SMBC日興証券の元幹部らの相場操縦事件についての調査報告書が公表されました。その報告書には、社内全般で規範意識が薄く、法令順守の機能不全は「異常な状況で、看過できない」とあるそうです。
法令順守の不全「異常な状況」 社長宛てメールに関連情報―相場操縦でSMBC日興調査委:時事ドットコム
報告書は、近藤社長宛て電子メールの添付文書に問題の取引に関する記載があったと明らかにした。(出所:JIJI.com)
「利益を追求するあまり、法令を都合よく解釈する姿勢がうかがえる」と、報告書は断じているといいます。
みずほ銀行が昨年2月、大規模なATM障害を起こしました。その原因究明のため、第三者委員会による調査が行われ、報告書では「自ら持ち場を超えた積極的・自発的な行動によって、問題を抑止、解決するという姿勢が弱い」との指摘があったといいます。
みずほは、なぜ企業体質を変えられなかったのか:日経ビジネス電子版
みずほが2月に引き起こしたATM障害は、システム担当者がトラブルを過小評価して、営業部門は店頭に駆けつけず、経営トップにも報告が上がらないという組織全体の問題ではある。誰もが傍観者のようになってしまう「事なかれ主義」はどこからきたのか。(出所:日経ビジネス)
「自発的に問題解決できない企業風土」と日経ビジネスは糾弾しています。
論語に学ぶ
飽くまで食らいて日を終え、心を用うる所無くば、難(かた)いかな。博奕(ばくえき)なる者有あらざるか。之を為すは、猶(なお)已(や)むに賢(まさ)れり。(「陽貨第十七」19)
「腹いっぱい食べて一日中、心を使うことが何もないようであれば難しい。、双六や囲碁があるではないか。それでもしているほうが、何もしないよりは役立つ」と意味します。
本来、公利のために存在するはずの企業が私利私欲のことばかりになり、社会貢献のために思考しなくなってしまっているということなのでしょうか。そればかりでなく、仕事がいつしかマネーゲームと化してしまったようです。同じようなことが次々と明るみになるようになってしまいました。こうした風潮があちらこちらに蔓延っているということなのでしょう。
選挙期間中とはいえ、政府さえも「節電ポイント」の導入を政策の目玉にするようになっています。社会の雰囲気が変わるのも自然な成り行きということなのでしょう。
岸田ブレーンが語る日本経済低迷の「真犯人」 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
岸田首相の経済ブレーンといわれる首相補佐官の村井議員に東洋経済オンラインがインタビューしています。日本の課題の根幹を「将来不安」と見定めて、出身元である財務省など霞が関へ注文を付けているといいます。問題の本質を捕えても、その対応が小手先のことばかりに終始しているようであれば、何も変わらないのは誰も知っていることではないでしょうか。
村井議員は「伸びているベンチャー企業に勤めているようなお父さんは、なぜか時間に余裕があり、子育てにも積極的に参加していることが多い。他方、役所や古式ゆかしい企業にお務めのお父さんは、なぜか帰りが遅く、子育ては「週末だけ」といったケースが多い」と指摘、日本経済社会にとっては、前者のような企業を応援するとともに、後者のような組織に変革を促すことが重要だといいます。前者は、柔軟な組織構造を取り入れて、社員のやる気と挑戦を引き出し伸ばすが、後者は、硬直的な組織文化を維持して、閉塞感にあえぐといいます。
霞が関の中でも、働き方改革の進捗度・組織の硬直度は違いがあるように感じる。こうした組織改革は簡単ではないし、変に政治が出しゃばるとマイナスも大きいが、変革に向けた刺激を与え続けていきたいと思う。また、国会改革などを実行に移し、永田町が霞が関の働き方改革の足を引っ張っている部分を解消していかなければならない。(出所:東洋経済オンライン)
何事も難しいことは先延ばしするものなのでしょう。ただそれでいいのでしょうか。積極的に働きかける行動をとらずして、放置するばかりでは不作為といわれてしまいます。
変わるはずがないと思えることが変わることで、もしかしたら将来はもっと良くなるとはじめて実感できるのではないでしょうか。
「参考文書」