「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

負担を強いる社会、潜む悪意、憧れはマンガにあり

 

 少子化問題が深刻さを増して、国も子ども政策に本腰を入れています。これに加え高齢化も大きな問題です。お年寄りを支えるための現役世代の数が減ることによって負担感が増すといいます。こうしたこともあってのことでしょうか、高齢者自身が負担を負うことを求められるようになっていくようです。これから高齢者の仲間入りしていく身としては仕方ないとは思いつつも、これでいいのだろうかと思うこともあります。

 もしもさらに少子化が進むのであれば、今の現役世代が高齢者になるころにはさらに酷い状況にならないかと心配にもなります。

 自然の法則に従って人に等しく老いは訪れます。高齢者をあまり悪者扱いせず、先達として敬うようになれば、後々になって我が身にかえってくるのではないでしょうか。

いまギリギリ残っているシニアの人々は昔の成功体験があるから「オレが若いころは」「上官の言うことを聞くのだ」みたいなことをいう。「うるさいな」と思いながら「まあ、しょうがない」と聞いている部下たち。(出所:Forbes)

 ありがちなシーンなのでしょうか。しかし、先輩諸氏の努力があって、今日の日本があり、また経済大国になったということを忘れてはならないような気がします。

 良きものは継承し、正すべきは正していくことで、よりよくなっていくことを歴史が証明しているように思います。

論語に学ぶ

古(いにしえ)の学ぶ者は己の為にし、今の学ぶ者は人の為にす。(「憲問第十四」24)

 昔の学ぶ者は、自己を鍛えるためであったが、今の学ぶ者は、他人から名声を得るためにしていると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子版「今どきの若い奴」とでもいうところなのでしょうか。いつの時代にあっても口うるさいのは年輩者で、若者たちは反発したりするのでしょう。しかし、言われてみれば、ごもっともような気もします。

サラリーマン金太郎

 漫画「サラリーマン金太郎」の面白さをForbesが解説しています。

 ほかのビジネス系のマンガは、成功のために人を捨てていくことがあたかも正しいかのように描いていくことが多いが、金太郎には「組合の委員長をやるというのは、要らなくなった年寄りを全部背負っていくことだ」みたいな話も出てくるといいます。ゲーム感覚で仕事をするのとは真逆といいます。

Zアカデミア学長伊藤羊一の偏愛漫画『サラリーマン金太郎』|社長の偏愛漫画 #11 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

「やっぱりいま必要なのは金太郎」と記事はいいます。

「そこに従うんだよ」「子どももいるんだよ」、サラリーマンだからこそ、仕事とプライベートとの間に矛盾を抱え、そこに苦悩や葛藤がある.....

志を貫く。でも、みんな違ってみんないい。縦と横です。『サラリーマン金太郎』を読み返してみて「オレ、これを目指してたんだ」って、金太郎に少し近づいている自分がうれしいです。仲間を大切にしながら、そこにあるきれい事とか軸を立てることが大事です。ぜひ若い世代にも読んでもらい、その感覚、メッセージを読み取ってほしい。(出所:Forbes)

 金太郎が始まったのが94年、停滞し始めた日本に疑問を投げかけていたということでしょうか。

 読んだことがないので詳しくは知りません、平社員の金太郎がヤマト建設に入社し、ヒエラルキーを壊していくそうです。フラットな関係作りに奔走し、普段、権力者には頼らない金太郎がここぞというときには「今回は頼みに来た」みたいな政治力を使うシーンもあるといいます。

軸やビジョンを明確にする、みんなと仲良くやる、使えるものは使う。こういうところは全て仕事の参考になります。(出所:Forbes)

 金太郎がこうあるべきといえるのも、先達たちの功績があってのことで、その中で時代にそぐわなくなったものをよりよく変えていこうといっているだけではないでしょうか。温故知新、故きを温め新しさを知るということなのかもしれません。

 先達たちの功績を手がかりに、また、それを踏み台にできれば、ステップアップもより容易になりそうです。年寄りに感謝の念を持てるようになれば、自分を高めることの手助けになるといってもいいのかもしれません。自分自身を悪意で満しては、その中からは善いことが育つことはなそうです。

 記事を読むと、もしかして現代社会は悪意が満ちているのかもしれないと思ったりします。そうだから金太郎のような振る舞いに憧れたりするのでしょうか。

 

 

「参考文書」

仏教的には「老い」はむしろ喜ばしいことである (3ページ目):日経ビジネス電子版