「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【我 仁を欲すれば、斯ち仁に至る】 Vol.179

 

子曰わく、仁 遠からんや。我 仁を欲すれば、斯(すなわ)ち仁に至る。(「述而第七」29)

  

(解説)

孔子の教え。仁は難しい徳であろうか。己がそうでありたいと志せば、ただちにその境地に達するのだ。」論語 加地伸行

    

 桑原の解説。

 仁は最高の徳だが、だからといって決して高遠無比、手の届かないところにあるものではないという。自分が本気でそれを欲求しさえすれば、仁はたちまちここに現前する。

 仁は遠い、しかし、それだけにそれを欲求する熱意が強ければ、たちまちに現前するのである。文学者である桑原は、「欲」を強くよみたいという。また、「斯」を「ここに」とよみたいという。そうすることで、「遠い」という言葉のあとに目の前の近接感が出てくる。孔子が弟子を励まして、仁に至らしめようとした名文句であるという。

 

 仁は至難でもなければ安易でもない。それを現前せしめるのは生体の意志の志の問題だとするのだ。 

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫