「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

見え見えの権謀術数、変わらない体質、変えられない社会

 

 一国の宰相が、地方の漁港を訪れ、住民らと刺身を食し、獲れたエビを手に取って微笑み撮影に応じる。心温まる光景のように見えます。住民の声に耳を傾け、地域の文化に触れることで、それが政策に活かされ、地域の文化が守られたり、海の環境が保全され、また漁業の発展につながっていけば、良いことのように思えます。それが理想的な姿なのかもしれません。

 しかし、現実は異なるようで、その場では爆発音が鳴り響き、その宰相は慌ててその場から逃げていきました。悲しい現実です。

 国のリーダーが襲われる事態が続きます。そのたびに選挙期間における要人警護が見直されたりします。それはそれで必要なことでしょう。ただそれで十分なのでしょうか。

 もっと問いを深めて、幾重にも検討を重ね、本質に迫るところでの対策も必要になっているのではないでしょうか。選挙活動のあり方、なぜ凶暴な事件が起こるようになったのか、重層的な対応が求められているはずです。しかし、求められるはずの議論は深まることはなさそうです。

解散論

 このところの内閣支持率の改善を受けて、衆院の早期解散論が急浮上しているそうです。これが中央 東京での現実なのでしょうか。

「早期解散論」急浮上の〝権謀術数〟【点描・永田町】:時事ドットコム

与党内から「解散断行のチャンス到来」(自民党幹部)との声が噴出したからだ。ただ「火のない所に煙は立たない」(閣僚経験者)とはいうものの、さまざまな発信元からみて「自民党内の権力闘争を背景とした〝権謀術数〟の類い」(自民長老)との見方も少なくない。(出所:JIJI.com)

 下衆な話です。こんなことで、せっかく地方遊説で得た住民の声を活かことはできるのでしょうか。選挙に勝てさえばよい。たとえどんな手段を講じても....

 こうして本質的な議論は先送りされ続けていくのでしょうか。これでは世の中がよくなるはずもありません。 

論語に学ぶ

吾未だ徳を好むこと色を好むが如き者を見ざるなり。(「子罕第九」18)

 美人を愛するほどの熱意をこめて徳を好む人間に、自分はかつてお目にかかったことがないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子の道徳と美女を天秤にかけるような大胆な発言といいます。孔子は正義に対すると同じくらい「美」に対しても敏感な人であったといいます。この言葉は道徳が頭脳だけのものでなく、全身的なものでなければならないということを意味するそうです。

 自己の利益や評判しか考えない俗人は「徳」を顧みることもなく、それをどこに置き去りにし、守らなければならない民の利益も忘れ去れたままになっていくのでしょう。

G7議長国

 G7の閣僚会議が相次いで開かれています。気候・エネルギー・環境相会合ではG7として、天然ガスも含めた化石燃料の段階的廃止で合意したといいます。ただ交渉過程で、脱炭素に向けた議長国・日本の提案が不十分との指摘も多かったそうです。

[社説]エネ・環境目標は多様な手段で実現を - 日本経済新聞

 対策強化に後ろ向きの印象を残したと指摘する報道がある一方で、火力発電の依存率が高い日本の事情を考慮した多様な脱炭素のアプローチを手段が確認できたと評価する報道もあります。

 国際社会との協調には難儀することが多いようです。協調が求められるときに協調できないのでは、国際社会における公共性に欠け、自国主義とみなされることになりはしないかと心配になります。記事の指摘の通り、これによってグローバルサウスでのGHG温室効果ガスの排出量の削減に確実につながるのであればいいのでしょう。ほんとうにこれがグローバルサウスに支持され、実現することは可能なのでしょうか。

 よりよい結果につながっていくとは思えないことが、国内外と問わず増えそうです。いつまでも不安と隣り合わせでいなければならないのでしょう。

 

「参考文書」

脱炭素「日本は踏み込み不足」 異論相次ぎ難航 G7環境相会合閉幕 | 毎日新聞

TV局の萎縮リアルに ドラマ「エルピス」 放送法解釈変更、発覚前 | 毎日新聞