ウクライナと停戦は実現するのだろうか。トルコ イスタンブールでの停戦交渉にて一定の前進があったようにも伝わるが、実りあるものにしていくためにはまだいくつかの障壁を乗り越えていかねばならないのかもしれない。
邪(よこし)まな願望をもって攻め込んだ国の野心を変え、合意に至るにはたいへんな労力が必要になるのかもしれない。
ロシア軍事活動縮小、停戦意味せず 合意へ長い道のり=交渉担当 | ロイター
善悪は別にして、ロシアが停戦に合意するには威信が傷つかない理由が必要なのだろう。たとえそれが虚ろなものであっても。
ウクライナを支援する西側諸国も決して一枚岩ではないようだ。ブルームバーグによれば、バイデン米大統領がロシアのプーチン大統領は権力の座にとどまってはならないと発言し物議を醸した後に明るみに出たという。
プーチン氏との対話巡りNATO内に溝、逆効果と否定的な見方も - Bloomberg
それによれば、マクロン仏大統領は「われわれは言葉や行動でエスカレートさせるべきではない」と指摘し、外交的手段を通じてまずは停戦を実現し、その後にロシア部隊の撤退を目指すべきだと述べたという。また、ドイツもフランスに同調し、「今後数日間、実際には数週間にわたり、われわれが耐えなくてはならない悲惨な状況を考慮すれば、殺害を止めるために停戦を実現可能にすることが最優先課題だ」としているという。
しかし、他のNATO加盟国は独仏両国の対話路線は逆効果であり、プーチン大統領の術中にはまるとみているという。
ハンガリーを除く東欧・中欧諸国と英国はプーチン大統領が和平合意交渉に本気で取り組んでいるか懐疑的だ。また東欧諸国の外交官は、ロシア部隊の完全撤退が含まれない和平協定に同意するようウクライナを促す者はプーチン氏の片棒を担ぐことになると指摘。プーチン氏と頻繁に会談する当局者は自国民へのアピールが目的だと述べた。(出所:ブルームバーグ)
交渉相手を信用に値しないと見なしてしまえば、いうことすべてが嘘のように映り、交渉は困難になる。全幅の信頼を与え、それが信頼の醸成になっていけばいいのだが、それには長い時間を要するのではなかろうか。元々根本には相互不信があるのだから。
停戦交渉とは難しいものなのだろう。屈服感を味わうようであれば、なかなか合意できない。そうはいえども、妥協点を作らなければ、戦闘が終わることはない。
論語に学ぶ
詩を誦(しょう)すること三百、之に授くるに政を以てして達せず、四方に使いして、専対(せんたい)する能(あた)わざれば、多しと雖(いえど)も亦(また)奚(なに)を以て為さんや、と。(「子路第十三」5)
「詩を三百篇も暗誦するほど知識が多くあるものの、内政を担当しても達成することが無く、外交を担当しても相手と渡り合うことができなくては、多くを暗誦しているとしても、詩の中身がわかっていないので、それは取るに足らない」と意味する。
孔子は美辞麗句を嫌い、邪心のない純粋な感情が迸る詩を好んだという。
政、外交交渉においては、美辞麗句を排し、相手の感情を読み、その感情に訴えこそ、成就することであろうか。
ロシアのメドベージェフ元大統領が、日本との北方領土交渉において、常に儀式的な性質」を帯びていたと主張、この問題についてコンセンサスを見つけることは決してなかっただろうと語ったという。
北方領土巡る対日協議、常に「単なる儀式」-メドベージェフ氏 - Bloomberg
本心なのだろうか。長きにわたって交渉を続けてきたが、うまく利用されていたということであろうか。
今行われている交渉も同じことになったりすることはないのだろうか。交渉で成果を得るには相手を選ばなくてはいけないのかもしれない。
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戦争は真実を隠してしまうのかもしれない。当事国双方が様々な発表を行うが、それがどこまで正しいかを知ることはできない。時間が経過、停戦が実現すれば、事実は解明されるかもしれない。
それでも今は、停戦を早期に実現してもらいたい。しかし、まだまだ険しい道が続いてしまうのかもしれない。