問題には、解決できると問題と解決できない問題があるといいます。それを知らずに闇雲に努力したところで、成果は上がらないそうです。重要なことは、問題設定、課題設定を間違えないこと、それができないから深みにはまるといいます。人はついつい目の前の事象に左右されがちで、それが問題の本質を見誤ることにつながります。
全ての国民の幸せを実現するため
石破首相が所信表明で、「全ての国民の幸せを実現するため」、「外交・安全保障」、「日本全体の活力」、「治安・防災」の3つの重要政策課題への対応を進め、憲法改正や政治改革にも取り組む考えを表明しました。
石破首相、「103万円の壁」引き上げ表明 所信表明演説 - 日本経済新聞
「?」、なんか腑に落ちません。政治は問題設定を間違える最たる例のようです。政治なんだから仕方がないことなのかもしれませんが。それにしてもです。
経済あっての財政
「経済あっての財政」といいます。しかし、日本の財政は危機的状況といわれます。経済再生に取り組むため毎年多額の税金が投入され続けていますが、なかなか成果があがらないようです。年末の補正予算が恒例行事となり、金額も膨れ上がります。こちらもなかなか効果的ではないようです。経済が壊滅的な状況かといえばでそうでもなさそうです。それなりの効果はあるのかもしれません。国も自治体も税収増が続いているといいます。
過半数の市区で税収最高 23年度、賃上げ・地価上昇映す 日経NEEDS調査 - 日本経済新聞
大都市を中心に企業の賃上げや地価上昇の影響が理由といいます。一方で、歳出拡大も続いているといいます。どうなのでしょうか。
問題設定を間違えていそうです。問題の捉え方が変われば、戦略見直しのポイントも大きく変わり、アプローチは異なるものとなるのでしょう。
「年収の壁」問題、「賃上げと実質賃金の改善」、「少子化対策」、「選択的夫婦別姓制度」など人権や平等問題など政府が取り組むなければならない問題が山積みです。こうした問題は社会の表層に現れている困った症状にすぎないような気がします。問題の本質に迫って仮説設定が適正になされれば、もっと有効な手立てが見つかりそうです。案外、シンプルなところに問題の本質で、結構共通事項も多そうな気がします。
年収の壁
政府・与党は退職金課税の改正を見送る方針といいます。「年収103万円の壁」の協議している中、負担増を伴う改正は困難と判断したそうです。
退職金課税の改正見送り 政府・与党、負担増の議論回避 - 日本経済新聞
一方で、年収の壁の最大の問題は、制度が古くなおかつ複雑すぎるとの意見もあります。記事によれば、ある企業経営者は「問題の核心が何なのか、十分に理解できていない」と話しているそうです。
米国をはじめ主要国では、所得税の課税最低限の年収基準などをインフレ率に連動して動かすのが主流になっているといいます。
「年収の壁」毎年上がるアメリカ 主要国はインフレに連動 - 日本経済新聞
日本も時代に合わせて制度を根本的に考え直せば案外うまくいくのかもしれません。スケベー根性を出して、より多く財源を確保しようとしなけれ話はスムーズに進みそうです。
「年金、医療、介護といった社会保障や人口減への対応、防衛力の増強に必要な支出はこれから増える一方だ」、確かに頭を悩ますことばかりです。「103万円の壁」を引き上れば、税収は兆円単位で落ち込むといいます。どれもこれも深刻なことのようです。しかし、それは問題ではないのでしょう。これらの症状から問題設定をきちんとできるか、それが政府の仕事ではないでしょうか。困った症状を頭を悩ませて「正解探し」をしても答えはないのでしょう。「チエ」を働かせれば、実現可能な答えは見つかるはずです。問題設定を間違えるから、成果があがらずにおかしなことになって時間ばかりが浪費されるのではないでしょうか。
論語に学ぶ
葉公(しょうこう)政を問う。子曰わく、近き者説(よろこ)び、遠き者来たる、と。(「子路第十三」16)
葉公殿が政治とは問いました。近隣の者が喜び、善政という評判に憧れて遠地の者が移ってくるような政治と孔子は言いました。
株価も足踏み状態で、なかなか米国のように過去最高値の更新が続くことがないようです。外国人投資家がどっと押し寄せ買い越しが続けばいいのでしょうが、なかなか定着しないようです。期待が膨らむことはあるようですが、成果が上がらずに失望になってしまうのでしょうか。期待通りに成果があがるように問題設定をしたいものです。
石破首相は所信表明で、GDPシェアや国際競争力ランキングの低下を指摘していました。こんな厳しい時だからこそ、雷同ではなく、みなが集まって協力してことに当たるべきなのでしょうが、まだまだつまらぬところで争いがあるように見えます。こういうところが問題の根っこのなのかもしれません。
自民党は野党切り崩しに走る◆大阪経済大・秦准教授インタビュー【政界Web】:時事ドットコム
自民は権力に貪欲だ。手をこまねいて少数与党に甘んじているとは考えづらい。参院選に向けて野党の切り崩しに走る可能性も十分にある。(出所:時事ドットコム)
いくら政策実現のためとはいいながらも、こんな政党にすり寄れば利用されるようなものです。こんなことではいつまでたっても問題解決は進まず、「全ての国民の幸せを実現する」ことはなさそうです。あらゆる逆境を払いのけ、日本が再興の道を確実に進めることができる政治が求められています。
「参考文書」
24年度補正予算案 「額ありき」でまた拡大 成長戦略の影響大きく | 毎日新聞
新たな経済ステージへの予算編成 経済再生と財政健全化の両立目指す:日経ビジネス電子版
「年収の鉄壁」130万円を崩せ 3号廃止、労使団体が結束 編集委員 大林 尚 - 日本経済新聞
不十分な少子化対策 日本政府は本気で子供を増やしたいのか:日経ビジネス電子版
[社説]財政健全化への努力を止める余裕はない - 日本経済新聞
「与党の数合わせに付き合うのか」国民民主にいらだつ声 野党協議で [立憲] [維新] [国民] [共産] [れいわ]:朝日新聞デジタル