内閣支持率が4カ月連続で、政権維持の「危険水域」とされる20%台になっています。
時事通信の1月の世論調査による岸田内閣の支持率は26.5%、前月から2.7ポイント減少したといいます。防衛力強化に伴う増税方針の表明や一段と進む物価高などの影響のようです。
内閣支持最低26.5% 4カ月連続で「危険水域」―立民も下落・時事世論調査:時事ドットコム
政府はこうした世論調査の結果に一喜一憂しないといいますが、なぜ支持率が低迷するのか、もっと真剣に考えてもらいたいものです。
一般的には、国民の幸福を無視するような政治を悪政というのでしょう。また、社会が良い方向に向かうことがなければ、それは失政で、政治のやり方に誤りがあるのではないでしょうか。
危険水域にある政権を引きずり降ろそうとする動きがないことも不思議な現象です。政権与党には好都合な内閣ということなのでしょうか。もしそうであれば、政権与党もまた、国民の幸福を願っていない政党であることを自ら証明しているのではないでしょうか。
社会の劣化
社会学の専門家が「日本社会が寸断化されている」と危惧し、社会全体の動向を言い当てる大きな構図の命題がなくなり、モザイク社会となっているといいます。
コロナ禍で社会は「分断」から「寸断」へ 吉川徹:時事ドットコム
既存の社会的カテゴリーを用いたのでは、どの層が課題を抱えた弱者なのか特定できないのだ。弱者はモザイク構造の社会のどこかに潜在していて、そこにはまって落ち込んだ心は、事件などを契機に表面化する。(出所:JIJI.com)
これまでは脆弱なカテゴリーを見つけてはそのたびに、シングルマザーや氷河期世代、ヤングケアラーなど、名前をつけ、ラベルを貼っては政策的対応や支援の手を差し伸べてきたといいます。しかし、これでは、新しく見つけ出された問題に社会の側が後追いで対応していく構図になっているといいます。
「細かく個人化された寸断社会にあっては、このいたちごっこを際限なく繰り返していかなければならない」と指摘します。
この学者は、安倍元首相の銃撃事件の容疑者として逮捕された山上徹也氏についても言及し、「容疑者の不幸な境遇を取り上げるメディアは、ロスジェネ世代、母子家庭、非大卒、非正規など、しばし論点について逡巡した後、名前のない落とし穴に一人落ちていた容疑者の心情は、宗教二世の不幸として可視化された」といいます。
寸断社会には、不利な要因が重なって増幅している脆弱性のホットスポットがモザイク状に存在している。他者への関心が薄い中、名前のない不幸に陥っている人たちは数知れないだろう。山上容疑者の孤立、一人でのめり込んでいった凶器製作や犯行計画。そこには彼がはまってしまった不幸に名前がなく、それゆえに仲間も見つけられず、他者からの関心も向けられないということがあったのではないか。(出所:JIJI.com)
この現象は、21世紀になってから顕著と、この学者は指摘しています。なぜ問題ばかりの社会になってしまったのかと思わざるを得ません。
劣化と不信
この間の政治が「失政」「悪政」続きだったということでしょうか。その結果、社会的弱者を増やし続けてきたということなのでしょうか。
政治がまったく機能していないようにも感じます。政権与党の問題が大きいのでしょうが、野党側にも責任の一端があるのではないでしょうか。
時事通信社の世論調査では、野党立憲民主党の支持率も低下したといいます。政治不信が極まったということでしょうか。
論語に学ぶ
曾子(そうし)曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔(たす)く。(「顔淵第十二」24)
君子 教養人は、学芸を通じて友人と交わり、その友誼によって、お互いに人格を高め合い、「仁」を実践する。
こうあるのが理想なのでしょうが、こうできないのも現実なのでしょう。これに輪をかけ困難にさせているのが今の政治なのでしょう。
政治家が気づきを得て、その身を正すことはあるのでしょうか。