「VUCA」の時代といわれて久しいですが、トランプさんの再登場でますます混迷の度合いが増していきそうです。国際秩序、価値観を一変させようとしているのですから、そうなって当然なのでしょうが。そうはいっても、なかには参考にしてみてはと思えるようなこともあるものです。ベッセント米財務長官が、「トランプ政権は経済における政府の役割を減らすことに注力している」と発言していました。
米財務長官、トランプ政権の目標は経済の再民営化-国債利回り低下へ - Bloomberg
トランプさんの経済政策は規制緩和や財政健全化、公正な貿易、エネルギー支配から構成されると、ベッセント氏は説明したといいます。「民間セクターはリセッション(景気後退)に陥っている」とし、「われわれの目標は経済の再民営化だ」と述べたそうです。
財政を健全化させようとする試みはどんな時代にあっても求められることです。ただ、そのアプローチ、手法にはいささか問題があるのかもしれませんが。世を驚かせるような言動は好ましいとは言えません。
日本も財政が肥大化しているのですから、爪の垢を煎じて飲んでみてもいいのかもしれません。それなのに少数与党に陥った自民党は野党の要求を鵜吞みにするばかりです。財源論を盾にしているようですが、それよりはムダを省くのが王道です。
「入るを量りて出ずるを制す」といいます。国家財政の運用の原則で、家庭の財政運営にも応用できるものです。収入を正確に算定してそれに応じた支出を行うことを意味します。健全財政の心がまえとされます。
高校無償化
自公と日本維新の会が、高校授業料の無償化や社会保障改革について正式合意しました。授業料無償化の所得制限を撤廃し、2026年度から支援額も増やすそうです。歓迎する声が広がる一方で、公立高の危機感や、財源を不安視する意見も聞かれるといいます。
高校無償化、学費の壁なき競争時代へ 分かれ目は指導力 - 日本経済新聞
公立・私立の授業料を巡る差がほぼ無くなり、生徒を確保するため教育内容で競争を迫られる時代になる。社会が求める人材を高校が十分に育成できていないとの指摘はかねてある。無償化を契機として、時代に応じた教育カリキュラムへの転換が求められる。(出所:日本経済新聞)
せっかく公金を使うのですから、少子化対策の一助になったり、人材育成の質の向上につながったりすればいいのでしょう。それが回り回ってのちの時代の経済活性化にもつながるようになれば意味ある公金投入なのでしょう。しかし、新しい施策を行えば必ず弊害が生じたりするものです。期待通りに成果が上がるようその後のフォローも欠かせないのでしょう。成果がなければムダになってしまいます。成果が上がるまで不断の努力が求められます。
論語に学ぶ
君子は器にならず。(「為政第二」12)
君子は用途のせまい器のような専門家であってはならないと孔子はいいました。
一技・一芸に秀で、専門分野を持つことが出世の近道であることは今も昔も変わりません。しかし、このVUCAと呼ばれる複雑で変化の激しい時代にあっては、「特殊の用に役立つのみ」の専門家ではすぐに用なしになってしまいそうです。孔子が指摘するようにそれだけは不十分ということなのかもしれません。
「不器(器にならず)」、すべての人が専門技能を当然持ちながら同時に広い視野と行動力を持ちうるべきである。すぐに役立たなくなる専門家を大量に生み出すような教育ではなく、美的修養に努めることができる「君子」と呼ばれる人たち、そんな人が育つような教育がこれからは求められるのかもしれません。
なんやかんやといっても政府が新たなことを行えば、世の中はそれに引きずられていきます。石破政権に代わったことで、地方創生が改めて意識されるようになり、活動も活発化しているようです。熊本県では、地方銀行が政府推奨の事業承継M&Aにあやかって、スタートアップに出資、それが地方創生につながるような動きになっているといいます。
利益ではなく人 地銀系キャピタル会社がスタートアップに投資する意味 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「地域の発展と成長に資する企業と共に投資していきたいですし、投資したパートナーと共に地域を活性化するお手伝いをしたい」と肥後銀行グループの「肥銀キャピタル」の横山社長は語ります。地方銀行は、単純にキャピタルゲインを得るための投資ではなく、地域と一蓮托生となっていくべきだといいます。さらに「投資は人、企業も人です」「最後はやはり人です」ともいいます。やはり「人材」が求められているということでしょうか。
せっかくの高校無償化、社会に役立つ「人材」が生まれるように教育システムを見直していく契機とすべきなのでしょう。その成果があがってこそ意味あることではないでしょうか。
「参考文書」
高校無償化で「塾代払える」保護者は歓迎 「公立つぶれる」危機感も:朝日新聞

