「社会は多数派ではなく、むしろ少数派の主張によってこそ変革されていきます」。独立研究家の山口周氏はそう言います。
社会の支配的価値観や規範に対して逸脱者、少数派が反旗を翻すことで、安定した環境に揺さぶりがかけられ、システムは不安定な状態に置かれます。少数派と多数派とのあいだに生まれる対立から次の安定状態が生まれ、社会は変遷していく。私がここで言っている「開かれた社会」とはそういう意味です。(引用:「逸脱する人」を許容する開かれた社会|山口周)
世界秩序は乱れに乱れ、国内においては幾多の社会課題の解決が進むない状態になっています。山口氏が指摘するとおり、今、少数派、逸脱者によって多数派の規範をアップデートし、「開かれた社会」を築くときなのかもしれません。
その意味において、石破さんには逸脱者であって欲しかった.... 古い自民党が日本の政治の中心であっては何も変わらないのだから。
社会保障の問題、氷河期世代の問題、コメ騒動に物価高、賃上げ、エネルギー問題に気候変動の問題、どれもこれも解決できずにずるずると長引いています。一方で、インバウンドは相変わらず好調で、トランプ関税の問題を抱えるものの輸出企業も好調のようです。円安を背景とし、また関税については政府が手厚く手当をしてくれているのですから。政治における利害調整に偏りがありそうです。この状況に変化を起こすことができるのは、自民党の多数派ではなく、むしろ少数派の人たちだったのではないでしょうか。
石破首相が辞任を表明しました。醜い自民党の権力抗争「石破おろし」騒動が幕を下ろすようです。力関係で簡単に他人の意見に同調する付和雷同タイプの凡人議員さんがまた復権しそうです。逆転する価値観、古い規範に重んじられ、また昔の自民党に逆戻りになるのでしょうか。
論語でまとめ
君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。(「子路第十三」23)
君子は協調するが、付和雷同しない。小人はむやみに付和雷同するが、真の協調はできないと孔子はいいました。
「臨時総裁選要求の意思確認に進んでは、党内に決定的な分断を生みかねない」と石破さんは辞任の理由を説明していました。
続投は無理筋だった 石破茂首相の背中押した「静かな多数派」 - 日本経済新聞
「政治とカネ」の問題について「国民の政治に対する不信を払拭することはいまだにできていない。最大の心残りだ」と話し、「多くの方に配慮しながら融和に努めながら、誠心誠意努めてきたことが結果として『らしさ』を失うことになった」と語り、「どうしたらよかったのかな、という思いはある」と記者会見で述べていました。
権力をめぐる闘争である政治の世界には落ち着きどころがあるというそうです。どうなんですかね。それをアップデートできないのが自民党政治の問題なのでしょう。「自民党が信頼を失うことになれば日本の政治は安易なポピュリズムに堕するのではないかとの危惧を強めた」と石破さんは述べています。日本が漂流することになりそうです。
広島、長崎でこれまでにない切り口で原爆について語った石破さん。その「戦後80年談話」を聞きたかったなと思います。正式に職を辞する前に発することはできないのでしょうか。
河野洋平氏が考える「戦後80年談話」 守られていない戦後の約束事 いまもう一度、再確認する必要がある:東京新聞デジタル
戦後、最初にやったことは日本国憲法の制定でした。憲法は権力者をしばり、権力者にこういう方向に国をリードしていけと求めています。これは国民、政治家、そして国際社会への約束事です。憲法は平和を基本とし、自分たちだけがよければいいのではなく「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」としています。(出所:東京新聞)
「この80年、その約束事がきちんと守られてきたのか、いま、違った方向に行ってはいないか、考えるべきです」と河野洋平元自民党総裁は語ります。「戦後の約束事が守られていないことがたくさんあります。それをもう一度、再確認することが戦後80年の年に必要です。過去は変えられず、変えてはいけないのです。そして、未来は努力によって望む姿にすることは可能です」ともいいます。
「米国への偏りが大きく、中国をはじめ、アジアがおざなりにされてこなかったのか」、中国を敵視する米国の政策を無批判に受け入れてきたことで、中国が危機の対象になっていると河野氏は指摘し、日中が胸襟をひらいて真意を語り合う努力をするのが、安全保障だといいます。軍事が不要とはいいませんが、そういう安全保障があってもよいのでしょうし、それに近づく努力が今求めらていそうです。
「今、国際社会が不安な状況の中、平和を目指す国のかたちを再構築していくことが「徳の政治」の復活にもつながります」ともいいます。
石破さんにも語って欲しいものです。もしかしてそれが日本の漂流を止めることにつながるかもしれませんし、日本の衰退に歯止めをかけるきっかけになるかもしれません。
「参考文書」
石破茂首相、記者会見で辞任を表明 次期総裁選「出馬せず」 - 日本経済新聞
石破茂首相「責任」掲げ延命1カ月半 招いた政策遅滞 - 日本経済新聞
石破政権の窮地、円安圧力に 退陣なら「150円台」の声 - 日本経済新聞




