現在、日本経済を巡って極めて奇妙な「ねじれ」が生じています。 高市政権が国内で70%を超える驚異的な支持率を叩き出しています。国民は、閉塞感を打ち破る力強いリーダーシップと「成長優先」の言葉に熱狂し、かつての強い日本への回帰を夢見ます。
しかし、もう一方の「市場」という鏡に映る日本の姿は、それとは正反対です。円は売られ続け、国債利回りは上昇し、海外資本は静かに、しかし確実に日本から逃避しているようです。
この**「国民の熱狂」と「市場の冷笑」**。この巨大な溝は何を意味しているのでしょうか。
🚨 国民が愛する「甘い毒」と投資家が嫌う「規律の欠如」
高支持率の背景にあるのは、デフレ脱却を掲げた積極的な財政出動への期待です。国民にとって、政府が「お金を出す」「投資する」というメッセージは、短期的には救いであり、希望に見えます。
しかし、資本の論理に従う海外投資家にとって、それは**「構造改革の放棄」**という最悪のシグナルに他なりません。
- 内向きな満足感: 「日本を再び成長させる」というスローガンは国内では心地よく響きますが、市場は「その財源はどこにあるのか?」「非効率な産業にメスを入れる覚悟はあるのか?」と問い続けています。
- 資本の拒絶: 海外メディアが突きつける「偽サッチャー」という酷評。これは、高市氏がサッチャーの力強さを模倣しながら、サッチャーが最も重視した**「徹底した財政規律」と「痛みを伴う構造改革」**を欠いていることへの不信感の表れです。
🔪 ポピュリズムと「資本の論理」の決別
今回の「日本売り」の本質は、政治的時間軸(次の選挙)と、市場的時間軸(長期的な資本効率)の決定的な決別です。
政治は、支持率を維持するために「痛み」を避けようとします。非効率な企業を延命させ、補助金を配り、金利上昇の痛みを財政で緩和しようとします。これは典型的な**ポピュリズム(大衆迎合主義)**です。
しかし、金利ある世界において、資本は「嘘」を見逃しません。
- 市場の冷徹な判断: 市場は、高支持率であればあるほど、**「この政権は国民に不評な『構造改革』を断行できないのではないか」**という疑念を深めます。支持率が盾となり、本来行われるべき淘汰(ゾンビ企業の退出や事業再編)が停滞することを恐れているのです。
投資家にとって、日本の高支持率は「安定」の証ではなく、**「改革が先送りされるリスク」**としてカウントされています。
💰 「構造改革の空白」を埋めるのは誰か
政治が「痛みを伴う改革」を忌避し続け、国民がそれに拍手喝采を送る。この**「構造改革の空白地帯」**で今、何が起きているでしょうか。
前回の連載で触れた通り、そこにはアクティビストやPEファンドが入り込んでいます。政治が「NO」と言えない非効率な経営に対し、彼らが「資本の論理」という鉈(なた)を振るい、強制的な淘汰を進めています。
しかし、一企業の再編だけでは、国家全体の信用崩壊を食い止めることはできません。円安と国債売りの連鎖は、もはや一企業の努力を超え、日本という国家全体の「稼ぐ力」への疑問にまで発展しているのではないでしょうか。
💡 地政学的影響という「最後通牒」
国民の期待に寄り添い、市場の警告を無視し続ける代償は、かつてないほど高くつくでしょう。 経済という背骨が折れた日本は、国際的な抑止力を失い、悪質な国家たちに「天の恵み」を与えることになります。
国内の熱狂(ポピュリズム)が、国家の信認(通貨価値)を破壊する時、真の危機が訪れる。
70%という高支持率は、政治家にとっての成功ではなく、市場から突きつけられた**「最後のチャンス」**と捉えるべきです。この支持率を背景に、あえて国民に「痛み」を説き、真の構造改革を断行できるのか。それとも、支持率を維持するために「甘い毒」を配り続け、日本を沈没させるのか。
論語でまとめ
其の身 正しければ、令せずして行われ。其の身 正しからざれば、令すと雖(いえど)も従わず。(「子路第十三」6)
リーダーがその身を正しくしていれば、命令をしなくても人々は自然と行う。その身が正しくなければ、たとえ命令したとしても人々は従わないと孔子は言いました。
リーダー自身が規範を示していれば、組織は自然と規律あるものになりますが、リーダーが不正を行っていれば、どんなに立派な規則を作っても実効性はありません。上に立つ者の「誠実さ」や「一貫性」を問う重要な教訓として引用されます。
さて、今の日本はどうなのでしょうか。海外からの信任が薄れているのなら、規範、規律のない国にみられていることなのかもしれません。
次回、本連載の最終回として、この「日本売り」の嵐の中で、私たちが直面する**「地政学的崩壊のシナリオ」**、そして日本が再び世界から「買われる」ための唯一の道について総括します。
「参考文書」
高市政権への“若者支持率”88% 海外でも好意的評価の一方で…「偽サッチャー」批判も “台湾有事”発言への評価も二分の現実【サンデーモーニング・風をよむ】 | TBS NEWS DIG
(クリスマスが近づいてきました。そんな季節なのでユーミンの「ロッジで待つクリスマス」をお届けします。ところで、日中対立が顕在化する中、政府高官が「日本は核を保有すべき」と発言し、これを受けて米国政府の高官も色々言及しています。どうなんでしょうか。こういうところにも規律のなさが見るような気がしてなりません。「日米同盟維持し中国と協力 トランプ氏、対立から距離|47NEWS(よんななニュース)」「日本は「核不拡散リーダー」 高官の保有発言で―米国務省:時事ドットコム」)



