進めることを強調したそうです。
中国との付き合い方がより一層難しくなるのでしょうか。それでも経済的なつながりも深い隣国である以上、上手なお付き合いが求められそうです。
世界はますます混迷していくのでしょうか。米中対立は収束する気配をみせません。米国は半導体などのハイテク分野の国内回帰を加速させようとしています。
コロナ渦以降の世界を見れば、悪化の一途で、ますます悪くなるのではないかと心配になります。
しかし、こうしたことは「進歩恐怖症」によるものだとする意見があるといいます。
「暴力の人類史」の著者ハーバード大学のスティーブン・ピンカー教授は、先史時代からの歴史と豊富な統計をひも解き、戦争や暴力に対する人間の本性を分析したそうです。すると殺人率や戦死者数、世界の極貧率などは、以前よりずっと減っていることがわかったといいます。つまり、さまざまな面で世界は良くなり続けていると指摘しているそうです。
「変化こそ希望」。封建社会が駆逐され民主社会が誕生し、産業は目指しい発展を遂げました。ここ100年あまりでも、馬車が自動車に変わり、電話が発明され通信手段が大きく変わり、その後も進歩は続き、インターネットによってスマホが当たり前になりました。こうした変化を数えればきりがないのでしょう。
次の変化のためには、この停滞や試練、逆境を踏み台にしていかなければならないのかもしれません。
一方、日本といえば、円安の進行に苛まれ、国力の低下が指摘されています。専門家たちが問題点を指摘し、この苦境を抜ける出るには、生産性の向上や賃上げ、学び直しにイノベーション、インバウンドの振興などが必要といいます。
これまで、手を抜いていたが明らかになったということなのでしょうか。「円」の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が、約52年ぶりの水準に低下したそうです。
円の実力、52年ぶり低水準 ニクソン・ショック前―購買力低下、家計・企業に悪影響:時事ドットコム
1ドル=360円の固定相場制を採用していたニクソン・ショック前の1970年9月以来の低さで、日本経済の低成長を背景に他国と比べ物価が伸び悩む現状を反映する。(出所:JIJI.com)
ピンカー氏の言葉を信じ、「進歩恐怖症」を克服していかねばならないのでしょう。その先に、停滞し劣化し続けた日本に再び勢いが戻り、元気になっていくということでしょうか。
論語に学ぶ
夷狄の君有るは、諸夏(しょか)の亡きに如かず。(「八佾第三」5)
「夏は大なり」、「諸夏」とは中原にある文明のさかんな漢民族の国々を指し、その周辺にある野蛮な諸異民族と対立する、「諸夏」の絶対優越性「中華思想」へとつながったされる言葉です。
世界の中心は中国の天子にありとの考えです。しかし、その偉大な国もたびたび異民族に征服され、この言葉にも違った読みがあります。
「夷狄の君有るは、諸夏の亡きに如かず」、夷狄にも君主があって、中国の君主が権力を失った状態より勝っている」と解します。
宋がモンゴルの元によって滅ぼされ、「清」もまた異民族の王朝です。この王朝末期にアヘン戦争などが起きて、諸外国が中国に進出しました。その後長い停滞期があって今日の中国へとつながっています。習氏が「中華思想」に通ずるような発言を繰り返すのもこうした背景があるのでしょうか。
世界の工場になることで高成長を続けた中国も、習時代になると高度成長が翳り、成長が鈍化しました。「進歩恐怖症」に囚われたのでしょうか。変化を求めず、どちかといえば先祖帰りするような「権力闘争」に明け暮れていたようにも見えます。
この先の中国の行方が気になります。いずにせよ、こうしたことを恐怖にするのではなく、あるがままに受け入れて、希望に変えていかなければならないのでしょう。