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【米選挙が示す警告】NY市長選で急進左派勝利、日本への影響は?

 昨日の東京株式市場での日経平均株価の急落、一時4%近い下落となりました。AIバブルへの警戒が理由といいます。同じ頃、米国ではニューヨーク市長選でゾーラン・マムダニ氏という急進左派が勝利。「経済と政治」、両面で既存のシステムに「亀裂」が入ったようです。

米NY市長選、左派のイスラム教徒が勝利へ 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

 マムダニ氏を勝たせた背景にあるのは、ニューヨークの家賃・物価高騰、止まらない貧困と格差への市民の怒りであるといいます。この「怒りの構造」は、東京で進行する住宅価格の高騰や実質賃金の目減りと本質的に同じではないのか? 米国で起きた地殻変動は、今後日本にどんな影響を及ぼすことになっていくのでしょうか。

 

 

米国選挙の衝撃:極端な「NO」を突きつけたNY市民

 ゾーラン・マムダニ氏。34歳と若く、ウガンダ生まれの移民背景を持つ人物で、イスラム教徒だといいます。富裕層への大幅増税、家賃の値上げ凍結、最低賃金倍増といった「社会主義的」な政策を掲げ、躍進しました。

 金融界が巨額の資金を投じて阻止しようとしたにもかかわらず、マムダニ氏が勝利した事実は、「既存のエリート層」への明確な「NO」の表明と受け止められたようです。米国の経済紙ウォールストリートジャーナルは、マムダニ氏を「共産主義者」「ニューヨーク経済への脅威」と断じ、資本逃避のリスクを強調。システム崩壊への恐怖を代弁しています。リベラル・進歩派のニューヨークタイムズは、マムダニ氏の勝利を「歴史的な多様性の勝利」とし、格差是正を求める人々の希望と報じました。

 同じタイミングで、バージニアニュージャージー州でも知事選が行われ、民主党穏健派が勝利しました。民主党に「急進左派」と「穏健派」という二つの勝ち筋ができたようです。

日本との類似性:不満の臨界点

 ニューヨークでゾーラン・マムダニ氏を勝利に導いたのは、「富裕層への怒り」や「既存エリートへの失望」という感情のマグマでした。このマグマの組成要素は、驚くほど現在の日本が抱える課題と類似しています。

■ 立ち止まらない生活費高騰と「報われない労働」

 米国で「アフォーダビリティ(手頃な価格であること)危機」が叫ばれるのと同じく、日本でも生活コストの圧迫が続いています。長年のデフレから脱却したはずが、私たちに訪れたのは賃金上昇を上回る急激な円安と輸入物価高でした。物価高騰は続き、実質賃金は低下傾向。これは、「真面目に働いても生活が豊かにならない」という、米国市民と同じ構造的な不満を若年層や中間層に蓄積させています。これがニューヨークでは、懸命に働いても家賃や医療費が賄えないことの怒りとなって マムダニ氏への支持となったようです。日本でも、同種の政治システムへの根本的な不信感に繋がる可能性があるのかもしれません。

■ 東京の不動産価格高騰は「住居の不安」を炙り出す

 ニューヨークの家賃高騰が社会問題の象徴であるように、東京圏の住宅価格の高騰は、若者の将来設計を根本から狂わせています。ここ数年、都心のマンション価格は高騰を続け、「給与水準」と「住宅価格」の乖離は決定的なレベルに達しています。

 かつては「頑張ればいつかはマイホーム」という共通認識がありましたが、今は「一生賃貸」が半ば強制された現実となりつつあります。この「住居の不安」は、安定した生活基盤を奪い、既存の社会システムに対する諦めと怒りへと姿を変えるのではないでしょうか。

 

 

 米国で急進的な候補者が支持された根底には、経済的な不安と、それに伴う「生きる意味」を見失う精神的な不安が混在しているようです。

「こんなに頑張っているのに、なぜ報われないのか」「この不安定な時代に、自分は何を軸に生きるべきか」――日本もまた、この二重の不安を抱えていないでしょうか。そして、その臨界点に近づきつつあるようにも見えます。

 考察:マムダニ勝利から見える日本の政治的課題

 ニューヨークの急進左派の勝利と、バージニアニュージャージーの中道派の勝利。米国におけるこの二つの事実は、米国の民主党には「急進左派」と「穏健派」という二つの明確な勝ち筋ができたことを示しています。しかし、この構造を日本に当てはめる時、日本の政治が抱える構造的な課題が浮かび上がります。

■ 課題1:不満の受け皿としての「急進性」の不在

 マムダニ氏の勝利は、市民の怒りが「既存の枠組みの徹底的な破壊」を求める段階に達していると意味します。富裕層への懲罰的な増税や、市場原理を否定する家賃凍結といった政策は、従来の政治家には決して口にできなかったものです。

 日本でもは、国民の「不満」が熱を帯びているにもかかわらず、その不満を吸収し、具体的な行動力とカリスマ性を持って「痛みを伴う格差是正」を掲げるリーダーや政党が不在です(強いて言えば、それが高市さんかもしれませんが)。既存のリベラル勢力は、穏健な中間層の支持を取り込むために、強いイデオロギーや急進的な政策を避けがちです。その結果、マムダニ氏が担った「既得権益対一般国民」という構図の旗振り役を、日本の既存の野党は担いきれていません。

■ 課題2:国民の願いに背を向ける政治

「なぜ、こんなに不公平なのか」「政治は、なぜ私たちの生活を守らないのか」、マムダニ氏の勝利は、経済格差という具体的で切実な問題に対する「政治的回答」が強く求められた結果ではないでしょうか。

 しかし、日本の政治では、生活不安が「抽象的な不安」へと昇華されてしまう傾向があります。米国同様「不満のマグマ」が爆発する前に、「痛みを伴う格差是正」や「若者の生活再建」という名の「正解なき問い」に真剣に向き合うべきなのでしょう。マムダニ氏の勝利は、日本の政治が、この国民の「究極の問い」に、いつまで目を背け続けるのかという、強烈な「警鐘」として受け止めるべきなのかもしれません。

 米国の地殻変動は、日本が次に直面する政治的課題の予行演習かもしれません。日本の政治が、この「不満のマグマ」が爆発し、ポピュリズム的な第三極に吸収されてしまう前に、国民の生活不安という根源的な問いに、勇気を持って向き合うことを期待したいものです。

論語でまとめ

天を怨(うら)みず、人を尤(とが)めず、下学して上達す。我を知る者は其(そ)れ天か。(「憲問第十四」35) 

 自分の境遇について、天を恨まず、人を責めない。日常のつまらないと思われるようなことから身近な事柄を学んで、自然の道理(根本的な真理)を体得していく。私の真価を理解してくれるのは、おそらく天であろうかと孔子は言いました。

 これは、孔子が自分の考えや生き方が世間に理解されないことへの感慨を述べたものです。

 日本の政治家もこうした問いを立て、考えてもらいたいものです。長く野党に甘んじる者たちは上達し得ていないのでしょうし、逆に与党は長年政権を担っていることで下学できずに浮世離れして国民の根本的な不満を理解していないのではないでしょうか。す。このままでは日本の既存政党は、国民の期待を吸収できないままなのかもしれません。

 株価暴落、物価高騰、進まない実質賃金の改善。生活苦を感じる人々が増え、「なぜ、こんなに不公平なのか」「自分の努力は報われるのか」という問いを政治に突きつけているのではないでしょうか。米国ニューヨークでのマムダニ氏の勝利は、日本の政治がこの「正解なき問い」に、いつまで目を背けるのかという「警告」のように感じます。

 

 


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(今日の中国の歌、アジアの歌姫テレサテン(鄧麗君)の「月亮代表我的心」。中国 深圳にあるフランスの電機メーカの工場に赴任した後輩の愛唱歌。中国でのプロジェクトが2年余りで終了となって、その後彼はマレーシアへ異動。中国、マレーシアで一緒に仕事することになりました。サプライチェーンの構築を進める私とその品質管理システムを担う彼。仕事の終わりにカラオケにいっては彼はいつもこの歌を歌っていました。中華圏のスタンダードナンバーで、昨日紹介したKenny Gのアルバムでもカバーされています)