「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

なぜ対立するのか、解決の糸口を見出すためには

 

 ひとりでも多くの人のために役立つことができる仕事ができて、そんな仲間が増え、よりよい社会や世界につながり、社会のしくみが徐々にアップデートされていけばいいなあとの願いがありました。それもグローバリゼーション全盛の頃の淡い夢だったのかもしれない、願いや希望はよいにしても、それだけでは今日の世界では通用しないほどに劇的な変化があるのだろうなとも感じたりします。

 好ましいことではないはずの国と国の対立が顕在化するようになっています。是認はしたくはないのだけれども、それに適合しなければ、苦しみが増すことになってしまいます。そのもやもやにどう折り合いをつけ、環境適応にしていくのいいのでしょうか。

米国の敵意

 米政府高官の4月27日の講演が、破壊力のある内容で日本や韓国を驚かす内容だったといいます。

バイデン政権が日韓に迫る「対中デリスキング」とは | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 記事によれば、国家安全保障担当の大統領補佐官サリバン氏は過去の経済外交の概念を捨てるべきだと主張し、今や世界は地政学的リスクや気候変動、米国の労働者などを考慮に入れたサプライチェーンを作らなければいけないと述べたそうです。

要するに、「中国と手を切れ」と言っているのだ。サリバン氏は「同盟国と連携する」と言ったが、それは「同盟国にこの方針を強制する」と言っているに等しい。同時に、中長期的には米国内に投資して、競争力をつけなければいけない、という考えも示した。当然と言えば当然だが、「米国ファースト」を主張したわけだ。(出所:Forbes)

「今、日本や韓国の政府当局者は、ワシントンや東京、ソウルでバイデン政権の動きを追いかけるのに必死になっている」と記事は指摘し、「その流れをつかむや、慌てて国内法や制度の整備に取り掛かっている」といい、「企業関係者はワシントンで直接、アンテナを立てないと生きていけない時代に突入している」といいます。

 なぜにそんなに目くじらを立て中国に対抗しようとするのでしょうか。米国の傲慢にも見えてしまいます。そんなことにつき合う意義はあるのかとの疑問はありますが、そうはいえども米国抜きでの論理を組み立てるには困難さが伴います。

追従

 日本もその米国に歩調を合わせるかのように、G7 広島サミットで、サプライチェーンの信頼性に関する懸念について議題にあげ、中国に対抗しようと考えているようだといいます。

G7を中国に対抗させようと模索する日本 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 どうなのでしょうか。記事が指摘するように、中国の貿易慣行に高慢さがあり、不遜さもあるのかもしれません。しかし、米中どちらも行き過ぎで、どっちもどっちのような気がします。その行き過ぎを中和させるよう日本が振舞うべきのように思います。いつまでも勝てば官軍負ければ賊軍のような論理でいいのかと思います。 

論語に学ぶ

子貢曰わく、夫子(ふうし)の文章は、得て聞く可(べ)し。夫子の性と天道とを言うは、得て聞く可(べ)からざるなり。(「公冶長第五」13)

 弟子の子貢が「孔子から古典は学ぶことができたが、人や物の本質・実態とか、普遍的なるものといった哲学的な議論は学ぶことができなかったと言ったと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 過去を学ぶことで学習は成立し、知識の習得は進みます。それが問題解決に役立つことはあるのでが、それだけでは十分でないこともありそうです。

 歴史は韻を踏むといいますが、同じ事象が再現されることはありません。今の状況はかつての東西冷戦とは違うのでしょうし、日本がかつて戦争に突き進んだときとも異なるのでしょう。ただ現実を直視すれば、日本が微妙なところに位置し存在し、米中対立が激化したとき、危うい立場になることはわかります。

 哲学的な問いを立て、考えてみるときなのかもしれない、そう感じます。