いつの時代も一定であることはないのでしょうか。いよいよ米国の影響力に翳りが見え始め、その代わりに中国が勢いを得、国際情勢に変化が生じています。こうした現実は「無常」の現れなのでしょうか。
「無常」、 現世におけるすべてのものが移り変わって、しばしも同じ状態にとどまらないこと、永遠不変のものはないといいます。
「この世の中の一切のものは常に生滅変転して、常住でない」と意味する仏語です。
こうした教えを平家物語などの古典を通して学んでいるはずなのですが、ついつい忘れてしまうのが人間というものでしょう。
中国の少子化対策
中国の全人代 全国人民代表大会が北京で開幕、退任予定の李克強首相が政府活動報告をし、経済の安定と消費拡大の必要性を強調したそうです。
中国全人代開幕、23年成長率目標「5%前後」 国防費は7.2%増 | ロイター
記事によれば、都市部では今年、約1200万人の雇用を創出するとし、また、「消費の回復と拡大に優先的に取り組むべきだ」とも指摘、「都市と農村の住民の所得は、複数のチャンネルを通じて向上させる必要がある」と語ったといいます。
降りかかった災禍によって傷ついた経済を速やかに回復できれば、国民の支持をつなぎとめることができるのでしょう。支持あっての政治ということが徹底され、そのために成果にこだわるのでしょうか。
その中国もまた少子化問題を抱えています。昨年1961年以来の人口減となったといいます。早速、その対策が実行するようで、出産、育児、教育のコストを引き下げ、高齢化と少子化に積極的に対応する計画を国家発展改革委員会が報告したといいます。
政策の正邪は別にして、成果をあげるためには何でもするのかもしれません。しかし、成果が上がれば国民にとってはプラスにもなるのでしょう。そうすることで統治も成り立つのでしょう。
ほころび
日本も同様な問題を抱えていますが、なかなか成果をあがりません。このような状況が続けば、信頼が揺らぎ、変化を求める意識が芽生えてくるのかもしれません。
放送法めぐる内部文書、総務省が作成認める方針 参院予算委に報告へ:朝日新聞デジタル
政治的なほころびが現れ始めているのでしょうか。
放送法の政治的公平性について首相官邸側と総務省側とのやりとりを記した内部文書とされる資料について、総務省が行政文書と大筋で認める方針と朝日新聞は報じています。
それによれば、総務省は、省内で共有されていたと認めるといいます。今後、この問題はどうなっていくのでしょうか。
相談せず
林外相がG20の外相会合を欠席した問題について、自民党の麻生副総裁が外務省から相談がなかったなどと苦言を呈したそうです。
外相のG20出席見送り“外務省から相談なく” 自民 麻生副総裁 | NHK | G20
世耕参議院幹事長も「外務省からは書面で、G20の日程の説明があっただけで、『こういう議題があるから絶対行きたい』といった話はなかった。今後、閣僚の重要な海外出張については、しっかり相談していただきたい」と述べました。(出所:NHK)
政権への求心力が低下しているのでしょうか。官僚たちにも思うところがあるのかもしれません。
論語に学ぶ
葉公(しょうこう) 孔子を子路に問う。子路対(こた)えず。子曰わく、女(なんじ)奚(なん)ぞ曰わざる、其の人と為りや、発憤して食を忘れ、楽しみて以て憂いを忘れ、老いの将に至らんとするを知らず示爾(しかり)、と。(「述而第七」18)
葉公が子路に、孔子とはどういう人物か問うたことがあった。子路は慎重になったのか答えなかった。すると孔子は「どうしてお前はこう言わないのか、その人柄は、何かに発憤すると、食事すら忘れてしまう。しかも、それを楽しんで心配ごとなぞ忘れてしまう。もう老境に至ろうとしているのに、それを無視している」といったといいます。
「発憤」、「憤りを発する」、刺激を受けて気持ちを奮い起こすことですが、古くは、怒りをあらわにすることとの意味でも使われていたといいます。
「発憤」、を社会に関わり、楽しむことでもあると桑原武夫はいいます。
もしかしたら、官僚の一部が「発憤」し、憤りを発し始めているのではないでしょうか。官僚としての矜持を抑圧され、従うことのみを求められ、その上、成果が上がらないでは、その呪縛から逃れようとするのも自然な流れなのではないでしょうか。
「無常」、権力もまた一定ではないのでしょう。
「参考文書」
「政治的公平」巡る放送法解釈の「変更」 礒崎陽輔氏の問い合わせが契機 総務相認める 文書の真贋は答えず:東京新聞 TOKYO Web