「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【揺らぐポイント経済圏】PayPayのサービス改悪、苦境のソフトバンクG

 

「PayPay改悪」が話題になっているようです。クレジットカードの新規登録および利用を停止するなどいくつかの変更を発表したことに端を発しているそうです。

「PayPay改悪」がトレンドに。他社クレジットカード排除の動きに、利用者が取れる対応策は? | 社会の今、未来の私 | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!(1/2)

 どのクレジットカード会社のカードでも登録できていたのが、8月以降、PayPayが発行するカード以外は利用できなくなるといいます。また、「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」でPayPayに残高をチャージする際、不要だった手数料がかかるようにもなるそうです。

 顧客の便益を優先するということを忘れたかのように、いとも簡単に改悪できてしまうことに驚きます。信じ難いことです。

独走したはいいけれど

 これまで大々的にキャンペーンを行い、大盤振る舞いにポイント乱発してきた「PayPay」、一気にシェアを拡大させ、年間決済取扱い高が10兆円を超え、独走、圧倒的なシェアを確保し、顧客を囲い込み、規模の面で他社より優位になったといいます。

 しかし、乱発したポイント付与はコストであったであろうし、また、決済には手数料というコストも発生します。「PayPay」のサービス変更にはこうしたコストを削減することを目的としているのではないとみられているようです。

 会社にとってはコスト削減というメリットであっても、顧客にとってはサービスの改悪と映ります。

企業としては初期投資を回収しなければならず、自社のクレジットカードを優先するという行為はやむを得ない面がありますが、一方で消費者の立場からすると決済手段が限定されてしまうというのは良いことではありません。(出所:mi-mollet ミモレ)

苦境のソフトバンクグループ

「PayPay」の親元であるソフトバンクグループの業績が悪化しています。AI 人工知能関連企業に投資するビジョンファンド事業の巨額損失を計上したことが主な原因といわれています。

ソフトバンクを悩ますZHDの低迷、さらなるグループ再編の予兆:日経ビジネス電子版

 また、グループの中核であるソフトバンク自体も通信料値下げという逆風下にあるのに加え、子会社のZホールディングスも低迷しているといわれます。LINEやZOZOなど有力ネットサービスを続々と買収して拡大してきたZホールディングスですが、効率的な経営に至っていないようです。

 こうしたこともあってのことか、アナリストからは、10月に合併するLINEとヤフーに加え、ソフトバンクも含めて1つの企業になるべきだという声が上がっているそうです。

論語に学ぶ

君子は義以て質と為し、礼以て之を行ない、孫以て之を出だし、信以て之を成す。君子なるかな。(「衛霊公第十五」18)

 君子 教養人は、道理をもって本質とし、礼法に従って実践し、謙遜して発言し、誠意をもって貫くと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 君子、教養人に求められるセンス、素質を表した言葉というところでしょうか。これに対し、小人とされる知識人は、利益、損得を優先して考えるといいます。

 また、「礼」とは、規範、道徳の表現と意味し、拡大解釈すれば、ビジネスにおいてはサービスの質とその提供と考えてもいいのかもしれません。

企業が成長を目指すことは悪いことではないはずです。しかし、それが己の欲得を満足させるために、手段を選ばずになってはならないということなのでしょう。あくまでも顧客の便益あってのこと、よきサービスを提供することがビジネスです。

スマホ決済サービスの限界

 QRコードを利用したスマホ決済などのサービス悪化は、「PayPay」だけではないといいます。

「LINE Pay」「au PAY」.....どのサービスも、グループ会社の業績不調が影響していそうだと記事は指摘します。

各社とも利益重視の守りの戦略を重視するようになり、スマートフォン決済にもその影響が及んだ結果、利用者からして見れば「改悪」につながる変更が相次いでいるのではないだろうか。(出所:日経クロステック)

au PAY」「LINE Pay」も以前なら、利用者を囲い込むため自社系列のサービス利用時はお得さを維持していたそうですが、それが系列のサービスを利用してもお得にならないケースが増えてきているといいます。それだけ各社の経営状況が厳しいのだろうと指摘します。

揺らぐポイント経済圏

 コロナ渦にあって政府の呼びかけもあって一気に進んだスマホ決済。こうした事態になると、先々を見ずに、顧客の囲い込むために短期間にお得キャンペーンを乱発するなどの過剰サービスがあだになったといってもいいような気がします。ポイント経済圏の成長にも限界が見えてきたということなのでしょうか。

 また、同じキャッシュレスなら、電子マネーやクレジットカードなどのタッチ決済でも十分で、そちらの方が手間いらずで利便性が高いのではとの指摘もあります。

 こうした事態になることは、サービスを始めたときから企業側では想定できていたはずです。それでもなぜに大々的にキャンペーンを行ったりしたのはなぜなのでしょうか。

 そんなことに振り回されることなく、提供いただけるポイントを上手に利用しつつ、どのサービスがもっとも利便性がよいのか、しっかり見極め、選択した方がよさそうです。また、そうすることで企業に気づきを与えることになるのかもしれません。

 

「参考文書」

「改悪」と呼ばれたPayPayのサービス変更、お得さを失ったQRコード決済の今後は | 日経クロステック(xTECH)

ソフトバンクGが2期連続赤字に、損失額9700億円-ファンド不調 - Bloomberg