円安の進行が止まりません。有効な対策をとれない政府・日銀の姿勢を見透かされ、円売り圧力が強まっているといいます。
再び160円台、助長した政府と動けぬ日銀 市場見透かす 田村峻久 - 日本経済新聞
「酷暑乗り切り緊急支援」、政府が電気代補助などを再開させることが、かえって円安を助長するとの見方も浮上しているといいます。好循環ではなく、悪循環に陥るのではないかと心配になります。
日経平均株価も反落、一時前日比400円超下げる場面もありました。円安が投資家心理を悪化させているそうです。円安が業績の追い風になるはずの自動車など輸出企業も影響を受けたようです。
日経平均株価325円安 「円安恩恵組」にも売り広がる 河井優香 - 日本経済新聞
円安の追い風をつかみきれずに、逆に悪いニュースが増えるばかりです。円安の風に乗ってさらにインバウンドを拡大させようにも、人手不足が足枷となるようです。成田空港や地方空港などでは、製油所から空港近くまで燃料運搬船を確保できないことが理由のようだといいます。
解決すべき課題が明確になっているにもかかわらず、改革が進まないようです。
論語に学ぶ
祝鮀(しゅくだ)の佞(ねい)有らずして、宋朝の美有るは、難いかな、今の世に免れんこと。 (「雍也第六」16)
祝鮀のような口才がなければ、宋朝のような美貌があっても難しいな、今の世を無事にわたってゆけまい、と孔子はいいました。
「祝鮀」、衛国の大夫で「口才」弁舌の才能があったそうです。「宋朝」、衛の君主霊公の夫人 南子の愛人で、容姿が美しかったといいます。孔子が生きた乱世にあっては、才知がなくただ美しさを売りにしたところで、何の役に立たず、生き抜くことも難しかったようです。
「口才」、弁舌が巧みで、口先のうまいこと。噓八百を並べたり、相手より優れていることを見せつけるようなマウンティング的な言動では口才があるとはいえず、人柄、人格が疑われるのが関の山です。今も昔も、会話、対話を上手に成立させてゆくには「口才」は必要な素養と言っていいのかもしれません。
「酷暑乗り切り緊急支援」と首相が口に出したことでまた混乱が起きているようです。丁寧な意思決定プロセスを踏まなかった上、猛暑が予想される7月分に間に合わないことが理由のようです。総裁選再選戦略の一環と容易に見透かされ、政権浮揚へなりふり構わぬ首相の焦りと受け取られているようです。
困惑・批判、政権内で拡大 「場当たり」「猛暑に間に合わず」―電気代補助:時事ドットコム
もう少し政府要人たちに口才があれば、今の円安をはじめとするこの苦しい状況も異なる展開になりそうな気がします。牽制は必要なのでしょうが、同じ内容を繰り返し述べるだけでは見透かされて、効果は期待できそうにありません。
異常に対しては、ときに異常と言われるような政策で対応するしか手がないこともあるのかもしれません。それでも期待に働きかけるコミットメントがあれば、人々の反応も異なったものになるのではないでしょうか。
株主総会では
株主総会では活躍するアクティビスト 物言う株主が株主提案するなどして攻勢を強めています。まだまだ否決する企業が多いようですが、株主総会がこれまでになく活性化してきているようです。
株主総会ピーク、北越コーポと京成電鉄への提案が否決 - 日本経済新聞
個人株主も株主提案に賛同するようになったり、企業価値向上策を巡る経営監視の目が厳しくなってきているようだといいます。こうしたことで企業改革が一段と進めば日本経済にもプラスとなって、円安阻止の一助にもなっていくのかもしれません。
こうした株式市場改革は、政府の功績なのかもしれません。政府施策の中には良策もあるのでしょう。もう少し上手に説明できれば状況が変わることもありそうです。
生産性の向上、人手不足対策、新規事業の開発、これらの課題解決に生成AIやデジタルの活用などやらなければならないことが多々ありそうです。みなが口才を磨き、コミュニケーションが今以上に活性すれば、意外と早く課題解決が進み、この苦境から抜け出ることも出来そうな気がします。
「参考文書」
燃料不足、成田発着路線にも影響 週57便で運航見合わせ - 日本経済新聞