「次の総理」に、高市さんが総理に指名されることになるのでしょうか。自民党と日本維新の会が連立政権の合意書に署名する方向で最終調整に入っているそうです。
国民民主党・玉木雄一郎氏、高市早苗氏に協力 「政策進めるため」 - 日本経済新聞
国民民主も何やかんやといっても自民に協力しそうです。日本の政治が混沌としていましたが、「新たな右派連合」の形成へと移行していくかのようです。高市さんが首相就任となれば、安倍政治で進んだ強い保守・国家主義的な政策がをさらに推し進められそうですし、また日本維新の会の連立で、「右派色」を濃くしていきそうです。世界的な政治トレンドのようなものですから、日本も例外に漏れずというところなのでしょうか。
米国の政治学者 イアン・ブレマーは、世界的な右傾化の流れを、著作『対立の世紀:グローバリズムの破綻』(Us vs. Them: The Failure of Globalism)において、「グローバリズム」の終わりと「ポピュリズム」の台頭という視点から考察しています。
ブレマーは、この右傾化(特に右派ポピュリズム)が、単なるイデオロギーの揺り戻しではなく、構造的な経済・社会的な失敗から生まれた必然的な現象であると指摘しています。右派ポピュリズムが台頭した最大の理由は、過去数十年のグローバル化が、その恩恵を少数のエリート層に集中させ、大多数の国民を「置き去り」にしたことにあると主張しています。グローバル化の進展は、製造業の雇用を途上国に移し、先進国の労働者層の賃金低下や雇用の不安定化を招いたとします。右派ポピュリストは、こうした「グローバリスト」エリート層の腐敗を攻撃し、国民の利益を最優先すると訴えることで支持を集めているといいます。
ブレマーの視点からして、日本の政治も世界的な潮流のなかにありそうです。それに加え、「地政学的な自衛の意識」が強く働いて右傾化を強めていると解釈もできそうです。中国など権威主義勢力に対抗するため「強い国家」を志向する、地政学的な動機もあるとみられます。また、それは「経済安全保障」や「強い国力回復」といった国家主義的な論調にも見られ、それが右傾化の中心となっているといいます。今の高市さんへの支持拡大でも確認できるのではないでしょうか。
ブレマーは、世界的な右傾化は、単なる保守派の勝利ではなく、グローバル化のひずみによって生じた「政治的な病理」であり、これが「国家資本主義」勢力との対立構造と結びつくことで、世界が極めて不安定な「対立の世紀」に入っていることを警告しています。右傾化、ポピュリズムの波は、民主主義国家を内側から弱体化させつつ、国際的な協調を困難にしていると、ブレマーは一貫して主張します。
論語でまとめ
子、顔淵に謂(い)いて曰く、これを用うれば則ち行い、これを舎(お)けば則ち蔵(かく)るるは、ただ我と爾(なんじ)と、これ有るか。子路曰く、子 三軍を行わば、則ち誰と与(とも)にせん。子曰く、暴虎(ぼうこ)馮河(ひょうが)して、死して悔いなき者は、吾 与にせざるなり。必ずや事に臨んで懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好んで成す者なり。(「述而第七」10)
孔子が弟子の顔淵に向かって「世に用いられれば大いにその道を実践し、用いられなければ身を隠すことができるのは、私とお前だけだなあ」といいました。それを聞いた子路が「先生がもし大軍を指揮されるとしたら、誰を連れて行きますか」といいました。「素手で虎に立ち向かったり、歩いて大河を渡ろうとしたりして、無謀にも命を惜しまないような者とは一緒に行動しない。必ずや、事に臨んでは恐れて慎重になり、計画を練ることを好んで事を成し遂げるような者と一緒に行動するだろう」と孔子は言いました。
孔子は、顔淵が自分と同様に、時世に応じて隠遁と出仕のけじめをつけられる、優れた人物であると評しましたが、勇敢さを第一とする子路に対しては、無鉄砲な勇気をたしなめ、「慎重さ」と「計画性」を兼ね備えた人物こそが真のリーダーにふさわしいと説きます。ただ血気にはやるだけの勇気ではいけない、と教えているのです。
この複雑で変化の激しい国際情勢下において、勝者となるのは、大国間の変動を読み解き、自国の強みを活かして賢く立ち回る国や、国家の枠組みを超えて影響力を持つテクノロジー企業や非国家主体となるとブレマーは指摘します。
この先、日本に誕生する新しい政権には、孔子が忠告する熱さや血気にはやる勇気ではなく、ブレマーがいう賢さが求められるのでないでしょうか。新政権の実力が早くも気になります。


