「ナフサ在庫は実質半年分ある」。高市首相が記者団を前に発言したこの言葉は、現実と乖離しているようです。
ナフサ、高市首相「在庫4カ月」で安心? 状況改善でも一部化学品は不足 - 日本経済新聞
この言葉が示す通り、今の日本を覆っているのは、言葉の重みを失った指導者による「統治の結末」ではないでしょうか。
「数字のレトリック」に隠された不誠実
政府が「在庫は十分」と繰り返すのはパニック防止のためかもしれません。しかし、現実にプラスチック原料が底を突き始めている現場にとって、その言葉はもはや**「巧言令色」**に他なりません。
-
ミクロの悲鳴を無視するマクロの強弁: 原油の総量(数字)はあっても、ナフサ(実利)が現場に届かない「目詰まり」の真実を語らない姿勢。それは、孔子が最も忌み嫌った「巧言令色」:言葉を飾り、顔つきを和らげて実を隠す行為そのものです。
外交の「二枚舌」とイラン大使の反論
外交においても、「ちぐはぐさ」が露呈しています。
イラン首脳会談、準備している 高市早苗首相の記者団への発言要旨 - 日本経済新聞
高市首相が「首脳会談を準備している」と国内向けにポーズをとる一方で、駐日イラン大使がSNSで反論を投げかけます。
たった一つ、単純な問いを投げかけましょう。もし、あなたが侵略者である体制側にエスカレーションの停止を求めず、被害者である側にのみそれを促すのであれば、それは実質的に、被害者に対して「自衛をやめろ」と求めていることにならないでしょうか。… https://t.co/Iw1x9NJfiu
— Iran in Japan/ 駐日イラン大使館 (@IraninJapan) 2026年4月7日
- 誠実さなき仲介の限界: 米国の意向に完全に同調しながら、一方で「伝統的な友好関係」を盾に仲介を気取る。その「二面性」が、相手国には「不誠実な二枚舌」と映り、日本の国際的な信用(信)を失墜させています。
-
恥を知らぬ言葉の虚無: イラン側から公然と不信感を突きつけられながら、なお「適切なタイミングで」と繰り返す。そこに自らの言葉の軽さに対する「怩(は)じる(恥じ入る)」姿は見られません。
「美意識」の欠如が招く、醜き結末
国会前に集まる数万人の抗議の声、そして地方へと広がるペンライトの光。これは単なる政治的反対ではなく、指導者の**「美意識の乏しさ」**に対する国民の生理的な拒絶反応かもしれません。
-
「恥」を知るという自律: リーダーに求められるのは「論理(ロゴス)」以上に「美学(パトス・エトス)」です。言い訳を重ねるのではなく、潔く非を認め、自らの美学に照らして恥じること。
-
統治の結末としての混乱: 「其の身正しからざれば、令すといえども従わず」。首相がいくらSNSで「事実誤認だ」と反論しても、もはや誰も耳を貸さない。言葉が力を失ったからこその混乱なのでしょう。
まとめ: 政治における「真善美」を取り戻せるか
政治とは、単なる「資源の分配」ではなく、国民との「信頼の契約」です。
不都合な真実も正直に認め、共に困難に立ち向かうよう呼びかける。その誠実な姿があるのなら、そこから信頼も生まれるのでしょう。
「其の言(げん)、怩(は)じざれば、則(すなわ)ちこれを為(な)すこと難(むずか)し」 口先だけで恥じることもなく大きなことを言う者は、それを実行することは難しい。——(「憲問第十四」20)
私たちが政権に対して声をあげるのは、嘘をつくことを自分自身の美意識が許さないという、「人間力」が見えないからではないでしょうか。
全国に広がる混乱の火を消すのは、「巧言」ではなく、リーダーが自らの言葉の軽さに心から「怩(は)じる」という、たった一つの、しかし最も困難な美意識の回復にかかっているのでしょう。
「参考文書」
「生コンがつくれない」 イラン情勢で材料運搬船の重油枯渇、工事停滞の懸念:日経ビジネス電子版
Japan sees weakening economic momentum, early signs of war-induced pain:ロイター
追記
イランの最高安全保障委員会が、米側との協議がパキスタンの首都イスラマバードで10に始まると明らかにしました。
米との協議、10日にイスラマバードで開始 イラン表明 | ロイター
アラグチ外相は、2週間はホルムズ海峡の安全な通航が可能だと述べたそうです。競技が成就して恒久的な和平となることを願わずにはいられません。
「参考文書」
イラン発電所破壊、戦争犯罪の可能性 「生命維持手段」攻撃に批判 - 日本経済新聞

