「失敗」か「中止」か、
次世代国産主力ロケット「H3」初号機の打ち上げが延期となり、JAXAは「失敗とは考えていない」としたそうです。
どちらにしても今回はうまくいかなかったということなのでしょう。
求められているのは、最終的に宇宙ビジネスとして成功するかということであるはずです。ただ目標年度が伸び伸びになっているというのが現実なのでしょう。
異次元緩和
日銀の物価目標と同じことなのかもしれません。2年で達成するとした当初の目標は達成できず、異次元緩和、黒田バズーカは失敗だったのかといえば、失敗なのかもしれません。しかし、今後も物価目標の達成を目指しているのなら、異次元緩和を中断するとか、中止するといってもいいのでしょう。
アベノミクス
「デフレからの脱却」と「富の拡大」を目指したアベノミクスもまた同様なのでしょう。
「どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない」、日本経済の課題を克服するといって、「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を促す成長戦略」など「3本の矢」を掲げてみたものの、目標になったGDP600兆円は遠退き、子育て支援で出生率1.8の達成は見えず、安心につながる社会保障の実現していません。
長い時間をかけても、いまだ将来不安を払拭にできずにいます。
「合従」、政府の強力なリーダーシップで、国、日銀、そして民間が団結して、デフレという難題を克服するということだったのでしょう。しかし、肝心要の成長戦略は花開くことはなかったようです。
政治として「やってる感」を醸すことに成功したのかもしれませんが、期待された成果には至らず、日本経済が復活した実感を得ることもまだなようです。
池上彰のこれ聞いていいですか?:日本経済に必要なのは「痛み伴う“手術”」経済学者・野口悠紀雄さん | 毎日新聞
この先も国として取り組まなければならない課題に変りはなく、アベノミクスを修正したところで、批判されるものでもないのでしょう。
日本の経済が復活すればよいことでしょうし、それで将来不安が解消されていくのなら、その時、「アベノミクスは失敗だったな」とか、「中止してよかった」との評価がつくのではないでしょうか。
継続して改善しなければ、事態が好転することはないのですから。
イノベーション
「1億総活躍社会」「働き方改革」など様々な新しい造語が登場し、「官製イノベーション」で成長戦略を起動させようとしたのでしょうか。
しかし、どれこれも中途半端なままのようです。
求められているときに社会実装できてこそ、「イノベーション」が成立するのではないでしょうか。遅れ遅れで社会実装できたしても、それを「イノベーション」と呼ぶことはないのでしょう。
いずれにせよ、じゃぶじゃぶと税金をばらまいてもイノベーションが芽吹くことはなさそうです。民間が自ら奮い立ち自立して、自らの力を発揮してこそのイノベーションなのでしょう。
論語に学ぶ
人能(よ)く道を弘(ひろ)む。道 人を弘むに非(あら)ず。(「衛霊公第十五」29)
人が努力して「道」を実質化、広め、行き渡らせるのであって、「道」がどこかに存在して、それが勝手に広まっていくものではなく、それによって人が何か便益を受けるわけではないと意味します。
長い間、国から「同じセリフ」を繰り返し聞かされてきたような気がします。それが「大げさなエピソード」となり呪縛になって、それに従っていればさえいいのではないかという習慣が作られてきたのかもしれません。
その魔法が解けて、みなが自律していけば、日本が復活しないことはないのでしょう。
企業による健全な活動が経済を動かすのでしょうし、イノベーションもそこから生まれるものでしょう。
「参考文書」
アベノミクスとは何だったのか 正体つかめぬ政策、その本質は - 原 真人|論座 - 朝日新聞社の言論サイト