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【政治を考える】デジタルに欺かれる世代:なぜ日本にマムダニNY市長は生まれないのか

 1,000万人以上のフォロワーを持つ政治家が誕生し、SNSには日々「政治の言葉」が溢れています。デジタルネイティブであるZ世代・α世代にとって、政治はかつてないほど身近になっているようです。

 しかし、その実態はどうでしょうか。 SNSという最強の武器は、若者をエンパワー(力づける)するのではなく、彼らを巧みに**「欺き」、さらなる「諦めの呪い」**へと突き落とす道具と化しています。

 

 

ニューヨークの熱狂:マムダニが証明したデジタルの正解

 2026年1月、ニューヨーク市長に就任したゾーラン・マムダニ氏。30代の移民二世であり、民主社会主義者を自認する彼の勝利は、全米のZ世代を熱狂させました。

【激怒中】ピーター・ティールが予言していた「Z世代の恨み」が深い

 彼はTikTokInstagramを駆使し、既存メディアを介さずに若者と直接対話しました。そこで語られたのは、「家賃が高すぎて住めない」「気候変動は生存の危機だ」という、倫理観に直結し、「資本主義は詐欺」とすら感じるような**「切実な現実」**でした。

 NYの若者はデジタルを通じ、「自分たちの生存のためにシステムを破壊し、再構築する(Disruption)」という超合理的な選択に動いたのです。

🇯🇵 日本の静寂:デジタルという「フィルター」による欺瞞

 翻って日本はどうでしょうか。マムダニ氏のような地殻変動は起きず、若年層の支持は依然として「既存の保守勢力」に厚いままです。なぜ、これほどまでに対照的なのでしょうか。

 そこには、政治による**「デジタルの悪用」**、自民党が長年かけて磨き上げた、極めて高度で「巧妙な」デジタル戦略があります。

  1. 「ショート動画」による親近感のハックTikTokYouTubeショートを駆使し、政治家が流行の動画スタイルで語りかけたり、親しみやすい一面を演出したりする戦略です。これは政策の議論を深めるためではなく、「この人は身近で、頼もしそうだ」という直感的な印象(バイアス)を脳に刷り込むためのものです。
  2. アルゴリズムを味方につけた「強さ」の演出SNS上の批判を、あえて「強い言葉」で論破する様子を切り抜き、拡散させる。若者が抱える将来への不安を、「強いリーダーが守ってくれる」という錯覚にすり替える手法です。
  3. デジタル・ガバナンスという名の「ガス抜き」: オンラインでの意見公募や「デジタル行財政改革」といった看板は掲げますが、若者の「利他性」や「生存権」に関わる根源的な構造改革(家賃補助や賃金引き上げ)には踏み込まない。デジタルを、あたかも**「進んでいる感」を出すための装飾品**として悪用しているのです。
  4. シルバー民主主義の絶望を可視化: デジタルは、同時に「どれほど若者が声を上げても、圧倒的な高齢層の票数には勝てない」という残酷なデータも突きつけました。

 

 

欺かれた世代の結末:「政治への諦め」が「組織の停滞」へ

 日本の若者はSDGs教育で身につけた賢さがあるがゆえに、むしろ「超合理的」に、デジタルを通じて**「政治家はSNSで自分たちを『客』としてマーケティングしているだけで、本気でOS(構造)を書き換える気はない」、「自分たちが一票を投じたところでこのシステム(OS)を書き換えられないほどバグっている」**という事実を、誰よりも正確に見抜いているのかもしれません。

 この「欺かれている」という感覚、「政治への諦め」が恐ろしい副作用を生みます。

 SNSで流れてくる耳当たりの良い「異次元の対策」。それが1ミリも現実(実質賃金)を変えない様子をリアルタイムで観察し続けている彼らにとって、会社が掲げる「人的資本経営」や「SDGs」もまた、**「どうせ自分たちを安く使い倒すための、デジタル上の演出だろう」**という不信のフィルターを通して映ります。

 政治がデジタルで彼らを欺く時、若者は「変革」への熱量を失い、**「自分の時間とリソースを組織に渡さない」**という、静かで冷徹な生存戦略へと閉じこもるのです。

論語でまとめ

季康子、政を孔子に問うて曰く、如し無道を殺し以て有道に就くは、如何と。孔子対えて曰く、子、政を為すに、焉(いず)くんぞ殺すを用いん。子、善を欲せば、而して民善ならん。君子の徳は風なり。小人の徳は草なり。草これに風をくわうれば必ずふす。(「顔淵第十二:19)

 季康子が孔子に政治について「悪い者を殺し、道徳のある者を登用したらどうだろうか」と問いました。「あなたが政治を行うのに、どうして殺す必要があるのか。あなたが善を望めば、民も善くなるだろう。君子の徳は風のようなもので、小人の徳は草のようなものである。草に風が吹けば、草は必ずなびくものです」と孔子は言いました。

 民衆を力で抑え込もうとする季康子(魯の宰相)に対し、孔子はそうではなく、まずあなたが善をなせば民衆も自然と善くなると説いたのです。「政は正なり」と、 政(政治)は、「正」自らを正すことにあるという孔子の信念を垣間見ることできます。

 米国がベネゼエラに軍事進攻し大統領を拉致しました。ロシアや中国ばかりでなく、米国までが「力による現状変更」に加担するようになりました。民主主義、法の支配を口にし、主張する日本ですが、どうなっていくのでしょうか。

次回予告:【組織】「彼らを使えない人々」と、空洞化する人的資本経営

「政治が嘘をつくなら、組織も嘘をつく」。 この不信感に包囲された若者たちを前に、いまだに「最近の若者はやる気がない」と嘆く上司たち。

次回、人的資本経営やSDGsという「理想の旗」が、職場の不信感によっていかに空洞化しているか。そして、柳井正氏が突きつけた「年寄りがつくった未来」の限界について、組織の内部から切り込みます。

 

「参考文書」

Z世代は企業の「偽善」を見抜く 社会的発信が購買を左右する時代 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

ベストセラー作家・橘玲「リベラルが目指しているのは残酷すぎる世界だ」“無理ゲー”となりつつあるこの世界で生き抜くためのたった一つの生存戦略 - みんかぶ(マガジン)

台湾有事を引き寄せるトランプの及び腰外交 ベネズエラ攻撃も中国の援軍に | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)