「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【緊急】繰り返される「機能不全」:平和という脆いインフラが崩れるとき

私たちは今、デジャヴ(既視感)の中にいます。ウクライナで起きたあの「危機」が、今度は中東という舞台で繰り返されようとしています。

カタールLNG施設、イランのドローン攻撃で生産停止 ガス価格急騰 - 日本経済新聞

原油高騰、LNG施設の停止、空域の閉鎖、流れてくるのは「米国とイランの衝突」という遠い国のニュースだけではありません。

「平和」は空気ではなく、維持コストのかかる「最重要インフラ」である

中東の空港では欧州に向かう若者たちが立ち往生していました。欠航となって初めて知った「戦争の現実」。それは、私たちの自由な移動も、日々の食事も、夜の明かりも、すべてが**「平和であること」を前提に設計された、極めて脆い地盤の上に成り立っている**という残酷な再確認でした。

JAL欠航、イラン攻撃で「空域閉鎖」 中東経由の欧州ルートは激減の恐れ:日経ビジネス電子版

平和は、そこにあって当然の「空気」ではありません。一度壊れれば、どんなに高度なAIも、どんなに豊かな資産も、物理的なルートの断絶を前に無力化する。平和とは、私たちが最も投資し、守り抜かなければならない**「生活の最重要インフラ」**なのです。

「力による平和」がもたらす「生活の破壊」

トランプ氏の「力による平和」が、結果としてエネルギー価格の高騰や物流の断絶を招き、私たちの生活基盤を破壊しているという事実は、「武力による平和」がもはや現代の複雑な相互依存社会においては、平和として機能していないことを露呈させています。

米ニューヨークで緊急開催されたデモでは「お金は戦争や占領ではなく、民衆のために使え!雇用や教育のために使え!」とのシュプレヒコールがあがっていました。

イラン攻撃、米国でデモ「戦争より生活を」 MAGA派も反発、鬱憤吹き出す恐れ:日経ビジネス電子版

「外への力」を誇示するために「内への安寧」が削られていることへの、民衆の正当な怒りです。今、米国における最大の政治問題は「アフォーダビリティー(生活費の手頃さ)」だといいます。

日本の「選択肢」:平和という戦略

「世界の真ん中で咲き誇る外交」を掲げる高市政権。現実の危機を前にすると「論評回避」という沈黙です。

米同盟国、自制要求と支持に分断 対イラン軍事作戦―日本は論評回避:時事ドットコム

戦略の不在が透けて見えます。ここで日本が取るべき道は、他国の「力」のゲームに追従することでも、ましてや自らもそのゲームに参入することでもありません。それは、「平和という戦略」ではないでしょうか。

  • 戦略的自律: 他国の軍事行動によって自国の生命線(エネルギー・物流)が脅かされる際、それを「仕方ない」と受け入れるのではなく、平和の維持こそが国家の生存そのものであるとして、国際社会に「生活基盤の破壊」を拒絶する強いメッセージを能動的に発信すること。

  • 平和を構造化する知恵: 物理的な衝突が起きた瞬間に敗北が決まる現代社会において、紛争を未然に防ぐための「平和的な相互依存関係」の設計者となること。これこそが、戦わずして負けないための戦略なのです。

平和とは、守らなければ一瞬で消えるインフラである。私たちが最も投資し、守り抜かなければならない**「生活の最重要インフラ」**なのです。「平和」を消費される資源から「能動的なインフラ」へ。これを国家の生存戦略のど真ん中に据えること。武力に頼らず、追従もせず、しかし「生活」という一線を決して譲らない。これが今の日本に求められている「第三の道」ではないでしょうか。

まとめ:今こそ学ぶとき

子貢問うて曰わく、一言にして以て終身これを行なうべきものありや。子曰わく、其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所、人に施すこと勿(なか)れ。 (「衛霊公第十五」24

弟子の子貢が「一生、守り通すべき信条はありますか」と孔子に問いました。「それは思いやり(恕)だ。自分がされたくないことを、人にしてはならない」と孔子は応えます。

「力による平和」は、自分がされたくないこと(先制攻撃や侵略、生活の破壊)を他者に強いる論理です。

「大義」主張も正当性乏しく イラン攻撃:時事ドットコム

しかし、日本が選ぶべき「第三の選択肢」は、この**「恕」を国家戦略の知恵に昇華させること**ではないでしょうか。

自国の生活基盤を人質に取らせず、同時に他国の生活も脅かさない。この「平和というインフラ」を維持するための徹底した知恵と自律こそが、今の日本に求められている真の「強さ」なのです。

作家 城山三郎氏は自身の戦争体験を小説化し『大義の末』として表現しました。そこで描かれたのは、国家が掲げる巨大な「大義」の陰で、「青春の喪失」と「思想の転換」、個人の生や日常がいかに無残に踏みにじられるかでした。個人の純粋な情熱がいかに「大義」の名の下に消費されていくか、普遍的な問いを城山は投げかけます。

「完全な正義」も、「完全な悪」もない、それが戦争というものではないでしょうか。辻田真佐憲氏は、不完全で矛盾に満ちた「65点の物語」として捉えることで、イデオロギーに左右されない等身大の事実を理解できるといいます。

 よくよく考えてみれば、「あの戦争」で敗れることで日本は国家として貴重な経験したのではないのでしょうか。それが平和の尊さなのでしょう。力に頼る戦勝国が知らない真実なのかもしれません。

私たちは今度こそ、空港で足止めされる前に、この『インフラとしての平和』に投資する勇気を持てるでしょうか?

 

「参考文書」

イラン攻撃、市場は「株安・円安」先行か 原油急騰なら日本株の重荷に - 日本経済新聞

日本のインフレ加速の恐れ、原油急騰-ホルムズ海峡が事実上封鎖 - ブルームバーグ

 


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