「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

あの大臣が辞任、最後の最後も歯切れが悪く、言い訳ばかり

 

 イギリスの新しい首相にスナク元財務相がに選ばれました。チャールズ国王の任命を受け、首相に就任し、20世紀以降、最も若い首相となるそうです。トラス首相の辞任表明を受け実施されることになった与党保守党の党首選挙で、立候補条件を満たしたのがスナク氏だったことより、無投票での選出になったようです。

イギリス 与党 保守党 新党首にスナク元財務相 新首相に就任へ | NHK | イギリス

「イギリスが深刻な経済の課題に直面していることは疑いの余地がない。国が安定と団結を必要としている今、党と国を1つにすることを最優先に取り組む」と、スナク氏は決意を述べ、「誠実さと謙虚さをもって奉仕することを誓い、イギリス国民のために日々働いていく」とも述べたそうです。

 私利私欲にまみれてしまったなら、誠実とはいいません。謙虚なくして、多様な意見の集約は難しいのでしょう。国民に奉仕する、それがあるべき政治家像ということでしょうか。

 

 

 英国では首相の辞任が相次ぎ、保守党政治への批判も根強く、政治への信頼回復も大きな課題となるといいます。世論は保守党に逆風で、総選挙を求める市民の声が大きくなっているそうです。

 一方、「スナク氏が党首になってほっとしている。彼ならこの国の経済的な混乱を収束できる」とのロンドン市民と、「トラス氏より確実に前進するだろう」といった声もあるといいます。

 為さなければならないことが明確にあり、また、前任たちの強引さ、傲慢さが混乱につながったと判断すれば、スナク氏の決意は自然なことなのかもしれません。うまく混乱を収束させていくことはできるのでしょうか。

 

 

「法に触れていない」山際大臣辞任

 あの山際大志郎議員が経済再生担当相を辞任するそうです。事実上の更迭と報道されています。

 また辞表提出後の記者団の取材では、「国会議員として何か法に触れるようなことをやってきたというわけではありません」と述べ、議員辞職は否定したそうです。

「法に触れていない」山際大志郎氏、衆院議員の辞職は否定 経済再生相の辞表を首相に提出した後、記者団に:東京新聞 TOKYO Web

 旧統一教会との関係は「それほど深い関係ではなかった」と言い訳し、「なにか深い関係があったわけじゃないので、説明ができなかったというのは事実なんですね。数多くいろんなものがある中の一つとして扱ってきたものに対してなにか印象としてインパクトがあるもので無い限り、なかなかそれは難しいと思うんです、説明をしろといわれても」と話したといいます。

 自覚のなさが現れていないでしょうか。誠実さがない、謙虚になれない、倫理や規範を重んじなければ、そうした自意識がもつことは難しいのでしょう。それが、法にさえ触れなければと言い訳することにつながっているのかもしれません。

 不誠実であっても、それだけで法律によって罰することはできないのだから。

 

 

論語に学ぶ

曾子 疾(やまい)有り。孟敬子(もうけいし)之を問う。 曾子言う。曰わく、鳥の将(まさ)に死なんとするや、其の鳴くや哀し。人の将に死なんとするや、其の言や善し。君子 道に貴ぶ所の者 三あり。容貌を動かしては、斯(すなわ)ち暴慢に遠ざかる。顔色を正しくしては、斯ち信に近づく。辞気を出だしては、斯ち鄙倍(ひばい)に遠ざかる。籩豆(へんとう)の事は則ち有司(ゆうし)存す。(「泰伯第八」4)

 君子にとって礼とは瑣末事ではなく、高位者であるのならその身の振る舞いに関わることです。弟子の曾子が死に際し、見舞いに来た孟敬子に遺訓としたといいます。この高官は礼を尊んではいたが、こまかなことにばかり気をつかい、一国の大臣としての挙動において欠けるものがあったので、そこを注意したのであろうとの読みです。

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 後段の遺訓を、辞められた大臣もお読みになれば心構えが変ったりするのでしょうか。

 前段は、当時のことわざで、絶命前の鳥の鳴き方は哀調を帯び、臨終の人間の発言は誠実だという意味だといいます。最後の瞬間いかにもと思わせる名言を吐いた例はこれまで多くあるといいます。辞世の句などもその例なのでしょうか。

 大臣辞任が最後の瞬間ということはないのでしょうけれども、もう少し違った言葉があってよかったのではないでしょうか。無念さが残るのでしょうが、人柄が現れていたようです。国民に奉仕するという気持ちはお持ちだったのでしょうか。

 

「参考文書」

山際経財相の辞表提出後の発言全文: 日本経済新聞