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【気候変動が一丁目一番地】民間の臨時行政調査会が政府に物申す ~ 炉辺閑話 #65

 

「モデルチェンジ日本」という民間の研究者らでつくる臨時行政調査会が立ち上がった。元東京都知事の猪瀬氏や経営コンサルタントの冨山和彦氏、慶大教授の中室牧子氏らが参加する。デジタル化や脱炭素の実現に向けた新たな課題に取り組むための政策を提言するそうだ。

脱炭素へ諮問機関設置を 「民間臨調」が首相に提言: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、早速、猪瀬氏らが岸田首相と面会し、気候変動対策をいっそう強力に進めるべきだと政策提言を行ったという。

 面談の後、記者会見した猪瀬氏は「政府の一丁目一番地は気候変動だと強く申し上げ、岸田総理大臣もそうした認識を強めたと思う」と述べたという。

 

 

モデルチェンジ日本

 SAKISIRUによれば、岸田首相に申し入れた提言は、先に閉幕したCOP26を受けてのもので、「これまでの対応の延長戦では、日本のさらなる衰退を招きかねない」などと主張し、脱炭素に対して「時間稼ぎ」ではなく世界をリードする側へのシフトなどを必要な施策として挙げたという。

岸田首相に“日本再設計”直言!猪瀬直樹氏、松田公太氏ら「民間臨調」発足の狙いは? – SAKISIRU(サキシル)

「岸田政権が、菅政権ほど行政改革、規制改革、脱炭素に熱心ではないとの疑念がつきまとう」とSAKISIRUは指摘する。

 脱炭素やGX(グリーントランスフォーメーション=環境に配慮した先端技術を使い、産業構造を変革する取り組み)など、あらゆることが世界から周回遅れと指摘されることが多い。その中で、自動車産業が世界的なEVシフトの潮流に乗り遅れれば、世界のマーケットが席巻されるのではないか、危機感をあらわにする。

 このプロジェクトに参加する人たちは日本の先々に強く危機感を持っているようだ。

先達たちの活躍

 江戸幕府が倒れ、明治に世になったとき、人々は一等国の仲間入りを目指し、奮闘していたという。戦後においては、「追いつき追い越せ」で獅子奮迅の勢いで働き、高度成長を為し、一時は米国のGDPを凌ぐのでないかといわれるまでに至った。

 その時々に、卓越した人物が登場し、世を引っ張り、日本を高みに押してあげていった。

 

 

 明治の時代に、浅野総一郎という先見の明をもった人物がいた。

「大船の時代来るべきを予知し、巨舶を建造してこれに備え、戦争が起る事を予知していたのでもないのに神奈川県鶴見の海岸が将来有望の地点になると察知し、早くよりこれを埋立て、戦争が始まってからその埋立地に非常な速力で取急ぎ、造船所を起したことなぞも、全く浅野氏に先見の明あるところだ」と栄一はいう。

 その浅野氏は物事の見積が非常に敏捷明確な人で、どんな仕事をするに当っても、費用が何れくらい懸るのか、何れ程の人数を要するか、幾日ぐらいの日数で出来上るかといふ見積が直ぐできたという。京浜工業地帯があるのは、浅野の活躍があってのことという。

 その浅野氏は、世間からは強慾の人のように見られ、危険な人物であるかのように誤解されていたという。「何事にも他を益するといふよりも自分を富まそうとの観念が先きに立つからである」と栄一はいう。

 しかし、「自分を富まそうとする事も、他人を益さそうとする事も、結局実際に臨めば同じになってしまい、利他は自富となり自富は利他にもなる」という。学に薄かった浅野氏はこの点を正しく理解していなかったが、栄一は氏を支援したという。浅野氏が行動することで国のためになると見越したのだろうか。

論語の教え

「向上心が発達の動機」と渋沢栄一はいう。そして、論語「公冶長第五」28を紹介する。

十室の邑(ゆう)にも、必ず忠信なること丘の如き者有らん。丘の学を好むには如かざらん」。

  僅か十戸ばかりの小さな村にも孔子の如く、忠信なる者は必ずあるが、孔子のように、学を好んで絶えず向上を心掛けている者がないので、偉い人物が現れないとの意味と、栄一はいう。

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人々は如何に忠貞の心があり、信義を守るに厳なるところがあつても、ただこれを消極的に守ってゆくだけでは決して発達進歩するもので無い。道に志して学を好み、絶えず修養を怠らぬ者が進歩発達するのである。(参考:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

 

 

 さて、今はどうなのだろうか。自富は利他のためにならず、自富のため、またはごく限られた人のために動く人が増えていないだろうか。浅野氏のように強欲であっても、その行動が利他のためになるような人物が今求められる。