北朝鮮の精鋭部隊の一部が戦地になっているロシア西部のクルスク州に投入されたり、イスラエルがイランのミサイル工場や防空関係などの軍事施設を報復攻撃したり、引き続き国際情勢は緊張しています。どんな形であれ平和が願いであるはずなのに、誰も導くことができないようです。それを阻害する他の誘因があるからなのでしょうか。現代における政治の問題なのでしょうか。
BRICSの存在感、G7の形骸化
ロシアや中国などからなるBRICSの会議がロシアで開催されました。国連のグテレス事務総長やNATO 北大西洋条約機構加盟国であるトルコのエルドアン大統領がこの会議に出席したといいます。BRICS加盟国は増え続け、今回の会議に参加した国の人口を合わせれば世界全体のほぼ半分に達するほどといいます。
訂正 -アングル:BRICS拡大後初の首脳会議、増大する「非西側」の影響力誇示 | ロイター
今回の会合は、ロシアがウクライナ問題によって国際社会から完全に孤立しているわけではないことを印象づけ、西側が力を失いつつあることを示していると指摘する専門家もいます。別の専門家は、BRICSの多数派が「反欧米」を望んでいるわけではなく、西側はグローバルサウスとより真剣に向き合うべきだと指摘します。「欧米のみが秩序を率いる伝統が時代錯誤になりつつあるのは事実だ。そこで新たなブロック形成による対立ではなく、協調路線を望む国も多いという現状は、世界秩序を民主化するチャンスになりうる」と語っています。
一方、G7 主要7カ国とG20 20カ国・地域の枠組みは、地政学上の対立に翻弄されて存在感を低下させているとの見方があるといいます。
G20とG7、止まらぬ形骸化 BRICSになびく新興国 - 日本経済新聞
新味に乏しく、形骸化しかねそうです。
ソフトファシズム
第2次世界大戦後の国際秩序が崩れ、「ソフトファシズム」が世界を席巻していくとの意見があるようです。ソフトであれ、ファシズムというと独裁、国家主義というイメージで、自由や人権がないがしろにされ、反対派は弾圧されるような政治体制で、ロシアや中国がそれに属するということなのでしょうか。
ソフトファシズムの台頭に備えよ 現代思想家ジジェク氏 - 日本経済新聞
「平和」は実力と毅然とした立場を示して勝ち取るものであり、「平和主義」を言葉で唱えるだけで平和はやってこないといいます。今こういうときだからこそ、国際的連携が有効だといいます。
そこに日本の立ち位置があるような気がします。しかし、政治不信に満ちた今の日本では無理そうな気もします。世界平和実現に貢献できるような新たな政権が誕生して欲しいものです。
論語に学ぶ
詩を誦(しょう)すること三百、之に授くるに政を以てして達せず、四方に使いして、専対(せんたい)する能(あた)わざれば、多しと雖(いえど)も亦(また)奚(なに)を以て為さんや、と。(「子路第十三」5)
詩を三百篇も暗誦するほど知識が多くあるものの、内政を担当しても達成することが無く、外交を担当しても相手と渡り合うことができない。それでは、詩を多く暗誦していも、中身を理解しておらずに形式的で、取るに足らないと孔子言いました。
孔子の言葉が現代の政治家が抱える問題のように聞こえます。これでは叡智もチエも活かすことはないのかもしれません。不信はますます募り、不安が助長され解消されることがなさそうです。
今年は選挙イヤーといわれます。米国大統領選挙も間近に迫り、日本では今宵にも衆議院選挙の大勢が判明します。
トランプは「ファシストの定義に合致」と元米高官 「ヒトラーは良いこともした」発言も | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
ソフトであろうがあるまいが「ファシズム」とは無縁な健全なものであって欲しいものです。米国がおかなしなことになるのであればなおさらなのですから。
「参考文書」
【解説】BRICSを「反欧米」にしたい中露と、したくないそれ以外の国 | クーリエ・ジャポン
移民への不満高まる国境州 トランプ氏、発言過激化―実績問われハリス氏苦戦・米大統領選:時事ドットコム
日本は「変化促す動きが弱い」 MIT教授アセモグル氏:朝日新聞デジタル