「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【大阪・関西万博のレガシーとは?】先端技術の社会実装と日本の未来

 大阪・関西万博が184日間の会期を終えて閉幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、「未来社会の実験場」と位置付けた会場では、空飛ぶクルマやアンドロイド、VR 仮想現実、iPS細胞を使った再生医療などの最先端技術が展示されていました。開催前は色々心配される面もありましたが、とりあえず成功裏に終わったようです。

大阪・関西万博閉幕 「多様でひとつ」次世代へ | 社会 | 論説 | 福井新聞ONLINE

「万博レガシー」をどう残しいくかがこれからの課題といいます。近々に、万博の成果の検証とレガシーを議論する会議が政府の下に発足するそうです。「レガシー」とは、リングを残すだけではなく、先端技術を社会実装させていくことにあるといいます。万博期間中には、国内外の研究・産業支援機関との連携協定が締結される事例もあったといいます。この果実を、将来の技術革新や経済活性化につなげていくことが問われるといいます。

 

 

 しかし、世界を目に転じれば、日本のデジタル技術の遅れは危機的な状況といわれ、またアジリティ(俊敏性)の欠如も致命的といわれています。この万博をその挽回の機会としていかなければならないようです。

加速する米国の未来技術開発

 米国では先端技術の集積地シリコンバレーでの保守化が進んでいるといわれています。シリコンバレーの思想的基盤、政府の介入を嫌い、技術による「究極の自由」と「問題解決」を希求する「テクノ・リバタリアニズム」が勢いを得てのことのようです。バイデン政権が先端技術のAIや半導体などに対し規制を強化したため、イーロン・マスクやピーター・ティールのような「テクノ・リバタリアン」が台頭し、保守化が一気に進むことになったといわれます。これにトランプさんのAI計画「AIアクションプラン(行動計画)」が加わり、トランプさんとシリコンバレーの代表格ビッグテックが接近していったといいます。

シリコンバレーの天才たちが希求する「1%...『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』橘玲 | 文春新書

 トランプ政権のスタンスは、橘玲氏の書籍で触れられている「テクノ・リバタリアン」の思想と深く共鳴しています。 自由市場原理を重視し、技術分野への政府の過度な介入に反対するリバタリアンの主張と一致。「規制よりもスピード」を優先する政策になっているといいます。中国にAIなどの先端技術で勝利するため、官僚的な手続きや介入を最小限に抑え、イノベーションを最速で進める環境を整備しているそうです。また、ビッグテックは、自社の技術を米国の国家戦略、中国への対抗策として位置づけてもらうことで、市場の優位性確保と輸出促進の恩恵を受けられるよう働きかけているともいいます。

www.youtube.com

 日本の動きとは大きくかけ離れているようにも見えます。この点においてはトランプさんは、日本の政治家と比べものにならないほどに、テクノロジーの可能性、その利活用を理解しているようです。アメリカでは、テクノロジーの専門家が政治家や政権中枢に加わり、あるいはロビー活動を行うことで、技術動向が政策に直結しやすい構造があるそうです。しかし、日本では、政治家や官僚にAIやITの専門知識を持つ「エンジニア出身者」が少なく、政治家を志す層のキャリアパスが、長らく官僚や世襲、地方議会経由で形成されてきたためではないかといわれているようです。 こんな現実を知ると、やはり日本の未来が心配になります。

 

 

論語でまとめ

周は二代に監(かんが)みて、郁郁(いくいく)として文なるかな。吾(われ)は周に従わん。(「八佾第三」14

 周王朝は、夏と殷の二つの王朝の制度を参考にして、実に堂々とし、立派な文化を築き上げたものだ。私はその周の華やかな文化に従いたいと孔子は言いました。

 孔子は、前王朝の制度を参考にしながらも、自らの文化を確立した周王朝の文化を理想と見なしていたようです。懐古主義に陥るのではなく、過去に学び、それを活かすことが進歩のためには必要のようです。

(写真:大阪・関西万博公式サイト)

 日本の政治の空白が続いています。相変わらず、「次の総理」に熱をあげています。しかし、そこからは進歩につながるような話が全く見えてきません。語られる基本政策も陳腐なものばかりと感じます。

 

どうしてこんなに悲しいんだろう

どうしてこんなに悲しいんだろう

  • FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT,INC.
Amazon

 

 万博は、多様な文化や価値観を共有する場にもなったといいます。一方、現実の社会では外国人排斥の主張が飛び交います。万博が掲げた理念「多様でありながら、ひとつ」からかけ離れ、分断を進んでいるようにみえます。万博で生まれた世界との交流を促進していくこともレガシーだろうといいます。

 さて、どうなっていくのでしょうか。万博レガシーが社会実装されるには、まだまだ長い時間を要しそうな気もします。「次の総理」は、テクノロジーに明るく、偏らずに世界の最新事情を知る人がいいのではないでしょうか。しかし、ひどい人材不足(政治的リーダーの)なので、まずは効果のある政治改革なのでしょうか。

 

 

「参考文書」

さらば万博、変わる街並み…大阪の街彩ったバナーフラッグやモニュメント、今月末に撤去 - 産経ニュース

大阪万博:大阪・関西万博のレガシーとは…来場者をきめ細かくもてなした組織運営、肌で感じられた先端技術 : 読売新聞

トランプ政権の「AI計画」を称賛する米テック、MAGA派に不安も:日経ビジネス電子版

保守化するシリコンバレー ピーター・ティール氏の人脈がテック覆う - 日本経済新聞