「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

戦争犯罪、ロシアが去った街に残ったもの、人々の心が癒えることはあるのか

 

 ウクライナが、ロシア軍からイルピンやブチャなど首都キーウ周辺の全域を奪還したと発表したという。早速、西側メディアが現地に入り、その惨状を伝える。

首都周辺の全域「侵略者から解放」、ゼレンスキー氏は「ロシアによる東部占領」警告 - BBCニュース 

首都周辺からロシア軍が移動した後の現地には、破壊の残骸と複数の遺体が残されている。ロシア軍が民間人を大量に殺害したと示す、戦争犯罪の証拠が次々と積み上がっている。キーウから北西約24キロの町、ブチャに入った報道陣は、少なくとも20人の遺体を路上で発見した。(出所:BBC

 信じ難い光景が映像に残される。こんなこと心をもった人としてなぜできるのだろうか。

 

 

戦争犯罪の如く

 かつてロシアがソビエト連邦であった時代、スターリンという指導者がいた。1930年代には「大粛清」と呼ばれる弾圧や拷問、強制収容により、多くの死者を出した。第二次世界大戦ではナチスドイツ軍の猛攻に直面し、ソ連軍にキーウ周辺での戦闘を命じたが、包囲され壊滅したという。また、ポーランドでは強制移住も行っていたという。

スターリンと似るプーチン氏: 日本経済新聞

 プーチン大統領の振る舞いが冷酷な独裁者のスターリンに近づいていると日本経済新聞は指摘する。まだスターリン時代の大粛清ほどの犠牲を生んでいないとはいえ、それに近づきつつある。

プーチン氏も持ち運びやすい21世紀型の武器を軽視し、戦車や重砲に依存しているようにみえる。結果として、ロシア軍は第2次大戦以降で最も急速なペースで兵士の命を失っているようだ。

・・・・侵攻の出だしでつまずくと、ひたすら恐怖をかき立てる作戦に切り替えた。南東部のマリウポリを徹底的に破壊し、占領した土地から民間人をロシアに連れ去った。(出所:日本経済新聞

国を守るために

 ウクライナのゼレンスキー大統領は「我々の目標は何か? 我々自身を守り、我々の自由や我々の土地、この国の人々を守ることだ」と述べたという。

マリウポリやそのほかの都市でのウクライナ人の抵抗が、ウクライナ政府に「貴重な時間を与え」、ロシアの軍事力の弱体化に貢献したとした。(出所:BBC

論語に学ぶ

「士は以て弘毅(こうき)ならざる可(べ)からず。任 重くして道 遠ければなり。仁 以て己が任と為す。亦(また)重からずや。死して後已(や)む。亦遠からずや」。(「泰伯第八」7)

「弘毅」とは、大らかで強い意志を持つこと。その弘毅の必要性をずばりといい、任務の達成にそれが必要だから、と出し、次にその任務とは他ならぬ「仁(人間愛、人の道)」の完成である以上、それは重大にして高遠でなくて、どうしようとの意味である。

dsupplying.hatenadiary.jp

 まだ戦争が終わったわけではないが、ゼレンスキー大統領はこんな心持ちでキーウ主変の再興を進めていくことになるのだろうか。

 

 

「仁」、戦争によって傷ついた人を思いやり、再び人として、みなが調和して人間らしく暮らしていけるようにと。

泰平の世を築いた家康に学ぶ

 徳川家康の有名な遺訓「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし.....」は、この論語の言葉をふまえたものという。

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。

不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。

勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。

おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり

 戦国の世を生き抜き、天下泰平の世を築いた家康ならでは言葉なのかもしれない。

 ウクライナにも泰平が訪れることを願わずにいられない。