第50回衆議院選挙が27日投開票で実施されます。戦いの火ぶたが切られ、論戦が始まりました。各政党、各候補者の主張を聞いていると「進歩のない国 日本」と感じます。多くの課題を解決できずに放置してきたとの印象が拭えません。政治の質の問題なのでしょうか。
「先進国で民主主義への支持は過去最低になっている」とノーベル経済学賞の受賞が決まったMIT 米マサチューセッツ工科大のダロン・アセモグル教授が主張しています。また、多くの人が、独裁政権の支配を容認したり支持したりするようになっているといいます。民主主義も危機のようです。
「賃金の伸び悩みで中間層の生活が厳しくなっている」、日本ばかりでなく、米国、欧州においても同様といいます。経済のグローバル化などの影響で製造業がかつての存在感を失ったことによるといいます。
悪質SNS「現代の最悪の罪」 ノーベル経済学賞アセモグル氏会見 | 毎日新聞
労働者階級の信頼を取り戻すべきだとアセモグル教授はいいます。「汚職を排したクリーンな統治」や「より良い公共サービスの提供」などが必要と訴えています。国民と社会契約を結び直すことが重要とし、一部の選ばれたグループではなく、幅広い有権者、とりわけ労働者階級を対象にすべきだといいます。
みなが「漠然とした将来への不安感」を抱えるようになりました。良くなるとの確信を持てません。変化を拒む「古い政治」がもたらした結果といってよさそうです。政府はスローガンや目標を打ち上げるだけで、問題解決能力を失っています。税金は浪費されるだけで、状況は全く改善しません。「一強政治」が害悪ということなのでしょう。
セブン&アイの苦境
カナダのコンビニ大手 アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたセブン&アイ・ホールディングスが揺れています。企業経営もまた政治と同様な問題を抱えていそうです。
セブン&アイ株主の米ファンド、クシュタールとの買収交渉開始を要求 | ロイター
7&i HDの株主である米ファンド アーティザン・パートナーズが、クシュタールによる買収再提案は、7&i HDの事業再編計画を実行した場合に得られる評価よりも明らかに優れているとし、最大の買収価格を実現するよう、すぐに価格交渉を開始するよう強く求めたといいます。また7&i HDの再編計画は「あまりに小規模で遅きに失した」とし、「善意の入札を妨害し、追い払うための戦術は有益でない」と述べたそうです。
アーティザンは、指名委員会から井阪隆一社長と丸山好道取締役が退くことも要求しているそうです。効果のある経営の監督と説明責任がなされておらず、企業価値がディスカウントされる局面が続いていることが理由といいます。
「誤算の20年」、セブンイレブンの低迷は、持ち株会社化が裏目となって組織が硬直化したことによるものではないかといいます。それにしても長きにわたって問題が放置されていたようです。「国内最強の小売業」に発展したセブンですが、変化に対応することのできない古ぼけた企業に落ちぶれたようです。
政府も企業も希望的観測に過ぎない最悪の戦略しか描けないようです。これでは、いつまでたっても不安が解消されることはなさそうです。
論語に学ぶ
子貢(しこう)、政を問う。子曰わく、食を足らし、兵を足らし、民 之を信ず、と。子貢曰わく、必ず已(や)むを得ずして去らば、斯(こ)の三者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、兵を去らん、と。子貢曰わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、食を去らん。古(いにしえ)自(よ)り皆死有り。民 信ずる無くんば立たず、と。(「顔淵第十二」7)
子貢が為政者の心構えを質問しました。孔子は「民の生活の安定、十分な軍備、そして政権への信頼である」と答えました。子貢は更問を続けますが、孔子は「民信無くば立たず」、「政治で最も大切なのは国民の信頼を得ることである」といいました。
合理的に考え、リーズナブルな戦略を描く必要がありそうです。それができるリーダーは誰なのでしょうか。古い顔のままでは世界からの遅れは挽回できそうになく、いつまでたっても「弱いニッポン」から抜け出ることはなさそうです。
「参考文書」
次世代の声、政策に 将来不安「後回しにしないで」 - 日本経済新聞
クシュタールの再提案に7&iは応答すべきと書簡-米アーチザン - Bloomberg
セブン&アイ社長、資本効率と成長回復を強調 非コンビニ事業集約 | ロイター
【コラム】7&i再編に説得力なし、独禁法も買い手に有利-ヒューズ - Bloomberg
鈴木敏文氏の退任劇とクシュタールの買収提案…セブン-イレブンの向かう先を8年前と比べて読売新聞デスクが考察する : 読売新聞
セブン持ち株会社挫折の教訓 営業現場・顧客の声と乖離 編集委員 鈴木哲也 - 日本経済新聞

