「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

言い間違いだったのか、誠実さのかけらもなく、信用されなくなっていく国

 

 G7の気候・エネルギー・環境相会合が採択した共同声明で、一波乱があったようです。

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関し、当初の声明案は「IAEA 国際原子力機関の安全基準と国際法と整合し、科学的根拠に基づいた海洋放出への取り組みを含めた廃炉の着実な進展を歓迎する」との文言だったいますが、これが変更され「IAEAによる安全性調査を「支持」する」との表現にとどめたそうです。

欠ける誠実さ

 この共同声明について、記者会見で説明した西村経済産業相は「処理水の海洋放出を含む廃炉の着実な進展、科学的根拠に基づくわが国の透明性のある取り組みが歓迎される」と述べたといいますが、これに対しドイツのレムケ環境相が反発したそうです。

原発処理水「歓迎せず」 独閣僚、経産相発言に反発 - 日本経済新聞

反発したのが隣に座っていたレムケ氏。自国で15日に脱原発が完了したと紹介した後、福島の事故に言及。「東電や日本政府の努力には非常に敬意を払う」としつつ「処理水の放出に関しては歓迎するということはできない」と明言した。(出所:日本経済新聞

  反発という言葉での報道が適切なのでしょうか。

 不適当な言葉で共同声明の内容を説明していたのなら、指摘があるのは当然のような気がします。

 これでは議長国として醜態をさらしているようなものではないでしょうか。国としての信頼を失墜させかねない行為のように感じます。

 記事によれば、西村氏は会見後「私の言い間違い」と釈明したそうですが、「誠実さ」「率直さ」のなさを自ら晒しているようなものではないでしょうか。

論語に学ぶ

十室の邑(ゆう)にも、必ず忠信なること丘の如き者有らん。丘の学を好むには如かざらん。(「公冶長第五」28)

 戸数が十しかないほどの小さな村にも、「忠信」、人のために真心を尽くし、言葉を違えない、私程度の者は必ずいるはずである。しかし、「学ぶ」ことが好きという点では私には及ばないであろうと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子は真心を基盤としてこれを尊重します。しかし、それだけでは不十分で、学習して文化としてを身につけなければ君子とはいえないと考えているといいます。

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 いささか西村経産相の発言には驚きます。まして重要な国際会議での場です。

「誠実さ」とは、嘘偽りがなく、真心があって相手の気持ちなどを裏切らないような行為のことをいいます。大切な資質のはずです。

 なぜ言い間違いが生じるのでしょうか。これでは政府が求めているはずのG7の結束を瓦解させかねないように思えます。

 知識豊富で、頭脳明晰、学があるような人物でも、人としてもっとも大切なことを身につけることができていない人もいるということなのでしょう。日本の未来が心もとなくなってきているようです。

 

「参考文書」

IAEA調査「支持」 処理水放出「歓迎」外れる―G7共同声明:時事ドットコム