「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

インフラの劣化、新自由主義の末路なのか、英国の水道、日本の新幹線

 英国では、民営化政策が転機を迎えているそうです。水道などのインフラ部門は投資不足でサービスが劣化し、鉄鋼をはじめとする製造業は地盤沈下が続いているといいます。

小さな政府サッチャリズム、英国が転換へ 「大悪臭」水道に国が介入 - 日本経済新聞

サッチャー政権で世界に先駆けて民営化や自由化を推し進めた新自由主義の本家が官の関与を強める経済政策にかじを切る。(出所:日本経済新聞

 新たなトレンド、ムーブメントになるのでしょうか。どんな優れたシステムもいつかは古びたものになっていく.... システム上の問題が放置されれば、システムとして機能しなくなります。維持とメンテナンス、継続的な改善は不可避なものです。それでもどこかでのタイミングで大幅に刷新、アップデートは必要になります。グローバル化新自由主義新保守主義、そうした流れも例外ではないようです。

 

 

 英国は第二次大戦後、長い期間経済が停滞する「英国病」に侵されていました。労働組合が強く、ストライキの頻発で生産性が低下、賃金上昇が企業の競争力を削いだことも一因と言われます。また、手厚い社会保障制度が、国民の勤労意欲を低下させ、労働コストを上昇させたという指摘もあります。

 そんな中、1979年5月4日、マーガレット・サッチャー氏が首相に就任しました。英国初の女性首相でした。サッチャー首相は政府の役割を縮小し、「小さい政府」への転換を進めていきます。民営化や規制緩和を進め、それによって経済を活性化させていきますが、一方で、社会的な格差の拡大や地域経済の衰退などの問題も引き起こしたとされます。

サッチャー新自由主義に基づき、電話・ガス・空港・航空・自動車・水道などの国有企業の民営化と規制緩和・金融システム改革を掲げ、それらを強いリーダーシップで断行した。さらに改革の障害になっていた労働組合の影響力を削ぎ、所得税法人税の大幅な税率の引き下げを実施した。一方で付加価値税(消費税)は1979年に従来の8パーセントから15パーセントに引き上げられた。(出所:Wikipedia

「小さな政府」と「大きな政府」の二元論ではなく、次のシステムの模索があってもよさそうです。トランプさんが推進する保護主義に引きずられていくのか、それとも新たなものへの移行が始まるのか、いずれにせよ、変化はありそうです。過激思想による扇動、暴力的な運動は論外なのでしょうけれども。

 

 

 日本も「英国病」に罹患した英国と同じような道をたどるのでしょうか。民営化された郵便事業では不祥事が相次ぎ、不適切点呼で約2500台の貨物運送許可の取り消し処分を受けることになりました。交通インフラでのJRでも試験不正が相次いで発覚し、JR東日本では、最新E8系の新幹線車両で故障が続き、山形新幹線の運行に影響が出て、利用者に長く迷惑をかけることになりました。この他にも、はやぶさ・こまち号では連結外れが繰り返されていました。

「新幹線運転見合わせ」9年で倍増、部品複雑化が一因か 日経調査 - 日本経済新聞

 新幹線の運転見合わせが増加の一途だそうです。2024年は9年前と比べ倍増しているといいます。原因の半数は車両や設備の不具合が占め、設備の老朽化や人手不足の影響を懸念する声もあるといいます。

その東日本は新経営ビジョンを公表し、Suica経済圏を拡大させ、創設した銀行などを含め「非鉄道事業」を強化していくそうです。成長期待で株価は上昇したといいます。一方、庶民の足である鉄道事業では、運賃が値上げされます。

JR東日本の値上げ申請を国が認可 平均7.1%、全面改訂は民営化後初 - 日本経済新聞

 値上げによる増収年間881億円は、安全対策のほか、駅構内や車両の修繕費などにあてるそうです。また1970年代に国が定めた全国で将来整備すべき新幹線の基本計画路線の全開通は早くても200年以上も先の2250年になるといいます。Suica強化とは違い、その対応の遅さには驚かされます。

 

 

 ちぐはぐ。JRが何かおかしなことになっているようです。Suica事業を切り出してみれば、論理はそれなりにあるのでしょうけれども。これも経済成長を重視する新自由主義の末路なのかもしれません。

高速鉄道輸出でしのぎ 新幹線より「中国式」に勢い:時事ドットコム

 力を入れる不動産分野も同様のようです、アジア各地に鉄道を中心とした街づくりのノウハウを展開していくそうですが、一方で、日本政府が成長戦略の重要な柱に一つに据える新幹線の輸出では 、中国に競り負ける状態になっているといいます。

論語に学ぶ

能(よ)く礼譲を以て国を為(おさ)めん。何か有らん。礼譲を以て国を為むる能(あた)わずんば、礼を如何せん。(「里仁第四」13)

「礼」人間社会の規範、そして、譲り合いの精神、これによって政治を行ってみよ。困難があるだろうか。規範・謙譲をもって政治を行うことができなかったならば、礼があっても何の役にも立てないと孔子は言いました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「礼」規範だけでは不十分で、相手を思いやる心こそが、社会を円滑に進める上で重要であると孔子は言いたかったようです。

 

 

「公共」を再構築していこうとする動きが出てきているようです。「気候変動」「経済格差」「移民問題」「社会の分断」、こうした課題を克服し、持続可能な未来をつくるために、「社会のしくみ」そのものを見直し、再設計していこうとの考えのようです。

「官僚主義」に創造性を。新しい公共を描く、ドイツのCreative Bureaucracy Festivalとは? | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

 エネルギーや交通、教育、福祉といった「インフラ」のあり方を問うところから始めるべきだといいます。ただ効率化を追求するのではなく、公正な移行(Just Transition)を通して、社会基盤を再編していくものにすべきともいいます。

最先端技術が、地域に合わずうまくいかないケースも多いという。例えば、ハイパーループのような未来的インフラは注目を集める一方で、地域の実情に即していないことが多いという。一方で、こうした交通整備が、現地の人たちの暮らしや仕事、文化を壊してしまう恐れもあるという指摘も。たとえば、移動時間の短縮だけで交通政策の成功を測ってしまうと、その裏で失われる雇用や、交通アクセスの不平などが見過ごされてしまうかもしれない。すでにある仕組みを大切にしながら、現地の人びとと一緒に、よりよい制度や技術をつくっていく。そうした共創こそが、持続的なモビリティの鍵になるという。(出所:IDEAS FOR GOOD)

 日本においても取り入れてみてもよさそうな動きではないでしょうか。もうそろそろ新自由主義的なところから離脱してもいいのかもしれません。

 自らの思想をアップデートでき、経済成長に固執するのではなく、意味ある社会を築いていこうとするリーダーシップがあってもいいのではないでしょうか。

 

「参考文書」

JR東日本の株価4%高 新経営ビジョン公表で成長期待 - 日本経済新聞

新幹線の全国整備、200年後も夢物語か 在来線使う「中速」の現実味:日経ビジネス電子版

JR東日本が「Suica」を大改革 オープンループへ強い危機感:日経ビジネス電子版