「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

少子化対策が優先されずに、なぜ防衛費増額で先になるのだろうか

 

 北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射やロシアによるウクライナ侵攻を受けて、国民世論が防衛力の強化を求めるようになり、「平和の党」を掲げる公明党が姿勢を転換しているようです。これまでは安保分野で前のめりになる自民党を抑える「ブレーキ役」になっていたそうですが、世論に押されて現実的対応を優先させているといいます。

「専守防衛」形骸化の恐れ 反撃能力、日本も保有―脅威増大、世論の変化反映:時事ドットコム

 平和の党とはよくいったものです。世論に押されてと言い訳し、先制攻撃になりかねない反撃能力を容認しているようでは、選挙目当ての行動としか見えません。平和の党なら、絶対に自国に危害が及ばぬよう断固した言動をとり、それをもって国民に安心を与えるのが役割ではないでしょうか。

 確かに国際情勢の変化に不安を感じます。自国に危害が及んでほしくはありません。しかし、反撃能力を保有すれば抑止できるものではなく、真に国を守るということは平和を堅持することであり、いかなる脅しにも屈せず、平和をもって対抗すべきなのでしょう。

 

 

 岸田首相が国会で、「国内防衛産業はわが国の防衛力そのもの」とも言えると答弁したそうです。また「防衛力の抜本的強化には、装備品を供給する防衛産業の強化が必要」と述べ、新たな国家安全保障戦略などを策定する中で、抜本的対策に関する議論を進めているそうです。

国内防衛産業は「大変厳しい現状」、強化が必要=岸田首相 | ロイター

 物価高騰に多くの人々が辟易し、上がらない給与を嘆き、目減りする実質賃金に落胆しています。それなのに増税や防衛費の議論をしているときではないのでしょう。ミサイルが飛んでくる前に、国として成り立たなくなってしまうのかもしれません。

 喫緊の課題であるはずの少子化対策は遅れ、財源の確保は見通せていないといいます。首相は6月の国会では「子供を支えるために社会全体で議論を行い、その積み上げによって予算倍増を目指す」と述べていました。国際情勢が変化したといえども、ぶれてはならないのが少子化対策ではないでしょうか。

子供政策の財源確保 「3兄弟」の中で目立つ停滞ぶり 岸田政権 - 産経ニュース

政府は論点整理をもとに年内に子供政策に関する中長期的な改革工程表をまとめるが、当面は財源確保策まで手が回らない状況だ。厚生労働省幹部は「国民の理解を得る必要もあり、ハードルが高い」と語る。(出所:産経新聞

 巨額の財源が必要になる少子化対策に、与党内からは「国民負担ありきではなく、国の予算を総点検し、無駄を省くのが先だ」との声も上がっているそうです。

 

 

 また、防衛費増額の財源として、増税で賄うことに自民党内で強い反発が出てきているといいます。それに加え、2023年度税制改革案に増税策を盛り込むことは、日程的にもかなり難しくなってきているそうです。

問題先送りの公算が高まる防衛費増額の財源確保 | 2022年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 記事は、2023年度の防衛費増額分は一時的な財源で賄い、本格的な財源確保の議論は来年に先送りする可能性が高まっていると指摘します。

防衛費増額分を国債発行で賄えば、それは遠い将来にわたって国民への負担増となり、世代間の負担の公平性の問題を生む以外に、将来の成長期待の低下を通じて企業の設備投資の抑制などを生じさせ、経済の潜在力を低下させてしまうだろう。それによる国力の低下は、結局のところ、防衛力の低下にもつながってしまうのである。(出所:野村総合研究所

 そういうことなのでしょう。無理にことを進めとようするから、異論もでるのではないでしょうか。

 お金がないのに、あれこれも手を出しては破綻するだけです。打ち出の小槌があるというのでしょうか。もしあるとすれば、それはムダを省いてそれを原資にするしかないのでしょう。非効率を排し、より効率的なものに置き換えていくべきなのでしょう。

 しかし、それも真に必要なものに優先的に投入するべきであって、効果が薄いものは優先順位を下げざるを得ません。それでも何かの対処が必要なら、費用をかけずに代替することを検討すべきで、そこには知恵が求められます。防衛費はその最たる例なのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

君子は坦(たん)たらんとして蕩蕩。小人は長たらんとして戚戚(せきせき)たり。(「述而第七」36)

   君子、教養人は公平であり、ゆったりしているが、小人、知識人は他者よりも長(まさ)ろうとしてこせこせすると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 岸田首相も先の首相に負けまないとこせこせせずに、もっとゆったりと構えて、今すべきことに集中すべきなのでしょう。そう見えてしまうのが残念です。