「特にコメの値上がりが厳しい」、「餃子の王将」が再び値上げを実施するそうです。徹底した業務効率化やコスト管理などの努力では、原材料費や物流費、光熱費などの費用高騰も補えないことが理由といいます。
「餃子の王将」主力商品再び値上げ ギョーザは22円 - 日本経済新聞
セブンイレブンも、コメの価格高騰を理由にして、おにぎりや弁当などを値上しました。今年も値上げラッシュが続くといいます。
国産米の価格高騰に対応するため、商社などの民間事業者が主食用の外国産米の輸入を拡大するそうです。その量は2万トン以上になる見込みで、外食や小売りで外国産米を使う動きが広がりそうだといいます。
コメ民間輸入年2万tに急拡大へ 高騰で兼松など外食用 - 日本経済新聞
政府もようやく重い腰をあげ、備蓄米を放出するそうです。次週には売渡し数量など入札の概要を公表するといいます。こうした動きで集荷業者などで在庫となっているとされるコメが動き、値が下がることはあるのでしょうか。
「米騒動」、日本の歴史を振り返れば幾度も繰り返されています。中でも大正時代におきた騒動は激しいものだったといいます。新聞が連日、米価高騰を大きく報じ、社会不安が増大した中でおきたといいます。生活苦と厳しい抑圧に喘ぐ庶民の怒りは、次第に米問屋や商社など流通業者に向けられ、安売りの哀願から始まり、やがて焼き打ちや暴動へと発展していくことになりました。大阪朝日新聞の捏造記事で、米の買い占めを行っている悪徳業者とされた商社「鈴木商店」が焼き打ちにあうことになります。
この騒動も政府の対応のまずさによるものと言われているようです。政府指示で商社による外国米の大量輸入も実施されましたが、米価は下落しなかったそうです。飲食や小売りに広がる「令和のコメ騒動」はどんな収束を迎えるのでしょうか。
論語に学ぶ
子貢(しこう)、政を問う。子曰わく、食を足らし、兵を足らし、民 之を信ず、と。子貢曰わく、必ず已(や)むを得ずして去らば、斯(こ)の三者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、兵を去らん、と。子貢曰わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、食を去らん。古(いにしえ)自(よ)り皆死有り。民 信ずる無くんば立たず、と。(「顔淵第十二」7)
弟子の子貢が「政治とは」と問いました。孔子は「十分な食、十分な軍備、そして政権への信頼である」と答えました。すると子貢は「三者のうち、どうしても棄てなければならないとしましたならば、まずどれでしょうか」と質問します。孔子は「軍備だ」と答えました。子貢は「では残った二者のうち、どうしても棄てなければならないときは、どれでしょうか」と更問しました。孔子は「食だ。古来、人間はいつか必ず死ぬ。もし政治への信頼がなければ、国家も人も立ち行かないのだ」といいました。
消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28.3%と1981年以来43年ぶりの高水準となったといいます。
食費が家計圧迫、鈍る消費 昨年の「エンゲル係数」43年ぶり高水準:朝日新聞
コメの高騰に加えて、天候不順などでキャベツなどの野菜も高騰したことが影響しているといいます。節約志向が定着し消費が鈍るようすも浮き彫りになっているといいます。
「経済安全保障」、食にも関係するこうしたテーマは政府議論の定番です。しかし、議論は永遠と続くだけで、一向に結果がともなうことがないようです。課題は、農業生産基盤の脆弱化、食料自給率の低さ。食料需要と供給の構造的な改善が強化策といいます。もうそろそろ実のあることができないとヤバそうな気がします。
[論説]米の集荷苦戦 安定供給を後押しせよ / 日本農業新聞
難しいことなのかもしれませんが、産業構造を大胆に変え、流通経路を圧縮できれば、コスト低減も可能になって効率化・生産性が向上するのではないでしょうか。素人目からすると、集荷業者がいてその次に卸を経てから小売業者へと流れるという今の仕組みがムダに見えますし、そうだからあくどい輩が買い占めたり悪さを働くチャンスが生まれるのではないかと思えたりします。
色々しがらみを乗り越えないといけないのかもしれませんが、こういうところにビジネスチャンスがあって、それを活かすことができて真の改革になるのではないでしょうか。
「参考文書」
企業物価指数12月3.8%上昇 コメ高止まりで - 日本経済新聞
政府備蓄米を早期放出へ 江藤拓農相が表明「手続き急ぐ」 - 日本経済新聞
【図解・経済】全農によるコメ集荷・販売の流れ(2018年3月):時事ドットコム

