好ましいと思えない世界情勢が続いています。ウクライナにガザ、米中対立。問題を解決するためには政治の力が必要なことは間違いありません。世界各地で行われている選挙結果次第で、それも影響されそうです。
フランスでは議会下院の決選投票が行われ、第1党に躍進すると予想されていた極右「国民連合」が失速、左派連合「新人民戦線」が最大勢力になる見通しだといいます。ただ過半数には届かない模様。与党連合は若干劣勢を挽回、左派連合に次ぐ得票となるようです。
仏下院選、左派が予想外の勝利-ルペン氏極右は第3党の見込み - Bloomberg
フランスの首相は通常、議会内第1党から指名されるといいます。マクロン大統領が指名するそうですが、明確な勝者のいない結果となるため、複数の政党が一定期間連立を組む展開もあり得るといいます。
英国、イランに続き、フランスにも変化の波が押し寄せたようです。
しかし、東京には変化の波は届かなかったようです。立候補者が乱立、アテンション・エコノミー化した都知事選では、小池さんが3選を果たしました。選挙の戦い方を知る小池さんの狡猾さが勝利をもたらしたのでしょうか。
小池氏が都知事3選 石丸、蓮舫氏ら破る―保育無償「制度設計を推進」:時事ドットコム
自民党の裏金問題を考慮、政党色を薄め小池さんの戦略が功を奏したともいわれます。自民党のステルス支援を受け、上手に組織票を取り込んだともささやかているようです。
次点は前安芸高田市長の石丸伸二氏。「政治屋の一掃」を掲げ、SNSなどを駆使し、既存の政治を批判する姿勢で挑み、マスメディアを「たかだか2次情報を扱う身で、世の中を動かしたつもりになっていないか」と批判、ネットの力をリアルに広げることに成功したといわれます。今後の選挙の戦い方に影響を及ぼしそうです。
街頭演説で大声を張り上げ、立憲幹部の応援を受けた蓮舫さんは3位に沈没しました。
小池氏を支援する自民党の政治資金問題を批判し「国民の声は、裏金議員や政治とカネの問題がある自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしいというものだ。その先頭に立つのが私の使命だ」と主張しましたが、響かなかったようです。既存政治はもうたくさんということなのかもしれません。
【東京都知事選挙】蓮舫氏「きつい敗戦」 与野党対決強調も及ばず - 日本経済新聞
蓮舫さんは、敗因について「私の力不足、そこに尽きる」と振り返ったそうですが、得意の行政改革や声を荒げて攻撃的に批判することがあだとなっているような気もします。批判するのに攻撃的である必要性もないのでしょう。蓮舫さん得意の改革もまた同じです。改革を進めれば、結果的には現状を否定することになるのですが、一気に進めるようなものではないはずです。攻撃的であると、みなが好む安定性が損なわれるという誤解が生まれ、安心ではなく不安を助長したのかもしれません。
蓮舫さんの陣営関係者は「どう訴えれば響くのか、難しい選挙だった」とこぼしていたといいます。SNSの使い方を含め、石丸さんの戦い方を学ぶべきなのかもしれません。
論語に学ぶ
樊遅(はんち)従いて舞雩(ぶう)の下に遊ぶ。曰わく、敢えて問う、徳を崇(たか)くし慝(とく)を脩(おさ)め惑いを弁ぜんことを、と。子曰わく、善いかな問いや。事を先にして得ることを後にするは、徳を崇くするに非(あら)ずや。其の悪を攻(せ)めて人の悪を攻むること無きは、慝を脩むるに非ずや。一朝(いっちょう)の忿(いか)りに其の身を忘れて、以て其の親に及ぼすは、惑えるに非ずや、と。(「顔淵第十二」21)
弟子の樊遅が孔子に従って舞雩壇附近へ遊覧に出かけたときのこと、樊遅が「この際、おたずねしますが、どのようにしますと、私めの人格を高め、心の中の悪を正しく、迷いを分別することができましょうか」と質問しました。孔子は「なかなかいい質問だ。まず実行、その報いは後、これが人格を高めることではなかろうか。己の悪は責め、他人の悪を咎めない。これが心中の悪を正しくすることではないであろうか。かっとなって怒り、我を忘れて争い禍いが親にまで及ぶ。これが迷いではないであろうか」といいました。
「反自民政治、非小池都政」「小池都政をリセット」、そうした言葉がネガティブに響き、怒りをイメージさせ、かえって分断を助長することになったのかもしれません。支援した立憲民主党を含め、それが弱みになっていそうな気がします。
「何度も選挙を経験したが、これまでなかったような選挙戦だった」と小池さんは選挙戦を振り返っていました。
ポスターの掲示、さらには脅迫を受けたり、街頭ではやじの大合唱があったり、これまで経験したことがないような選挙戦だった」想定しなかった事態に対し、どう法的な課題の整理ができるかといった点も今回の選挙を通じて感じた。(出所:NHK)
東京都知事選の異様な選挙運動、正常化へあらゆる検討を 社会部長・酒井潤 - 産経ニュース
ネット戦を繰り広げる石丸氏が激しく追撃するようになり、小池さんにとっては厳しい戦いだったということでもあるのでしょうか。小池さんの得票率は40%あまりだったといいます。フランスのように過半数に達しない場合は決選投票という仕組みがあれば、もしかして変化があったのかもしれません。2位と3位の得票数の合計は小池さんが得た得票に肉薄していました。
また、色々と改革の必要性を意識する選挙戦でした。 選挙の戦い方に一石を投じたようです。これから本格的に選挙制度を見直してもらいたいものです。手間ですが、決選投票のしくみを導入すれば、政権交代がもう少し頻繁に起こるようになるのかもしれません。
同時に行われた東京都議補欠選挙では、自民党候補が、党役職停止1年となった萩生田前政調会長の地元 八王子市選挙区で敗北するなど8選挙区で2勝3敗の結果となったそうです。
全敗は免れたようですが、こちらは厳しい結果だったようです。さて次は自民党総裁選、こちらはどうなっていくのでしょうか。
「参考文書」
フランス得るため過去を裏切ったルペン氏-極右を主流に近づけた功績 - Bloomberg
フランス議会下院選挙で左派連合「新人民戦線」が最大勢力へ 地元メディア予測 極右政党の勢い止める | NHK | フランス
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