イーロン・マスク氏が、トランプ次期米国大統領の下で「DOGE 政府効率化省」を率いることになります。その「DOGE」が動き始めたようです。連邦議会議員との初会合を開いたそうです。
イーロン・マスク氏の米効率化省、狂騒の船出 テレワークが標的に - 日本経済新聞
この組織の任務は「政府の官僚主義を廃し、過度な規制を削減、無駄な支出を減らし、連邦政府機関を再構築する」こととトランプ氏は説明しています。歳出削減を主導し、2兆ドルの削減を目標にするともいわれています。
さしあたって、連邦職員のテレワークを廃して、週5日の出勤を義務付けるのではないかといわれています。これに反発して自主退職することを見越した一種のリストラ策ではないかとの見方もあるようです。
様々な専門家がマスク氏の発言を手掛かりに分析を始めています。AIなどの最新テクノロジーを駆使、サービス提供の効率を劇的に改善し、政府の生産性を向上させる期待があるといいます。データ駆動型の政策決定も想定されるといいます。
F-35をドローンで代替? イーロン・マスクが「コスパ最悪」のステルス戦闘機に大なたか | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
防衛産業もマスク氏の標的なのでしょうか。主力戦闘機F35を批判し、防衛産業を破壊、再創造しようとする旨の発言もしているようです。
マスク氏の改革を危惧する専門家もいます。拙速な予算削減による経済の悪化、混乱を憂慮しているようです。
マスク氏が主導する政府効率化省(DOGE)の課題|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
マスク氏の強引な手法を危険視し、強い批判を浴びることになるのではないかといいます。急速な変化は混乱を招き、何でもかんでもムダと決めつけて大ナタを振るえば大きな反発を招きかねません。
論語に学ぶ
知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。(「子罕第九」29)
知者は学問をしてその目が冴えているから惑うことがない。仁者は人間を愛し、究極において善意の勝利を信じているから憂えることがない。勇者はおのれ一個のためではなく、天下のためによき決意をしたのだから、いかなることがあっても恐れない、と孔子はいいました。
孔子の言葉にマスク氏の姿がダブりもしますが、一方で、行き過ぎのところもありそうな気もします。
リバタリアニズム 自由至上主義
そのマスク氏、個人の自由と経済的な自由を追求するリバタリアニズム(自由至上主義)志向のようだといわれます。
イーロン・マスクの教養 「男女の自由な交わり」とリバタリアン:日経ビジネス電子版
言論の自由を守るためにTwitterを買収したり、大統領選ではトランプ氏を熱烈に支援しトランプ氏勝利に貢献したりして、その片りんを見せます。
イーロン・マスク氏とトランプ次期米国大統領、大いに気になる存在です。ぐらついているこれまでの国際秩序が壊れていくことになりそうな気もします。
トランプ復活 今こそ日本は国際秩序の守護神に:日経ビジネス電子版
彼(トランプ氏)が大失敗するまで、多くの米国民の目は覚めないのかも知れない。巻き込まれる方はたまったものではないが、民主主義の厳しさがここにある。(出所:日本経済新聞)
利己優先の政治が感染症のように広がっているといいます。今日の世界を見渡せばそんな感じを受けます。分別のない政治が最大のリスクになっているといってもよさそうです。シリアでは独裁政権が倒れました。政権崩壊が今後の世界のトレンドになるのでしょうか。来年1月、トランプ新政権下で米国はどうなっていくのでしょうか。民主主義の瓦解への引き金にならないことを祈るだけです。
「参考文書」
マスク氏発案の米「政府効率化省」は何ができるのか-QuickTake - Bloomberg
マスク氏が米議員らと会合へ、連邦予算2兆ドル削減で支持拡大目指す - Bloomberg
Xとの蜜月の終わり 「偽情報」拡散で報道機関が離脱 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
寺島実郎氏「二極化の発想やめよ、世界を単純に分断するな」 | 週刊エコノミスト Onlineから | 週刊エコノミスト Online | 毎日新聞「経済プレミア」