円安が止まらないようです。ここ1ヶ月近くで10円下落し、円は130円目前の129円を超える値を付けるようになっています。独歩安とも言われています。ここまで日銀の黒田総裁は金融緩和の継続をしきりに口にしてきたのだから当然のことなのかもしれません。しかし、進行が止まらない円安を目の当たりにして言質が変わってきたようです。18日には「最近の円安はかなり急速」と述べたことで一時反落したものの、日米金利差の拡大を背景に発言前の水準をあっさり回復したとブルームバーグは指摘します。
黒田総裁の口先介入、円安抑制への神通力失う-正常化のみが手立てか - Bloomberg
市場では黒田発言の影響力が大きく低下し、本質的に流れを変えるには金融政策の正常化が唯一の策とみる向きが多い。(出所:ブルームバーグ)
「金融政策と為替に関する政策が一致するようにならないと、口先介入にしても効かないし、当然海外の協調姿勢も得られにくい。やるべきことやってないのに、お願いしてもという感じになる」と、ブルームバーグは専門家の辛口評価を紹介しています。口は禍の元ということなのか、それとも言葉の力を軽んじているのでしょうか。
堅調になったロシアルーブル
一方、ロシアルーブルは、対ドルで堅調で、ロシア国債の価格は2月21日以来の高値になったといいます。ロシア中央銀行が近く利下げするとの見方が背景とロイターが報じています。
ルーブル堅調、ロシア国債2カ月ぶり高値 株は下落 | ロイター
西側諸国が経済制裁を科す前の水準を回復しているそうです。経済制裁を科すことで、ロシアへの輸出は減じていますが、一方で、石油や天然ガスを輸入していることで、ロシアの経常収支が改善していることも背景のようです。不条理さを感じずにはいられません。
こうしたことがあってのことか、プーチン大統領は西側からの制裁を耐え抜いたとの認識を示したそうです。
プーチン大統領、ロシア経済を楽観-ルーブルは「回復した」と表明 - Bloomberg
経済の状況は安定しつつあり、消費者市場を人為的に規制しなかったのは正しい決定だったと話したそうです。強気の姿勢ということでしょうか。
論語に学ぶ
辞(じ)は達するのみ。(「衛霊公第十五」41)
「文章を書くなら、達意であれ」と、孔子は教えています。
発する言葉は、その意味が相手に伝わることが大切なことです。シンプルにして、それで伝えるようにしなければならないのかもしれません。
約束を反故しないと誓うスタバCEO
米スターバックスの暫定CEOに復帰したハワード・シュルツ氏が社員宛てのビデオメッセージで、「ここ数年はうその約束が数多くなされてきた」とし、こうした日々と決別すると語ったとロイターが報じています。
スタバ、従業員に「うその約束した過去」と決別 暫定CEO誓う | ロイター
それによると、「今後は守る約束をしていく。あなたの働く店舗の問題を解決するような本当の約束をする」と、スタバ創業者のシュルツ氏は述べたそうです。
研修や勤務時間の保証、設備の点検や修理の遅れなど現場の従業員が抱える問題を共有し、対応する計画も打ち出した。シュルツ氏は、短期間で決定を下すことが逆効果だった事例が多くあったと認め、今後はこれを見直していくとした。(出所:ロイター)
背景にはこのところ加速するスタバ店舗での労働組合結成の動きがあるのかもしれません。また、その一方で、シュルツ氏が指摘したように、ここ最近の経営者に、重要なパートナーである従業員を無視するような行動があったのかもしれません。
何事においても信頼関係を回復するには、言葉はシンプルにして、その意図を伝わるようにしなければならないのでしょう。
「参考文書」
20年ぶり円安を導いてしまった日銀総裁、次の円安誘発発言を市場警戒 - Bloomberg