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【2025年を振り返って】「責任ある積極財政」の正体 —— 円安放置から透ける『インフレ税』の疑念

 2025年、歴史的な円安と物価高の中で、私たちは1年を終えようとしています。 日銀の植田総裁は「地ならし」を行い、金利のある世界への移行を示唆しましたが、市場の円安トレンドは揺るぎませんでした。専門家の中からは「2026年165円」という予測も出始めています。ドル円トレンドは来年2026年も変化がないのでしょうか。

円弱気論が拡大、日銀緩慢利上げや財政リスク-26年に165円予想も(ブルームバーグ)

 なぜ、円安を止められないのか。私たちは「責任ある積極財政」や「物価高対策」という言葉を幾度となく聞かされてきました。しかし、その言葉と、現実に起きている事象を冷静に突き合わせると、強い違和感を覚えるのです。

 

 

📉 「責任ある積極財政」という名の防護壁

「責任ある積極財政」、この響きの良いフレーズの裏側に、「欺瞞」と「方便」を感じます。これは国民に向けた約束ではなく、**「金利を上げられない自分たちの弱みを隠すための防護壁」**ではないでしょうか。

 本来、財政における「責任」とは、将来世代に借金を残さないことや、通貨の価値を守ることを指します。しかし、高市政権がこの言葉を使うとき、その意味は180度転換されています。

 もし単に「積極財政(借金増額)」と言えば、市場は「この国は破綻する」と判断し、国債が売られ、金利が跳ね上がります。それを防ぐために「責任ある(=適切に管理している)」という形容詞を添えて、市場をなだめているだけではないのか。現状のどこに国民への「責任」があるのでしょうか。これは、**「国債市場を崩壊させないための技術的な言い回し」**に過ぎないのではないかと思えるのです。

📊 インフレ・タックスという「目に見えない収奪」

 政府が最も恐れているのは「金利の急上昇」です。1000兆円の債務がある中で金利が上がれば、利払い費が爆発し、行政サービスは崩壊します。

 ここで一つの仮説が浮かび上がります。政府は口に出しこそしませんが、裏では円安を「是認」しているのではないか。そこには、**「インフレによる借金の踏み倒し」**という動機が隠れているのかもしれません。

 物価が2倍になれば、借金の実質的な重みは半分になります。政府は増税という痛みを伴う手段を避け、円安によるインフレで国民の預貯金の価値を犠牲にして、国の借金を帳消しにしている——。これこそが「インフレ・タックス(インフレ税)」と呼ばれる仕組みの正体です。給付金という名の「小銭」を配りながら、裏では「円安」という手口で国民の資産を組織的に目減りさせているとしたら、これほど不誠実なことはありません。

 ケネス・ロゴフ氏の著作『ドル覇権が終わるとき』は、過去70年の国際金融を振り返り、政府が追い詰められた時にとる行動を記しています。それは、**「表面上は経済成長を語りながら、裏側ではインフレと低金利を組み合わせて債務を整理する(金融抑圧)」**というものです。ロゴフ氏が描いた「債務国が使う伝統的なプロパガンダ」は、2025年の日本においても、円安を燃料にした「政府の救済措置」として機能しているように見えます。

 

 

論語でまとめ

巧言令色、鮮(すくな)し仁。(「学而第一」3) 

 言葉巧みに愛想を振りまき、表情をとりつくろって人に媚びるような者には、真の仁徳、思いやりはほとんどないものだと孔子は言いました。

「巧言」とは、相手が喜ぶような、うわべだけの巧みな言葉です。「令色」は、顔色をとりつくろい、愛想をよくすること。笑顔、笑みもそれに該当するのかもしれません。

 孔子は、外見的な華やかさや調子の良い態度よりも、内面の誠実さや素朴さ(剛毅木訥)を重んじました。「口が上手く愛想が良い人は、自分の利益や保身を優先し、心からの誠実さに欠けていることが多い」という孔子の人間観察に基づく戒めです。

—— 倫理と道徳の喪失

「国民に寄り添う」と語りながら、円安という手段で国民の預貯金の価値を実質的に奪い、政府の負債を相殺する。給付金という小手先の対策でその場をしのぎ、構造的な収奪から目を逸らさせる。この「言葉」と「実態」の乖離こそが、まさに「巧言」そのものではないでしょうか。

 もし政治家としての「仁」があるならば、リーダーは不都合な真実でさえ語らなければなりません。円の価値を守るためにどのような痛みが必要か、今の財政がどのような限界にあるのか。それを語らず、聞こえの良い言葉を並べ続ける姿からは、国家としての倫理観や道徳観さえも失われてしまったという結論を導き出さざるを得ません。

 2026年、私たちは「言葉の魔術」に惑わされることなく、その裏にある真実を見極める目を持たなければならないのです。そして、

 

「参考文書」

2026年の視点:歴史的な利上げでも止まらない円安、円相場反転に必要なものとは=内田稔氏 | ロイター

日本は債務の重みに勝てるか 成長>金利の条件、過去は未達長く - 日本経済新聞

積極財政はどこまで可能か、高齢化と国債需給がカギに 藤原一平氏 - 日本経済新聞

高市首相「投資家が信頼寄せる日本経済を実現」 東証大納会に出席 - 日本経済新聞