「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【斯を之れ未だ信ずる能わず】 Vol.100

 

子 漆彫開(しつちょうかい)をして仕(つか)えしむ。対(こた)えて曰わく、吾 斯(これ)を之れ未だ信ずる能(あた)わず、と。子 説(よろこ)ぶ。(「公冶長第五」6)

  

(解説)

孔子が漆彫開をある求人に推薦なされた。ところが、漆彫開はこう申し上げた。「私めは、その任に堪えられますかどうか、まだ自信がありませぬ」と。孔子はお喜びになられた。」論語 加地伸行

 

 桑原は、もう少し深く解説する。「斯を官僚のあり方そのものととり、主体の問題よりも客体の存在そのものに疑問を感じ、そこにコミットする気持ちになれない、と弟子がいい、役人社会の表裏をよく知っていた先生が、お前の気持ちはよくわかる、そのとおりだよ、とうれしげに答えた、とするのはあまり新しい解釈すぎるだろうか。」

 

 「漆彫開」、孔子より12歳年少の弟子で、魯の人といわれる。孔子が漆彫開に仕官を進めたときの問答。

 「斯」が何を指すかで諸説あるという。桑原は古注の「仕官」と読んで解説している。

 桑原の解説はわかりやすい。孔子が現代の理想の上司像に思える。

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)