日経平均株価が「意外高」で4万1580円17銭で取引を終え、再び史上最高値を更新しました。TOPIXも取引時間中の史上最高値を上回ったそうです。株価がまた上昇基調に転じているようです。
バブルの呪縛解かれた日本株、TOPIXも34年ぶりに史上最高値更新 - Bloomberg
日本株市場全体の値動きを示すTOPIXも、先日史上最高値を更新していました。投資対象が様々な業種に広がり、日本株市場がバブル経済の呪縛から解き放たれたようだとの声が上がっています。
賃金の動きとは別もののようです。実質賃金は26か月連続でのマイナスとなったそうです。名目賃金が高い伸びを示すものの、依然物価水準を下回っているのが理由といわれます。
輸出関連企業には好都合な歴史的円安は、個人消費を冷え込ませます。長引く物価高で消費者は節約志向が強め、円安による先々の物価高懸念がさらに財布の紐を固くします。
たこ焼きが高級品になる日 食品値上げ、家計を直撃 値上げ 変わる食卓の常識(1) - 日本経済新聞
実質賃金が劇的に改善するか、先々の物価高懸念が緩和、解消しない限り、低迷する個人消費も改善が無そうだといわれます。物価の番人であるはずの日銀の腕の見せ所なのでしょう。今月末の金融政策決定会合ではどんな政策が示されることになるのでしょうか。感じる矛盾のようなわだかまりを解消して欲しいものです。
日銀、追加利上げへ構え解かず 6月短観は堅調維持 - 日本経済新聞
日銀は物価高騰を長らく容認し、またその政策姿勢によって円安進行を助長させていました。たとえ今回追加利上げがあったとしても今の円安が一気に円高にふれ、加速度的に動くことはなさそうです。しばらくは株価にとって追い風のままで、株価上昇の高揚感は上場企業に限ったままになりそうです。
税収が上振れしていることからして、円安は政府にとってもメリットがありそうです。企業業績の好調が続けば法人税が伸び、物価が上がれば消費税収入の増加も期待できそうです。かつていわれたトリクルダウンで、格差解消を推進すべきなのでしょうが、なんだかなぁとの状況が続いています。
論語に学ぶ
子張(しちょう)問う、士は何如ぞ斯(すなわ)ち之を達(たつ)と謂う可き、と。子曰わく、何ぞ、爾(なんじ)が所謂(いわゆる)達とは、と。子張対(こた)えて曰わく、邦に 在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ、と。子曰わく、是(こ)れ聞(ぶん)なり。達に非(あら)ず。夫(そ)れ達なる者は、質直(しつちょく)にして義を好み、言を察して色を観(み)、慮(おもんぱか)って以て人に下る。邦に在りても必ず達し、家に在りても必ず達す。夫れ聞なる者は、色に仁を取るも行ないは違(たが)い、之に居りて疑わず。邦に在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ、と。(「顔淵第十二」20)
弟子の子張が「士はどのようなものを達とすべきなのでしょうか」と尋ねました。孔子は「お前が考えている達とはどのようなものか」と問います。子張は「君侯(邦)に仕えましても、卿、大夫に仕えましても、できる男との評判が立ちますことと思います」と答えました。孔子は「それは聞ということであって、達ではない。達なる者は、飾り気がなく正義を好み、他者の言葉の奥を読み取り、その顔つきで真意を見抜き、思慮深くして他者には謙遜する。ということで、君侯においても、卿、大夫においても、達見、達識の人と尊敬される。その一方、聞なる者は、その人の顔つきとしては人格者の風をしているが、行ないはそうではなく、そういうあり方にあっても平気でいる。そして、君侯に仕えても、卿、大夫に仕えても、評判が高いということになっている」と答えました。
「達」とは中身ある名声、「聞」とは有名だが実は虚名を表しています。 中身が薄っぺらなのに有名になる輩が多かったということなのでしょうか。昔も今も変わらないのかもしれません。どこを見渡しても「聞なる者」ばかりのような気がします。
都知事選の余韻が残り、著名人を含め様々な人々が選挙結果を分析しています。キレッキレッの鋭さにも人間味の豊かさがあれば、結果はまち違ったものになったような気もします。いずれにせよ、「聞なる者」ではなく「達なる者」の登場が待たれます。そうした人々によって描かれるビジョンなり構想が広くイメージとなって共有することができれば、社会が変化なり改革されていくのかもしれません。
「参考文書」
日経平均は3日ぶり反発、最高値更新 米イベント前に「意外高」 | ロイター
基本給31年ぶりの高い伸び、春闘反映-実質賃金は26カ月連続マイナス - Bloomberg
9月にも実質賃金プラスへ(5月毎月勤労統計):それでも個人消費の回復は遠い|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)