子夏(しか)曰わく、百工(ひゃっこう)は肆(し)に居(お)りて以て其の事を成し、君子は学びて以て其の道を致す。(「子張第十九」7)
(解説)
子夏の言葉。「工(たくみ)は作業場においてその技(わざ)を磨き、使い、物を作る。君子 教養人は学ぶことで道を磨き、実践する」。(参考:「論語」加地伸行)
「百工」はさまざまな工(たくみ)
「肆」、裏で物を作り、それを表で販売していた古代。そうした店でもあり作業場のこと。
「子夏」、姓は卜(ぼく)、名は商。孔子より44歳若く、孔子学団の年少グループ中の有力者。文学にすぐれた、つまり最高の文献学者だったという。孔子晩年の弟子。孔門十哲の一人。後に魏の文侯に招かれ、その師となる。
孔子が外出しようとしたとき、雨が降ったが、傘がなかった。弟子が「子夏がもっていますよ」というと、孔子は「あれはケチだからなあ」と答えたという。続けて「人の長所を言い、短所を忘れることによって、長くつきあいができるのだ」と言ったと、加地は「孔子家語」の一節を紹介する。
(参考文献)