「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

異常気象、高価になるオレンジジュース、農業の危機、食の安全保障

 オレンジジュースにコーヒー、それに加えカカオ豆、色々な品々が異常気象の影響を受け、入手難となり、価格が高騰しているといいます。オレンジジュースにおいては、国内飲料メーカーが相次いで販売休止に追い込まれる状態になっています。

食卓に「オレンジショック」 果汁が品薄、価格高騰:時事ドットコム

 異常気象の影響は日本でも同様で、野菜はもちろんのこと、米やリンゴなどの果物、水産物など様々なものに及び、価格が激しく動くようになっています。

 気になることが増えていきます。気候変動のこと、物価高騰のこと。様々な要因が絡み合っていて、問題解決がスムーズに進まなくなっているようです。

 

 

食料安全保障の強化を盛り込んだ改正食料・農業・農村基本法が成立したといいます。農業に関する国の基本姿勢を示す「農政の憲法」と言われ、1999年の制定以来、本格的な見直しは初めてのことだったといいます。食料安全保障の確保を基本理念に位置付け、農政を再構築するそうです。

「農政の憲法」初の本格見直し 食料確保強化狙い―改正農基法成立:時事ドットコム

 今回の改正は、世界的な食料需給の変動、気候変動、人口減少などの課題を踏まえてのことといます。「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」を確保する方針を明記、また関連法の整備と合わせ、凶作や輸入途絶などで食料が不足する危機時に備えた対応を規定するそうです。

人口減少で食料の需要低下が見込まれる中、供給能力を維持するため、農産物などの海外輸出を強化。安定的な輸入や備蓄も進める。また、国内農業の持続的な発展に向け、先端技術を活用したスマート農業を推進し、生産性や付加価値を高めることも打ち出した。(出所:時事ドットコム

 気候変動の影響をひしひしと感じます。また、世界各地がおきている農業被害を想えば、農業を再構築しようとすることは大いに賛成できます。しかし、なぜか法制化となると、余計なことを考えるからなのか、効果的なものになるのか疑問を感じます。

 

 

 農業に関しては昔から手厚い保護下にあるのかと思っていましたが、逆に問題が噴出していそうです。農林中央金庫が、米金利の高止まりで保有債券の収益が悪化、含み損の処理などで2025年3月期に5000億円超の最終赤字に陥り、1.2兆円規模の資本増強を行うといいます。その背景にはJAグループを背負って無理を重ねた30年間があるのではないかといわれているようです。

農林中央金庫、増やせぬ農業融資 ゆうちょ銀行と分かれた明暗 農林中金 3度目の蹉跌㊦ - 日本経済新聞

 JA 農協のビジネスモデルが農業のサポート業務では収益があげられず、保険販売等の金融収益に頼っており、厳しい収益状況の中、農林中金を頼りにする構造的な問題があるといわれます。

 農水省、JAなどが目的通りに農業支援を効果的に行ってきたのなら、農業はもっと魅力ある職業になっていたのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

樊遅(はんち)稼(か)を学ばんと請う。子曰わく、吾は老農(ろうのう)に如(し)かず、と。圃(ほ)を為(つく)ることを学ばんと請う。曰わく、吾は老圃(ろうほ)に如かず、と。樊遅出(い)づ。

子曰わく、小人なるかな、樊須(はんす)や。上(かみ)礼を好めば、則ち民は敢(あ)えて敬せざること莫(な)し。上 義を好めば、則ち民は敢えて服せざる莫し。上 信を好めば、則ち民は敢えて情を用いざる莫し。夫(そ)れ是(かく)の如(ごと)くんば、則ち四方の民、其の子を襁負(きょうふ)して至らん。焉(いずく)んぞ稼を用いん、と。(「子路第十三」4)

 弟子の樊遅が田の作り方を教えていただきたいと願い出たことがあった。すると孔子は「私より手慣れた農民のほうがよく知っている」と答えました。樊遅は続いて畑の作り方をと言ったので、孔子は「私より手慣れた圃人(はたけつくり)がよく知っているぞ」と答えました。樊遅が退出したあと、孔子は「小人 知識人に終わっているな、樊須は。政治が「礼」を大切にするならば、必ず民衆は尊敬する。政治が「義」を重視するならば、必ず民衆は支持する。政治が「信」を尽くすならば、必ず民衆は言い訳をしなくなる。そのようであれば、四方の人々がぜひにと、子を襁(むつき)で背負って集まってくるだろう。どうして政治が農業の振興を第一とすることがあろうか」といいました。

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「小人なるかな、樊須や」、勇士ではありましたが、出来はあまりよくなかった弟子だったといわれます。将来、政治家として立つために、重要産業である農業について知ろうとしたようですが、孔子は、教養人として、専門的技術、知識よりも、もっと学ぶべきことがあると理解して欲しかったようです。

 現代の政治家も官僚も「樊遅」とあまり変わらないかもしれません。農業政策ばかりでなく、他においても同じようなものです。マイナカードがその最たる例といっていいのでしょう。

 効果的な政策が実施されるのはいつになるのでしょうか。「気づきを得る」、ただそれだけ意識は変わり、効果が上がるようになるはずなのですが。

 

 

「参考文書」

農中が再度資本増強へ、繰り返す「逃げ遅れ」-巨額資産が足かせに - Bloomberg

バイデン大統領に生活費高騰の呪縛、有権者に好景気や株高は二の次 - Bloomberg