「このままでは日本人は滅びる」と問題提起したファーストリテイリングの柳井社長の発言が話題になりました。「日本はもう中流階級の国じゃなくなった」「世界基準で考えたら日本は年収200万円台の国」、そんな嘆かわしい言葉が語られていました。
“このままでは日本人は滅びる” ファーストリテイリング柳井社長が語る危機感…世界から見て“年収200万円台の国”日本はどう生き残る?(2024年8月26日掲載)|日テレNEWS NNN
かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれていたことが嘘のような凋落ぶり、柳井社長が危機感を抱くのも理解できます。様々な理由があってのことなのでしょうが、政治も企業も間違いを間違いと認めず、是正できずにきたのですから、自然な成り行きでの結果に思えます。
「参考文書」
「日本人滅びる」論争、柳井氏発言に賛否 前沢氏、三木谷氏らが見解 | 毎日新聞
前澤友作氏 ユニクロ柳井社長の日本経済への提言に“反論”「僕はなんだか逆のように感じます」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
《独自》ユニクロ柳井氏「日本人は滅びる」発言に元ネスレ日本CEOが賛同 「“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしている」バブル崩壊後の日本企業の失敗とは | マネーポストWEB - Part 3
一方、中国が供給網をも支配するようになり、経済的に米国を脅かすような存在となりました。日本と異なり対立もいとわないようです。主要商品・サービスのシェアにおいて、米国と激しく競い合うようになっています。
日本は、あっという間に中国に追い抜かれ、トップシェア品目数では中国の後塵を拝するようになりました。先端品など成長市場で苦戦が続き、競争力強化が課題になっているといいます。
次の総理大臣を選ぶことになる自民党総裁選が続いています。誰が総理の座を射止めても変化は起こりそうにもなく、同じことが繰り返されることになりそうな気もします。こんなことで凋落に歯止めがかかることはあるのでしょうか。
論語に学ぶ
子、衛に適(ゆ)く。冉有(ぜんゆう)僕(ぼく)たり。子曰わく、庶(おお)いかな、と。冉有曰わく、既に庶し。又 何をか加えん、と。曰わく、之を富まさん、と。曰わく、既に富めば、又 何をか加えん、と。曰わく、之を教えん、と。(「子路第十三」9)
孔子は、衛の国へ行ったとき、車の御者を務めた冉有に「人が多いな」といいました。冉有は「人が多い、この上に何を与えましょうか」と質問しました。孔子は「豊かにすることだ」と答えました。冉有は「みなを富ますことができましたら、何を加えましょうか」と質問しました。孔子は「教育だ」といいました。
「少子高齢化」、危機感は募るばかりです。それ以外にも問題が解決されずに山積みのままです。大胆に変えていけばいいだけなのに、ためらいがあったりするのでしょうか。
なぜそれを乗り越えることができないのか、不思議でなりません。何も好んで、ジョージ・オーウェルが描くようなディストピアのような世界に導くこともはないはずなのに、どうもそちらに引っ張られているように思えてなりません。努力の方向を間違えているだけのように思えます。
「参考文書」
安田峰俊『中国ぎらいのための中国史』(PHP研究所)【今月の一冊】:時事ドットコム