「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【人 己を絜くして進む。其の絜きを与すは、其の往を保たざればなり】 Vol.178

 

互郷 与(とも)に言い難し。童子(どうじ)見(まみ)ゆ。門人 惑う。子曰わく、其の進むを与(ゆる)し、其の退くを与さざるに、唯何ぞ甚だしきや。人 己を絜(いざぎよ)くして進む。其の絜きを与すは、其の往を保たざればなり。(「述而第七」28)

  

(解説)

「互という郷あたりは、ともに話せる相手ではなかった。学問の心得がまだ浅い初学者が孔子を訪れ面会した。門人たちは、面会許可をいぶかしく思った。すると孔子はこうおっしゃった。「学問を進んで求めることを許し、怠って退くことを許さないのが筋であるのに、お前たちは、なんとまあ、ものすごいものよ。人間が率直な気持ちとなって学問に進むならば、その率直な気持ちを私が許すのは、過去のありかたにしがみつかないからだ」と。」論語 加地伸行

    

 「童子」、15歳以下の子どもという意味もあるが、学習経験の少ない者、初学者と加地は解する。「童子」を絶対年齢とするか、習熟年齢とするかに異なるという。

 

 

「往」は「去る」、「保」は「保証する」と解し、孔子の下から「去ったあとの行為は保証しない」と解するのが通説だという。しかし、わざわざ教えを乞いに来た者に、教えたのち、そういう無責任なことを孔子が言うはずがないと加地はみる。

「既往は咎めず」と同じ意味と加地はいう。

 

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫
 

 

 
 
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