「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【 盛饌有れば、必ず色を変じて作つ。迅雷風烈には、必ず変ず】 Vol.254

 

斉衰者(しさいしゃ)を見れば、狎(な)れたりと雖(いえど)も、必ず変(へん)ず。冕者(べんしゃ)と瞽者(こしゃ)とを見れば、褻(な)れたりと雖も、必ず貌(ぼう)を以てす。凶服者(きょうふくしゃ)には之に式(しょく)し、負版者(ふはんしゃ)に式す。盛饌(せいせん)有れば、必ず色を変じて作(た)つ。迅雷風烈には、必ず変ず。(「郷党第十」19)

 

  (解説)

孔子は、喪服を着ている人と出会うときは、相手が気安くしている人であっても、顔つきを正した。爵位者や楽師と出会うときは、相手がなじみ深い人であっても、礼節をもって接した。車に乗って、喪服を着ている人と出会うと、必ず車上の礼式に従って敬礼した。国の公的文書を背負った者に出会うときも同様の敬礼をされた。他者から大変な饗応を受けたとき、顔つきを改めて立って敬意を表した。また、大雷や烈風のときは、容貌を改めて敬(つつ)しんだ。」論語 加地伸行

 

 「斉衰者」は1年の喪に服している人、「冕」は大夫以上の冠、「瞽者」は、従来、盲人と解釈されてきた。しかし、その理由がよくわからない。ただ、音楽官(盲人から採用さえることが多い)に対する孔子の敬意が記されている(「衛霊公第十五」42)ところから推測して、盲人一般ではなく、盲人の音楽官と解したいと加地はいう。 

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 「斉衰者」「冕者」「瞽者」についての文章が「子罕第九」10にもあり、同様に敬意を表されている。 

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫