「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

「米国はひとりではない。日本は米国とともにある」、身のほど知らない首相の米議会演説

「米国の最も親しい『トモダチ』として日本国民は米国と共にある」、首相が米議会の上下両院合同会議でそう演説したそうです。

「日本は米国の最も親しいトモダチ」…岸田首相、米議会の上下両院合同会議で30分以上演説 : 読売新聞

 国際秩序が脅威に直面していると指摘、米国に国際秩序の維持に関与し続けるよう求 め、日米の結束を呼びかけ、グローバル・パートナーとして日本も大きな責任を担う考えを示したといいます。

 準備された力のこもった演説だったようです。米国の国際貢献を称え、米議会の関心事であろう中国の脅威を指摘し、日本がパートナーとし、「アメリカはひとりではない。日本はアメリカとともにある」と訴えたそうです。

 

 

 首相自ら先頭に立って防衛費増額などに取り組んできたことを紹介し、日本は「第2次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国」から「強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきた」と語っていました。

 戦後高度成長期を経験し、一時は米国を追い越すこともあるのではないかいわれた日本。しかし、その勢いは失せ、米国や中国に比し経済規模は大きく見劣りすようになってしました。そんな現実をわきにのけて、身の丈をわきまえず、過度なリップサービスだったようにも聞こえます。それがコミットメントとなって、この先の負担や苦役にならないか心配です。首相本人としては満足できる演説だったのでしょうけれども。

無謀さ

「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」、北朝鮮による核ミサイル開発の脅威を訴え、日米間の緊密な連携も求めたそうです。

 首相の誇大妄想的な強い恐怖心に支えられた強い危機感が行動の源泉なのでしょうか。それなりに論理はあることなのでしょうが、最善なるものなのかは甚だ疑問です。

難しい時代こそ道を誤らない周到さや慎重さが必要だ。対中抑止強化を進めるにも国民的議論が欠かせない。国会をパスして首脳会談での合意を既成事実化するような手法は禍根を残す。(出所:毎日新聞

余録:「二度とアメリカの土を踏まない… | 毎日新聞

 米国は中国との間に対立を煽りながら、首脳同士で電話会談を行ったり、財務長官を訪中させるなどの配慮を示します。対立するからこその意思疎通といいます。しかし、首相の言動には甘さがあるようです。無謀ともいえそうです。

 

 

論語に学ぶ

斉(せい)の景公(けいこう) 馬千駟(せんし)有り。死するの日、民 徳として称(ほ)むる無し。伯夷(はくい)、叔斉(しゅくせい)は首陽(しゅよう)の下(もと)に餓(う)う。民 今に到るまで之を称む。誠に富を以てせず、亦(また)祗(まさ)に異を以てす。其れ斯の謂いか。(「季氏第十六」12)

 景公は、馬四千余を有するほどの強国 斉の君主であった。しかし、その死後、だれも人格者として賞賛する者はなかった。伯夷、叔斉の兄弟は首陽山に隠れ、餓死した。人々は彼らを今に至るまで賞賛している。「人に永く賞賛されるのは実に富によるものではなくて、ふつうの人と異なるすぐれた徳行に依る」、詩句にあるこの言葉はこのことを言うのであろう」と孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「景公」、庶子が多く、世継ぎを立てることができず、また重臣の勢いが強く、死後、斉の国では内乱が起きることになったといいます。一方、伯夷、叔斉の兄弟は、周王朝の始祖武王が殷王朝を倒そうとしたとき、秩序を乱すと諫めたが聞き入れられず、その行為を恥じ、首陽山に隠れ、周王朝の下でとれた食物を食べずに餓死したといいます。

 

 

「内憂外患」、国内には心配事が多々あり、近隣諸国との間にやっかいな事態に陥り、その解決もおぼつかないのに、強国ぶるの如何なものなのでしょうか。

自民、内向きの車座対話 国民の「生の声」届かず?:時事ドットコム

「自由、民主主義、法の支配を守るのは日本の国益で、人権が抑圧された社会を私は子どもたちに残したくない」(首相の議会演説で)とは、よくいったものです。

 怪しげな団体と癒着したり、違法行為に手を染める議員、差別発言を繰り返す議員を多く抱え、首相自ら脱法行為のようなことをし、党幹部も同様なことをしでかしています。首相のその言葉とは裏腹なような社会が今ここにあり、多くの国民が辟易しています。それが支持率となって現れているのに、それを勘違いしているのか、国民から白紙の委任状を与えられたかのように外交舞台で振舞うの如何なものなのでしょうか。

 本人的にはG7広島サミット同様、今回の日米首脳会談も大成功ということなのでしょう。ご満悦の旅、本人なりにレガシー作りができたと思うのであれば、そろそろ退くことも考えてもらいたいものです。

 広島サミットのメインテーマであったはずのウクライナ問題は何一つ進展せず、かえって問題が深刻化しているようです。あれだけ盛り上げ、首相ご自慢のサミットも成果に結びついていないようです。自己満足はもうそろそろやめてもらいたいものです。

 首相の退陣こそ「後世にも残る業績」になりそうですし、「未来へ受け継がれるもの」になるような気がします。

 

「参考文書」

岸田首相 アメリカ議会で演説 “国際秩序守るため大きな責任担う” | NHK | 日米首脳会談

半導体覇権競争の行方、経済的威圧に出る米国 | TECH+(テックプラス)