日米首脳会談が米国ワシントンで開催されました。会談は無難に進んだようで、共同記者会見もあって評価は上々、及第点はとれたとの見方がもっぱらのようです。
日米首脳会談、日本製鉄のUSスチール買収計画に「代わりに多額の投資」すると発表 - BBCニュース
会談の目的であったトランプ大統領との個人的な関係を築くことに成功したようだといいます。
「テレビで見ると声高で、かなり個性強烈で、恐ろしい方だという印象がなかったわけではない」「実際に会うと本当に誠実な、力強い、米国や世界に対する強い使命感を持たれた方だということを、お世辞を全く抜きに感じた」と石破首相は共同記者会見でトランプ大統領の印象を語っていました。
「仮定の質問にはお答えいたしかねますというのが、日本の定番の国会答弁です」、記者から米国の関税とその報復措置について質問を受けるとそう述べ、笑いを誘っていました。
「とてもいい答えだ。すごい、なんていい答えなんだ。すごく上手だ」とトランプ氏も述べ、和やかな雰囲気だったようです。石破さんの用意周到な事前準備の成果なのかもしれません。
論語に学ぶ
命(めい)を為(つく)るに裨谌(ひじん) 之を草創し、世叔(せいしゅく) 之を討論し、行人(こうじん)の子羽(しう) 之を脩飾し、東里(とうり)の子産(しさん) 之を潤色(じゅんしょく)す。(「憲問第十四」8)
外交文書を作るとき、鄭の国の大夫の裨谌が草稿を書き、大夫の世叔が検討し、外交官の子羽が補正し、東里に住む子産が潤色したと孔子はいいました。
せっかくの首脳会談、無愛想がいいはずもありません。外交辞令は必要不可欠なのでしょう。しかしあまりに持ち上げ過ぎるとおもねる態度、媚び諂いに見えたりします。どうだったのでしょうか。
「石破氏の使命はトランプ氏の好意を得ることだったが、見事に成功したようだ」とある専門家はいい、多くの専門家が会談は成功したとみているようです。
一方で、「首脳会談に失敗なし」ともいうそうです。「そもそも「成功」は「期待値の低さ」の裏返しでもある」との厳しい声もあります。
日米黄金時代は金メッキか トランプ氏、日本製鉄のUSスチール買収にクギ - 日本経済新聞
確かにそうなのかもしれません。対日貿易赤字の問題は関税問題となって尾を引きずりそうですし、米国産LNGの輸入拡大がエネルギー価格の低減にでもつながればよいのでしょうが、現行の枠組みの変更になれば、何かしらの弊害もありそうです。安全保障について同じことがいえるのでしょう。満点の成果だといって過信して、後々また防衛費の増額を要求されたらどうするのでしょうか。
日米関係の新たな黄金時代を追求するのも悪くはないのかもしれませんが、「輝いてみえるのは表面だけ、と疑う冷めた目も必要だ」という言葉を真摯に受け止めてことが肝要なのかもしれません。
「欺くこと勿かれ。而して之を犯せ」との孔子の言葉があります。「嘘はついてはいけない。誠意を以て仕え、時には諫言することも必要です」との意味です。石破さんにもこんなセンスがあればよかったのかもしれません。それが後々になって活きることもあるのでしょう。
「力による現状変更を試みるいかなる行為にも反対する」と共同声明で表明し、台湾海峡問題の平和的解決を呼びかけているのですから、『力による平和』を推進するトランプさんを皮肉がきいたユーモアで諫めてもよかったのかもしれません。笑いがあれば角が立つこともないのですから。
「参考文書」
日米首脳「USスチールは買収でなく投資」、米産LNG輸入拡大で合意 | ロイター
石破茂首相「対米投資を1兆ドルに」 日米首脳会談 - 日本経済新聞
日米首脳会談、識者の見方 安保懸念は払拭・経済に課題 - 日本経済新聞
野党も一定評価 自民幹部「相性が合った」―日米首脳会談:時事ドットコム
トランプ氏、石破氏の「強さ」試す 初会談は信頼構築焦点―米専門家:時事ドットコム
トランプ氏、高関税国に「同水準の関税」 10日にも発表へ - 日本経済新聞

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