「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

暴走する自民党の議論、首相は恐怖に取りつかれたのか

 

「防衛力の抜本強化は安全保障政策の大転換で、時代を画するものだ。責任ある財源を考えるべきで、いまを生きる国民が自らの責任としてその重みを背負って対応すべきものだ」

防衛費増額巡り 首相「国民自らの責任」 一部増税で賄う考え | 毎日新聞

 岸田首相が自民党の役員会で述べ、防衛費増額の一部を増税で賄う考えを改めて示したといいます。

 とある専門家は政府発表から、南西方面での戦いを想定した5か年計画だろうと指摘しています。仮想敵国に侵攻を思い止まらせようとするのものなのでしょうが、首相お得意の外交はどうなっているのでしょうか。

 想定事項に恐怖おののいては、適正な判断ができようはずがありません。多くの人が平和を望んでいるはずです。

 

 

「自らの暮らしを守り、国を守るという国民一人ひとりの主体的な意識こそが何より大切なのはウクライナの粘り強さが示している。このことも十分念頭において議論を進めてもらいたい」、首相はそう述べたそうです。

 断じて東アジアで武力行使は許さないという強い信念がなければ、平和は維持できず、国を守ることはできません。誰もウクライナで起きていることが東アジアで起きることを望んでいないのでしょう。ウクライナを引き合いにすること自体がナンセンスではないでしょうか。

驚きである。抜本的な安全保障政策の変更が、これほど短期間に、さしたる反対の動きもなく、進められていくのは長年日本の安全保障問題に携わってきた者からすれば、驚天動地の事態だ。(出所:毎日新聞

外交ビジョンなき防衛力の飛躍的拡充 | | 田中均 | 毎日新聞「政治プレミア」

「首相が唐突に2027年度までの防衛費総額を43兆円とし、GDP比2%に到達すべきことを閣僚に指示したことは尋常ではない」と記事は指摘します。

 現行の防衛費での問題点に対する緻密な議論もなく、「防衛費の総額」ありきの指示には本当に驚くといいます。

 国民の責任というなら、その賛否を問わずして、前に進めることは横暴極まりないと言わざるを得ないのではないしょう。

 

 

 誠もって驚きです。自民党税制調査会では、防衛費増額の財源として法人税増税が引き続き検討され、法人税額に5%程度を上乗せする案を検討しているそうです。また、自民党内でも意見が分かれているそうですが、復興特別所得税の活用の話も持ち上がっているようです。

論語に学ぶ

子貢(しこう)曰わく、管仲(かんちゅう)は仁者に非(あら)ざらん。桓公(かんこう)は公子糾(こうしきゅう)を殺せるに、死すること能(あた)わず。又 之を相(たす)けり、と。

子曰わく、管仲桓公を相け、諸侯に覇たらしめ、天下を一匡(いっきょう)す。民 今に到るまで、其の賜(たまもの)を受く。管仲微(な)かりせば、吾其れ髪を被(こうむ)り衽(じん)を左にせん。豈(あに)匹夫匹婦(ひっぷひっぷ)の諒(まこと)を為して、自ら溝涜(こうとく)に経(くび)れて知る莫(な)きが若くならんや、と。(「憲問第十四」17)

管仲は立派な人物ではありますまい。桓公が公子糾を殺したとき、死ぬことができず、その上、敵であった桓公の謀将となったではありませんか」と、弟子の子貢がいいます。すると孔子は「管仲桓公が補佐して諸侯の覇者たらしめ、諸侯をして周王室を尊崇せしめた。こうして平和にして民は今に至るまでその恩恵を受けている。もし管仲がいなかったならば、外国からの侵略を受け、その慣習を強いられるようになり、髪は結ばずさんばら髪となり、衣服も左前に着ることとなったであろう。庶民に通ずる小さなまごころを尽くして溝の中で首をくくって自殺し、世にはその名を知られずに終わるような小さな生き方と比較できようか」といったといいます。

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管仲」、中国春秋時代、「斉」の桓公に仕え、覇者に押し上げた人物。「倉廩実て則礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を知る」、倉庫が一杯になってはじめて礼儀をわきまえるようになり、衣服や食糧が充分あってこそ名誉や恥について考えるようになるとの意の言葉を遺しています。まず民生の安定があってこそ政治が行えるという考えをもっていたと言われます。

 

 

 厳しい財政事情の日本にあって、将来不安の解消が喫緊の課題とされる中、防衛費だけが突出し、社会保障費や子ども政策などが置き去りにされてもよいのでしょうか。

 恐怖に取りつかれた首相が見境もなくなっているように見えてなりません。

 

「参考文書」

政府、ミサイル垂直発射型の潜水艦整備へ 海中からの反撃能力行使も | 毎日新聞

法人税額に5%上乗せ案 防衛増税で自民税調 | 共同通信

高市早苗氏「罷免されても仕方ない」 防衛費増額の財源巡る発言: 日本経済新聞