日野自動車が、エンジンの試験不正問題を調査していた特別調査委員会による調査報告書を公表しました。
特別調査委員会による調査報告書公表のお知らせ | ニュース | 日野自動車株式会社
日本経済新聞によれば、報告書は不正が起きた原因を分析し、エンジンの性能試験を担う部署という局所的な問題とすると本質を見誤ると指摘しているといいます。
縦割りで上層部からの意向を絶対視する企業体質や、部門間での連携が不足しあら探しをする風土が真因だと言及した。(出所:日本経済新聞)
同じような問題がまた発生しました。三菱電機の検査不正に類似していないでしょうか。
多くの日本企業が、顧客を起点に考えていくことが重要と認めるのに、現実になると実践できない企業があまりにも多そうです。
頭では大切だと分かりながら『顧客起点』になれないのはなぜか?:日経ビジネス電子版
顧客にとってあるべき状態からどんどん離れてしまう項目を見極め、それを守り達成できるように全体を率いていくのが経営者の仕事であり、力量が問われる部分だと思います。(出所:日経ビジネス)
過去の様々な事例からすれば、どんなに優れた商品やサービスを開発しても、継続的に顧客に満足いただけないものは長続きしないと誰もが知っています。
しかし、現実の企業経営はそうならず、管理手法の使い方を違え、自分自身を優先し、平気で顧客を裏切ってしまうようです。
論語に学ぶ
朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。(「里仁第四」8)
道徳の支配する理想社会が実現したと聞いたなら、自分はすぐに死んでも心残りはないと孔子がいったといいます。
元来仕事とは楽しいものでなくてはならないはずです。そうでなければ長続きしません。そうならないのが今の企業経営の問題なのでしょうし、まして会社に行って重圧ばかり感じるようでようであれば、良い仕事ができようはずものありません。
不正に手を染めざるを得なくなる人たちの気持ちを慮ることはできないのでしょうか。
「常に顧客の便益を第一とし、顧客に奉仕することで、会社をより良い社会の器にしていく。そんな道理に従って企業が経営されるなら」と願う従業員もいるかもしれません。こうした声を押し殺してしまうようなことはあってはならないのです。
米国のペロシ下院議長が中国の反対を押し切って台湾を訪問しました。中国から見れば、何と身勝手な米国人ということなのでしょう。
ペロシ氏、台湾を見捨てないと明白にするため訪問-蔡総統と会談 - Bloomberg
引退間近でレガシー作りや選挙目当ての派手なパフォーマンスという見方もあるのでしょう。それが直接の動機かもしれません。
しかし、覚悟を持った行動といえるのではないでしょうか。自身の信念に従い、米国と台湾を思い、また民主主義を信奉する人たちへの力強いメッセージになったのではないでしょうか。それはそうした人々を思いやる道義あってのことともいえそうです。
その反面、今回の行動は対立を助長したことは否めそうにない事実のようです。
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顧客の利益あっての企業、国民のための議会、そんなことが共通事項なのかもしれません。
一方で問題を起こす人は、私欲を満足させるために、顧客に従業員、国民を裏切り、犠牲を強いることも厭わないのでしょう。そこが根本的な差なのかもしれません。ただこうした人たちが失敗するとは限らないのも現実なのでしょう。難しい問題です。
「参考文書」
特別調査委員会による調査結果および今後の対応について(日野自動車)
中国批判繰り返してきたペロシ氏、キャリア最後に訪台 過去には天安門広場での抗議活動も:東京新聞 TOKYO Web