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【日本の小国・後進国化を憂う】一党支配を打ち破る勢力になれるのか 立憲代表選 ~ 炉辺閑話 #64

 

 経済産業省で「経済産業政策新機軸部会」が開催され、これまでの経済産業政策を抜本的に見直すという。「脱炭素社会」や「デジタル」、「経済安全保障」などの社会課題に応じた積極的な政策対応のあり方や人材育成のあり方などについて議論していくそうだ。

 従来、特定産業の保護・育成にあった基本政策を、競争市場環境の整備に変え、多様化する中長期の社会・経済課題の解決を「ミッション志向」で目指してはどうかと、議論が始まっているようだ。

 経済産業省から公表された資料を見れば、日本の弱点がよく分析されているのかもしれない。

小国化

 過去30年間、日本経済の成長は低迷し、日本企業の国際競争力も継続的に低下、気候変動対応などあらゆることが海外に比し、周回遅れになっていると部会は指摘する。

 世界の中で18%占めていたGDPも、今では6%に過ぎず、この先も下落が予想され、2030年には4%になるという予測もあるという。

 この会議の冒頭、萩生田経産相はこうした状況を鑑みてか、「日本は小国となります」と述べたという。そう遠くない未来、後進国になってしまうのかもしれない。

 

 

代表選

 立憲の代表選が始まっている。野党第一党の割には盛り上がり感が欠けているように感じる。先の総選挙での敗戦の影響をそのまま引きずっているのだろうか。

 党の再生が第一優先なのだろう。その上で、与党に対抗できる政策立案も求められる。偶然にも経済産業省が、この先の国の衰退という課題をまとめてくれている。立憲として、どう対応するか、明確に語ることができれば、もう少し盛り上がりもあるのかもしれない。

論語の教え

「鬼神に事(つか)うるを問う。子曰わく、未だ人に事うる能(あた)わずんば、焉んぞ能(よ)く鬼(き)に事えん、と。曰わく、敢えて死を問う、と。曰わく、未だ生を知らずんば、焉んぞ死を知らんや」と、「先進第十一」12 にある。

 鬼神、すなわち神様に仕えるにはどうしたよいかと季路(子路)が孔子に問い、「まず人間に仕える道を完全しなければならない、未だ人に仕えるの道を充分に修めずして、どうして神に仕える道を知る事が出来ようぞ」と、孔子が答えたという。子路は更に、死に処する道を問うと、孔子は、「未だ生存して世に処する道、すなわち君父に仕え、世間の人々に接し、妻子を養う道を知らないで、死に処する道を問うのは間違っている」と戒めた」という。

 空想に流れず、常に卑近で実行的な事として説いていると渋沢栄一は解説する。

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「国のこと、世界のことを論じるが、一家さえ治めることが出来ずして、社会政策のことに馳せ廻っている人もある。中には社会政策の為めに奔走努力するという本人が、かえって社会政策の厄介になっている様な人がいる」と、栄一は嘆く。

「一国のこと、世界のことを論ずるもよい、社会政策に奔走するもよい、決して悪いとは言はぬが、先づ一身一家を治める事が肝要である。一身一家を治める事が出来ずして、国家社会の為めに尽さんとするのは、本末を顛倒しているといわなければならない。」と栄一はいう。

 

 

 立憲もまずは党の再生からいうことなのだろう。与党は権威主義的な傾向はあるかもしれないが、良くも悪くもある程度のおさまりはありそうだ。それに加え、色々な意見もあり、栄一の言葉を借りれば、卑近(=高尚でなくわかりやすい)で実行的なところもあるのだろう。

 誰がリーダーに選ばれるか知らぬが、与党に対峙できる政党になってもらいたい。一党支配が長く続くようになれば、どこかの国とあまり変わらなくなってしまうのではなかろうか。ますます権威主義的傾向が強くなったりしないだろうか。