「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【ふるさと納税】楽天は、なぜポイント付与禁止に抵抗するのか

 ふるさと納税のポイント付与に関する制度変更方針を総務省が発表しました。自治体が仲介サイトに支払う手数料がポイント原資になっているのではないかとし、これを問題視してとのことといわれます。これに対し、楽天のグループの三木谷社長が「ポイントは楽天負担」と反論したようです。また、制度変更に反対する署名活動への協力を呼びかけているといいます。

楽天・三木谷氏、ふるさと納税ポイント付与禁止に声明 署名活動に賛否、楽天ポイント「改悪」との整合性問う声も: J-CAST ニュース

総務省による今回のポイント付与禁止の告示は、民間原資のポイントまでも禁止し、地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、各地域の自律的努力を無力化するものです。地方の活性化という政府の方針にも大きく矛盾しています。(出所:J-CAST ニュース)

 

 

 ポイント原資が手数料ではないとすれば、そのおカネはどこから生じるのでしょうか。かなり無理ある説明に聞こえます。扱い高が増えれば増えるほど手数料収入も増加する、それを原資にしてポイント還元で顧客誘引する、ビジネスとしては自然な流れだと思います。

 ふるさと納税では自治体がサイトに掲載手数料を払い、サイトはポイントの還元などで顧客獲得を競っているの実態だといわれ、ECサイト化しているともいわれます。

論語に学ぶ

富と貴きとは、是れ人の欲する所なり。其の道を以てせざれば、之を得るも処(お)らざるなり。貧と賤とは、是れ人の悪(にく)む所なり。其の道を以てせざれば、之を得るも去らざるなり。君子、仁を去りて、悪(いず)くにか名を成さん。君子は終食(しゅうしょく)の間も仁に違うこと無く、造次(ぞうじ)にも必ず是に於いてし、顚沛(てんぱい)にも必ず是に於いてす。(「里仁第四」5)

  「財産と高い地位とは、人間の求めたがるものである。しかし、正当な方法を用いなかった結果であるならば、たとい得たとしても私はそこにいない。貧困と低い地位とは、人間の嫌うものである。しかし、正しい方法を用いなかった結果であるなら、たといそうなっても私はそこから出ようとはしない。君子 教養人たる者は、「仁」正当なあり方を外れて、どうして「君子」と名乗れようか。君子 教養人は、食事中という短い時間においても、正当なあり方を忘れない。いや、慌ただしいときでもそうだ。いや、倒れそうな時においても「仁」をはなさないと孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子は、「仁を」守る人はおのずと富みかつ貴くなるはずで、逆に不仁者は貧しく賤しい地位におちるはずであるという考え方をもっていたといいます。孔子が生きた古代においても、不義なことをして富を得る者も多かったそうです。「富を為せば仁ならず、仁を為せば富まず」という考え方もあったといいます。

 

 

ふるさと納税も、もうそろそろ抜本的に制度を見直してもよいのかもしれません。行き過ぎた競争がおかしな風習となって、大いなるムダを作り出しているように見えてしまいます。地方活性化という目的があるならなおさらです。そこに回るおカネの最大化を考えるべきなよう気がします。

 楽天もテクノロジー企業であるのなら、テクノロジーを正しく使ってほしいものです。ポイントを利用して富を搾取するなど悪い使い方するのではなく、地域の応援に直接結びついていくよう共感を広めるように使うことはできないのでしょうか。

 デフレ時代に成長したサービスがそのまま、このインフレ時代に生き残ることはないのでしょう。どの時代も低廉な商品を求めることは変わりないかもしれませんが、消費のマインド、スタイルが同じということはないのでしょうから。

 楽天がもっとテクノロジー企業らしくなっていくと、日本のデジタル産業もちょっと違う展開が期待できるようになるのかもしれません。

 

「参考文書」

楽天、ふるさと納税の方針に反対署名 ポイント付与禁止 - 日本経済新聞