「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

JR東日本とSuicaに見る「日本型ブルー・オーシャン」の可能性 ~ムダな競争の終焉と「再生」の覚悟【ポイント経済圏疲れとZ世代④】

 このシリーズで私たちが問い続けてきたのは、いかにしてムダなポイント還元競争を終え、レッド・オーシャンから抜け出て、日本の生産性を向上させるかということでした。

不確実なインフレ時代を生き抜く「エフェクチュエーション思考」【ポイント経済圏疲れとZ世代③】 - 「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

 この構造改革が待ったなしであることはもう言うまでもないことです。私たちが今「Suica」の改革に期待するのは、単なる防御策ではなく、「技術革新」と「業界再編」という二つの力で、未来を切り開く「再生(Renaissance)」の覚悟です。

 

 

1. ブルー・オーシャンへの挑戦:二つの立ちはだかる壁 🛡️

 Suicaがブルー・オーシャンなプラットフォームへと進化するためには、二つの大きな壁を乗り越える必要があります。

JR東、Suica担当役員「クレカタッチ・QRは脅威」 2万円超の支払いも可能に:日経ビジネス電子版

① 技術とタイパの壁:クレカ決済というシンプルな脅威

 グローバルスタンダードであるタッチ決済の伸長は、顧客が「煩雑な経済圏から解放されたい」というタイパ(時間効率)への渇望を具現化しています。

 しかし、これは技術で克服できる壁です。Suicaは、決済額の上限を上げるなどの防御策だけでなく、顔認証などのさらなる技術進化を追求すべきです。これにより、タッチすら不要な究極のシームレス体験を創造し、コトラーマーケティング5.0が目指す「体験価値」で、シンプルな決済すら超えることが可能です。

🛠️ 技術の壁を乗り越える「社会実装力」が問われる

 ここで、私たちは日本社会共通の課題に直面します。Suicaがクレカタッチというシンプルな脅威を乗り越える鍵は、顔認証などの技術革新にありますが、技術自体があるかどうかではありません。

 顔認証を成功させるためには、改札機というハードウェアの入れ替え、複雑な照明下での精度保証、そして何より、機密性の高い認証データを安全に運用するシステムという、複合的な**「社会実装力」**が不可欠です。

 これは、技術の力(ソフト)と、それを**広大なインフラにムダなく、安全に組み込む実行力(ハード・システム)**が、日本社会全体として問われている課題そのものです。

② 構造的な壁:「共通善」を阻む業界の分断

真に乗り越えるべきは、**「他の交通系IC事業者との連携」**という構造的な課題です。これが、日本の生産性を蝕む最大のムダです。地域によって利用できない、連携が煩雑であるという「業界の壁」は、インフラが**「共通善」**に資することを阻んでいます。このムダな分断を放置することは、社会全体の幸福度に反します。

2. 業界再編という「共通善」の実現 🤝

 JR東日本がブルー・オーシャンに到達する道は、還元率競争から手を引き、この「構造 的な壁」を打ち破るリーダーシップを発揮することに集約されます。

  • 再生(REGENERATION)への使命: コトラーの最新の提言に従い、JR東日本は「自社の利益」を超え、日本の交通インフラ全体を「再生」させるという使命を帯びるべきです。
  • ムダの排除: ムダな局地戦を終わらせるために、「共通善」を旗印に掲げ、業界再編を主導すること。これにより、日本全体の交通・決済インフラが単一のシームレスな体験を提供できるようになります。これは、すべての人々のタイパを劇的に向上させ、経済活動を円滑にする最大の生産性向上策となります。

 

 

インフラの力で未来を操縦する 🎯

 私たちがSuicaに期待するのは、単なる決済アプリの進化ではありません。

技術革新」で競争の壁を乗り越え、 「業界再編」で構造的なムダを断ち切る。

 この二つの決断が、Suicaをポイント競争から完全に解放された、持続可能で高潔なブルー・オーシャン・プラットフォームへと進化させるのです。私たち消費者もまた、そのビジョンに共感し、ムダのないサービスを選ぶことで、この**「再生」**を後押ししていくべきです。

論語でまとめ

子張 禄を千(もと)めんことを学ばんとす。子曰わく、多く聞きて疑わしきを闕(か)き、慎んで其の余を言えば、則ち尤寡(とがすく)なし。多く見て殆(あや)うきを闕(か)き、慎んで其の余を行なえば、則ち悔い寡なし。言尤寡なく、行ない悔い寡なければ、禄其の中に在(あ)り、と。(「為政第二」18)

 弟子の子張が、どうすれば禄(給料)を得て役人になれるかを学ぼうとしました。「人の話などをたくさん聞いて、疑わしいところは差し控え、それ以外の確かなところだけを慎重に発言すれば、言葉のとがめ(失敗)は少なくなる。物事をたくさん見て、危険だと思われることは避け、それ以外の確かなことだけを慎重に実行すれば、後悔することは少なくなる。言葉に失敗が少なく、行いに後悔が少なければ、自然と人からの信頼を得て、禄は求めるまでもなく、その結果としてついてくるものだ」と孔子は言いました。

真善美の追求

真善美の追求

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 弟子の子張は、実践的な政治手腕を志向する、堂々とした風格の人物であったともいわれますが、反面、行き過ぎる傾向があったといいます。また、理想を追求しすぎて現実から少し乖離してしまう、あるいは先走ってしまう面もあったようです。この孔子の言葉は、そんな子張の性格を見抜いたうえで、直接的に富や地位を求めるのではなく、むしろ言動を慎み、実直に職務を全うすることこそが、結果として禄を得る道であると教えます。

 目指す理想も、「慎重にまた実直に」進めていけば、実現するという意味にも受け取れます。これが今の日本における弱さになってはいないでしょうか。

 

「参考文書」

フィリップ・コトラー氏「経営者はコモングッドを追求せよ」:日経ビジネス電子版

 

 


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(今日の中国の歌ではなく、英語の歌です。Bon Joviの「Bed of Roses」。シンガポール駐在時に、周りの人たちがよくよくBon Joviを歌っていました。繰り返し聞かされていたので、いつしかCDを買って聴くようになってしまいました。この他にも「Livin' on a Prayer」とか「You Give Love Bad Name」を耳にしていました。話は変わりますが、本日はトリプル安の様相だったようです。日経平均 一時1600円以上値下がり 財政悪化懸念で円・債券にも売り、円安・債券安で「トリプル安」に | TBS NEWS DIG 新政権の期待が剥落し、徐々に問題が露見してきているように見えます。【日本市況】日経平均急落、リスクオフで3%超安-財政懸念し金利急伸 - Bloomberg 心配ですね。)

 

(イメージ画像:Geminiで作成)